第20話 開催!闘舞祭
俺は今冒険者学校の中庭に各クラスごとにまとまって整列している。今この場には冒険者学校全生徒、全教員がいる。とうとう始まってしまう。この時が来るまでとても短いと感じてしまった。これまで様々体験をした。このイベントを阻止しなければ一番大事な存在が命を落とす。
俺は心の底から決意する。「やってやるよ・・・。運命をぶち壊す!」
この決意と共に宣言される。このイベントの始まりの言葉が。壇上に冒険者学校学校長が立ち口を開く。
「これより、闘舞祭の開始を宣言する!」
この言葉が俺とジークの心を突き動かす。いざ、始まってみると心臓の鼓動が早いこと早いこと。ゲームでは魔族が侵攻してくるのは闘舞祭三日目のトーナメント戦の決勝戦のタイミングで侵攻してくる。侵攻してくるタイミングがわかっていたとしても油断はしてはならない。この世界はゲームのストーリーに沿って進んでいると言っても俺やジークはこの世界ではイレギュラーな存在だ。俺たちの介入は世界にとって邪魔でしかない。元のストーリー通りにするためにストーリーにはない何らかのアクションを起こすことは大いに考えられる。現に、この闘舞祭のイベントの裏に裏設定を利用しアルバート・クラウを裏切者として配置している。
今回の初めの三日間はトーナメント戦を行う。冒険者学校に通う者が今までの成果を存分に発揮する場となっている。また、このトーナメント戦はスタートに住む住人達も楽しみにしている。冒険者学校に通う者の武術、魔法は一般の人たちから観れば現代でいうアスリートと同じだ。そんな魔法と武術のぶつかり合いが間近で見れるのだから会場は大いに盛り上がる。
会場は学年ごとに三つに分かれ各会場に闘技場が建設されそこで試合を行う。今回のトーナメント戦は学年は分かれるもののクラスはSABCすべてのクラスでランダムでトーナメント戦の組み合わせは決まる。
「レイン!待機室に行こう!」
「ああ・・」
トーナメント戦の順番を待つ間、選手たちはクラスごとに分かれ待機室で待機することになっている。
闘技場は冒険者学校内に建てられており、間もなく観客のスタートの住人の皆さんが会場に入ってくる。俺はサレンに連れられ待機室に向かった。俺は闘舞祭の五日前にジークとある作戦を練った。
「ジーク。今回の作戦だが・・・」
俺は今回の闘舞祭に関しての作戦をジークに伝える。今回の作戦は「警戒」この二文字に尽きる。俺たちはあらかじめ魔族が侵攻してくることを知っている。これは、魔族に圧倒的なアドバンテージを取ることができる。
「まず、俺たちは闘舞祭のトーナメント戦は早々に敗退する。これは、魔族の動きを早めにキャッチしたいからだ。幸い俺は闘舞祭実行委員だ。この作戦のため警備の班に就けるようリディア先生にお願い済みだ」
「レイン。早々にトーナメント戦を敗退することはいい。だが、俺たちは一応はSクラスの生徒だ。トーナメント戦でABCクラスに敗北してしまっては変に目立ってはしまわないかい?」
「ジークの言う通りだ。変にABCクラスに敗北してはアルバートに怪しまれる可能性がある。それに、Sクラスの連中にトーナメント戦で当たろうと思ってもSクラスは俺たちを含めて15人しかいない。相当な運がなければ厳しい。だがな、ジーク。俺の適正魔法を知ってるか?」
俺はジークに向かってにやりと笑う。
「君は本当に味方なのか疑いたくなるような顔をするね?要するにトーナメント戦の組み合わせを改ざんすると。確かに、トーナメント戦の組み合わせは事前にランダムに決定される。そして、君の適正魔法は隠密、偵察。忍び込んでトーナメント戦の組み合わせを改ざんすることなんて朝飯前だと。そういうことだね」
「その通りだ。俺とジークの組み合わせをSクラスの連中に改ざんして早々に敗北するってわけだ」
「相手は誰にするんだい。Sクラスの皆は僕らが手を抜いていい相手なんていないよ。むしろ全力のSクラスの皆に手を抜けるほど僕たちは強くない」
「確かにそうだが、ジーク。俺たちが今の現状で全くと言っていいほど歯が立たない相手だったら?」
「レイン。その笑顔人前には絶対に出さない方がいいよ。僕たちの相手をサレンとアメリアにしてもらって僕たちは全力で戦う。でも、あの二人に僕たちは歯が立たない。圧倒的な実力差を逆手にとって僕たちは完全敗北する。そういうことか」
「話が早くて助かる!トーナメント戦に敗北後はジークはずっとハンナのそばにいろ。俺は偵察魔法と隠密魔法で冒険者学校の監視に当たる。何かあればその都度報告。ぶっちゃけ、作戦はここまでだ。魔族の侵攻がどの程度かわからない以上これ以上作戦の立てようがない。魔族の侵攻が現れた時点でその場での最善を尽くす」
「まあ、そうなるね。魔族の侵攻はゲームだと何回かの戦闘で済むけど、ここはゲーム世界じゃないからね。どの程度魔族が侵攻してくるかなんてわかったもんじゃない。アルバートを事前に捕縛できればいいけどそれも厳しいしね」
ジークの言う通りに裏切者であるアルバートをこのイベント前に捕縛すれば一件落着なのではないか。確かにこの方法が一番手っ取り早く簡単だ。だが、そうも言ってられないのがアルバートの適正魔法なのだ。厄介にもアルバートの適正魔法は分身だからだ。「分身」その名の通り自身を分身してその分身を操る。アルバートの分身は本体を中心にそれぞれの分身が意志を持つ。本体であるアルバートが死ぬと他の意志を持つ分身が本体となり生き続ける。
実質的な不死身なのだ。本体が死ねば分身が本体として生き、他の分身たちは新たな本体の忠実なしもべとなる。アルバートの分身は意志を持つためそれぞれの分身で性格がまるで違う。本体が死ぬと他の分身が本体となる。この意味が分かるだろうか。つまり、アルバートは死ぬと性格や意志がまるで違う人間となる。
「俺たちの倒すべき相手は実質不死身だ。現状のアルバート本体がどんな意志を持っているかわからない以上アルバートに接触することは作戦失敗に等しいからな」
「レインの作戦に賛成する。この作戦で行こう」
「ああ!」
俺たちは握手し作戦を実行に移した。
そして、今に至る。現在、俺は自身の番となり闘技場に立っている。相手は勇者アメリア・レイス。完全に俺をつぶしに来てる目だ・・・あれは。
闘技場に盛大なアナウンスが流れる。
「第五試合。アメリア・レイス対レイン・スティール試合開始!」
さてさて、アメリア!全力でかかってこい!全力で負けてやる!
よろしくお願いします。




