第25話 sideアメリア、アレン(2)
僕とアメリアはワープホールに吸い込まれ、森の中にワープさせられた。目的はおそらく僕たちの足止めだ。街に現れた魔族の軍勢、あの場所にはアメリアそしてサレンさんがいた。この二人の力は絶大だ。あの場所でこの二人が暴れたら魔族側としても好ましくない。だから僕たちごとワープさせた。こう見るのが妥当な線だろう。ワープさせられた森にも魔獣が多く潜んでおりすぐに戦闘が始まった。魔獣を切っても切っても魔獣の数が減ることはない。減るどころか増えているようにも感じた。アメリアの疲労が見られ始めたとき一人の女性がアメリアに襲い掛かる魔獣を切りつけた。その女性はレインと同じ魔法を使用していた。僕とアメリアはその女性に連れられ家の中に僕たちは移動していた。
「これで一安心ですね。見たところ冒険者学校の生徒さんですね。私はマリー・スティールと言います。よろしくお願いしますね」
マリー・スティールと名乗った女性は、優しい裏表のない笑顔を僕たちに向けてくれた。
僕は助けてくださったお礼と疑問を一つ問いかけた。
「先ほどは助けていただきありがとうございます。変な質問かもしれませんが、レイン・スティールという少年をご存じですか?」
その質問にマリーさんはすぐに答えてくれた。
「もちろん!私の自慢の息子です!」
僕もアメリアも驚いている。まさか、レインのお母さんに助けられるとは思わなかった。
「すみません。自己紹介がまだでした。冒険者学校1年Sクラス所属、アレン・ルイスです。こちらが」
「同じく冒険者学校1年Sクラス所属、アメリア・レイスです」
「あらあら~、1年Sクラスってことはレインと同じクラスの子よね~。レインの学校のこといっぱい聞きたいわね。お茶用意するから待っててね」
「すみませんが、そんな呑気にお茶を飲む暇などどこにも!また、いつここにも魔獣が襲ってくるかわかりません!一般人なのですから避難しなくては!」
その言葉の後、僕は後ろからナイフのような刃物を首に突き付けられる。
「・・・」
「これが一般人の動きに見えますか?」
「まあまあ、座ってください」
マリーさんはそう言うと刃物を解き、お茶の準備をし始めた。
「アレン、ここは一旦言う通りにしましょう」
「ああ、そうだね」
僕とアメリアはマリーさんの言う通り椅子に座る。さっきの動きは一体何なんだ。一瞬で背後をとられた。レインのお母さんは一体何者なんだ?
マリーさんがお茶を用意してくれて、マリーさんも椅子に腰かけ今の状況を説明した。スタートの街の中心で何が起こっているのか。僕たちが魔族によってワープさせられたことすべてを話した。
「なるほど。状況は理解できました。本部からの連絡と大体は一致していると」
「本部というのはいったい?」
「私はスカウト所属の一人なの」
僕とアメリアは驚きのあまり言葉が出なかった。この世界は大きく3つの勢力が存在する。ひとつが魔王率いる魔族、2つ目がどの勢力とも干渉をほとんど行わない龍王率いる龍族、そして、魔族、龍族以外の種族連合。僕たちを率いているのが王宮と呼ばれる組織の者たちである。王宮に所属する者たちは各種族から集められた規格外の者たちばかり。そんな彼らの下で働く者たちが王宮軍。王宮軍の中で偵察などの専攻部隊が王宮偵察部隊、通称スカウトと呼ばれる者たちだ。王宮軍に入るには僕たちには考えられないほどの偉業を成し遂げ、それが認められた者でなくては王宮軍に入ることはできない。それほどの実力を持っているということだ、今僕たちの目の前にいる人物は。
「王宮も動いているということですね」
「ええ、そういうこと。でも、王宮は直接スタートの街への介入は難しいの」
「王宮軍が直接、魔族と交戦になれば再び大きな戦争になるということですね」
「魔族がまだどれだけの戦力を持っているかがわかっていない以上こちらから王宮軍をスタートの街に送ることは難しいの」
「だからこそ、偵察部隊であるスカウトだけでも動いているということ。そして、ちょうどよかった」
「ちょうどよかったとは?」
アメリアが疑問を投げつける。
「私たち王宮としては直接動くことはできない。だから冒険者学校Sクラス所属の子たちに協力をお願いしたいの。アレンくん、アメリアちゃん我々、王宮に協力をお願いしたい。この戦いを終わらせるために!」
マリーさんの言っていることは筋が通っている。というか正しいだろう。大げさに王宮が動いてしまえば再び戦争が勃発する。魔族の戦力が不明のまま戦争を起こすことは博打に等しい。だからこそ、冒険者学校の生徒に協力を仰ぎこの戦いを終わらせると。
「王宮側は今回の魔族襲撃をどこまで把握しているんですか!」
僕は食い気味にマリーさんに当たる。魔獣の数が尋常ではないからだ。森の中では切っても切っても魔獣が襲い掛かってきた。魔獣の増殖の根を断ち切らねば僕たちはこの戦いに敗北する。
「私たちの調べではスタートの街の端方から東西南北にワープホールを確認している。そこには門番のような魔獣がワープホールから魔獣を解き放っているの。その4体の門番の魔獣を倒せばワープホールは消滅する」
「アレン・ルイス、アメリア・レイスに改めてお願いします。ワープホールの破壊に協力をお願いします!」
マリーさんは深々と頭を下げる。
「アレン・・・やろう」
「アメリア?」
アメリアの目はもう覚悟を決めていた。この戦い終わらせる自身の手で、そのような目をしていた。僕だってもう覚悟は決めている。今この間も冒険者学校の皆も戦っている。僕だって逃げるわけにはいかない。
「マリーさん!」
「「よろしくお願いします!」」
「ありがとう。協力に感謝します!」
こうして、僕とアメリアの戦いが幕を開ける。
よろしくお願いします。




