第22話 想定外の襲撃
闘舞祭初日、俺はトーナメント戦を作戦通りアメリアと当たり一回戦敗北。その後、警備の任務に就いていた。そこでこのイベントの最大の敵アルバート・クラウと接触する。接触と言っても分身体と接触した。その後、分身体は本体に意識を乗っ取られアルバート・クラウ本人と接触した。俺はアルバートから宣戦布告を言い渡され俺はアルバートを睨み続けるのだった。
「あれ?どうしたんスか?」
アルバートの分身体は自身の意識を取り戻す。
「その顔は・・あれスか・・本体と会話したスか?」
「自分が分身体だって自覚があるんスよ。いつの間にか意識がなくなって取り戻したときにはたくさんの種族を殺してたっス・・」
アルバートの分身体は自身の手を見ながらそう話す。分身体という自覚があるのに自身の意志を持っている。俺なら完全に病んでいるだろうな。俺には同情しか・・いや、同情すらできなかった。
「レイン・・いいんスよ。ここで僕を殺して。僕は分身体っス。また勝手に増えるだけっスから」
「僕はあんたに僕の意志で接触したっス。僕は・・・本体が大っ嫌いだ。本体は僕たち分身の意識を操り本体自身は手を出さない。僕はそんな奴が一番嫌いだ。だからさ。僕はあんたらSクラスに憧れた。自由なんだから。なんの束縛もなく自身の夢に向かって挑んでいく姿は僕の憧れなんスよ」
俺は淡々と話すアルバートの分身体の言葉を今はただ聞くことしかできなかった。
「だから・・僕をここで殺して、本体の作戦を阻止して欲しいっス。この通りっス」
アルバートの分身体は俺に頭を下げる。大粒の涙と共に。アルバートの分身体はそれぞれに意志を持つ。だが、本体の言うことは絶対。本体に意識を乗っ取られ任務を実行する人形と化す。分身体自身に全くの罪はない。そんな奴を俺は・・・。
「殺せるわけ・・ないだろ・・」
「なんの罪のない、ただ、操られているだけの存在を。なあ・・分身体。お前は本気で自身の本体を倒したいのか!」
アルバートの分身体は頭を上げこちらを向く。その顔には全くの嘘などない。そんな顔をした一人の少年の姿があった。
俺はアルバートの分身体の肩を掴む。
「だったら!俺はお前のその目を信じる!」
「わかったっス。やってやるっス。僕にとっての最後の悪あがきを」
俺はこの場を後にした。
俺はその後ジークに連絡を取った。アルバートとの接触の件を話すためひとまず闘技場まで戻ることにした。
「そうなると、アルバートもどう動いてくるかわからないね」
「ああ、もういつ襲撃に来てもおかしくはない」
幸い今は襲撃の気配はない。アルバートの言い方的にだがゲームのストーリー通りに襲撃するとは到底思えない。アルバートの目的は大きく三つ。1つはサレンの死。これはストーリー通りに進行するための必須事項だろう。
2つ、魔力結晶の奪還。これもストーリー通りにするためといえば聞こえはいいが重力の魔力結晶が魔族側に奪還されれば力関係が総崩れする。
そして3つ、俺、レイン・スティールの殺害。この世界に抗い続けた結果だろうか。まあ、仕方ないことだ。とっくの昔にこうなることは分かっていた。今はもう受け入れるしかない。
いろいろ考えていると後ろからそっと抱き着かれる。
「だーれだ!」
「サレン」
「せいかーい!」
サレンはいつも通りだ。無邪気に笑い、俺を笑顔にしてくれる。
「レイン。なんで泣いてるの?そんなにアメリアに負けたのが悔しかったの?私が抱きしめてあげよう~」
俺は泣いてしまったのか。俺はサレンがもう一度抱きしめてくるのを避ける。まだだ。まだ泣くべき場面じゃない。泣くのはまだまだ先だ。このイベントが終わったときは笑顔で終わらせる。それが俺の覚悟だ。
「ああ、そうみたいだね」
その時だった。突如としてスタートの街全土が揺れた。俺は確信した。とうとう来たかと。
「さて・・・始めよう!ショータイムだ!」
アルバートのその言葉は誰にも届いていない。その言葉の直後無数のワープホールが出現。その中からは魔獣らしきものが現れる。その数約3000体。
「うそ・・・だろ・・・」
数がおかしい。ストーリー通りならせいぜい1000た・・。いや、もう、ストーリー通りなんて生ぬるいこと言ってられない。これが現実。アルバートの本気だ。スタートの街は突如出現した魔獣にパニックが起きていた。俺たちはこのパニックに巻き込まれ辺りにいたスタートの住人、冒険者学校の生徒がおしくらまんじゅうのようになっている。これじゃ身動きがとれねえ。
「サレン!」
「レイン!」
俺はサレンの手を握る。この手を離したら一気に人込みに流される。
上空に一人の人影が存在した。その人影からは美しき声が響き渡った。
「皆よ聞け!冒険者学校教員・生徒諸君は魔獣の対処にあたれ!自警団は住民の避難および魔獣の迎撃にあたれ!皆の心を一つにせよ!」
その声は俺たちの心に直接響いてきた。ただの指示ではない。この指示によって皆は落ち着きを取り戻し魔獣の対処が始まった。俺たちも委員長のセリーヌ・ローズの指揮の下、魔獣の迎撃にあたることとなった。
「ジーク、アレン、ハンナ、アメリアも無事だったか」
「ああ、何とかね」
今この場に集まることができたのは俺、サレン、ジーク、、ハンナ、アレン、アメリアの6人。
「セリーヌの指示通り動くぞ」
セリーヌの指示は少人数で即席のグループを組みサポートしながら確実に魔獣を仕留めるというものだった。この場において適格な指示だ。俺たちの前にはゲームに登場した魔獣が次々と襲ってくる。
俺たち6人で魔獣の討伐をしている時だった。突如として空から隕石のようなものが降ってきたのだ。
俺たちは、それを何とか避ける。
「なにか落ちてくるよ!」
ジークがその落下物に最初に反応し俺たちは避けることができた。落下物からは、黒い角、鋭い目、魔獣に最初は思ったが、そうではない。小学生くらいの身長をした角を生やした少女が立っていた。
「お前らか・・今回の標的は。アルバートの命令だから来たけどめんどくさいな~。ちょちょっとやちゃうよ!」
少女がそう言葉を発した瞬間、三つのワープホールのようなものが俺たちの前に出現し、それは俺たちを吸い込もうとしている。俺たちは全員で手を繋ぎ必死に耐えたのだが耐えきれなかった。
俺はサレンと共にワープホールに吸い込まれた。吸い込まれた先は真っ白な何もない空間だった。他の4人がどうなったのかはわからない。それに外の様子もどうなったのか。
「レイン、ここどこ?」
「サレン絶対に俺から離れるな」
「うん」
「大した友情だねえ。レイン・スティール」
「アルバート・クラウ・・」
よろしくお願いします。




