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第16話 闘舞祭実行委員

 現在は朝のホームルーム中。リディア先生の口からあるイベントの告知がなされた。


「来月だが、闘舞祭(とうぶさい)が行われる。闘舞祭だが、1週間かけて行われる。始めの3日でトーナメント戦、後半の4日で一クラスに一つ出し物をしないといけない。そのため、実行委員を2人決めないといけないんだが・・・、立候補はいるか?」


クラスは沈黙に包まれる。そりゃ、祭りを楽しむのはいいが実行委員はそれなりに責任が伴う。やりたがる奴なんていないだろう。


「俺がやるぜ!」


いたよ。立候補する奴。ガジルか。見るからに、やりたがりそうだが・・・。


「ガジル、お前は、中間テストの補習の残りがまだ残ってるから駄目だ」


「な・・・なんだと!」


お前は、いつまで補習してんだよ!


「よし!わかった。面倒だから、毎回恒例のくじで決める!」


毎回恒例って言ってる時点で今までのグループ分けもくじで適当に決めてたんじゃねえか。毎回、すんなりグループが決まってると思ったよ。なんか考えがあって決めてるのかと思ったが・・・勘違いだったみたいだ。


リディア先生はくじを二枚ひく。引いた二枚からリディア先生は実行委員に選ばれた2名の名前を呼ぶ。


「まずは、ハンナ・テイラー。もう一人は、レイン・スティール。それじゃ、二人はよろしく!」


まさか15分の2の確率で引かれるとは。まじか、裏切者探しも並行してやらないといけないからちょっと面倒なことになったな。


「それじゃ、これからは二人に司会を任せよう。一クラスに一つ出し物をしないといけないからな、頼むぞー」


俺とハンナは前に出たはいいもののハンナは下を向き、もじもじして何もできそうにない。ここは俺が何とかするしかないか。俺は、司会進行を進め、クラスの出し物について決めていった。結果・・・。


お化け屋敷に決まりました。お前ら本気で言ってるのか。準備はまだいい。前半の3日間にトーナメント戦やるんだぞ。その後に、お化け屋敷って。お前らの体力どうなってんだ。まあいいか。満場一致で決まったことだ、よしとしよう。その後は、それぞれの役割を決めて1か月かけてお化け屋敷の準備を進めることとなった。


話し合いは終わり、昼休みとなる。俺の下にハンナが現れた。


「さっきは・・・ありがとう」


「ああ、いいよ。まあ、ぼちぼち頑張ろうぜ」


「本当にありがとう・・・」


そう言うと、顔を赤くしてジークの下へと駆けていった。


「ハンナ・テイラーか・・・」



 俺は闘舞祭の準備の中裏切り者探しも並行して行っている。俺は今回の闘舞祭イベントの整理を行っていた。今は、今回のイベントがゲーム通りに進むことを前提に整理してみた。


今回のイベントがゲーム通り進むのなら厳密に言うと犠牲になってしまうのが2()()いる。


1人はサレン・レイス。


そして、もう1人は、ジーク・テイラーの妹、ハンナ・テイラー。

今回のイベントの中心人物だ。今回のイベントは彼女がきっかけで魔族は侵攻を開始する。たかが、一人の女の子のために魔族は侵攻してくる。それだけ彼女の力は放ってはいけない存在なのだ。だが、こっち(俺たち側)はその力の重大さに気付いている者はいない。それもそうだ。この力は、ハンナ自身が隠し通している。彼女自身が自身の力のことを一番理解しているからだ。


厳密にはハンナは死にはしない。ハンナは命に関わりはしないが昏睡状態となってしまう。


 今回の魔族の侵攻の狙いはハンナの中にある魔力結晶を奪うことにある。

ハンナの魔法はこの世の重力に干渉し操ることができる。その強力な魔法のせいで魔法の制御が難しくその魔力を体内に溜め込んでしまう。そのため、体に大きな負荷がかかってしまう。

だが、魔力は日常生活の中で少しづつ魔法として体外に放出しなければ命に関わる。


ハンナは魔法の制御が困難なため、その魔力は魔力結晶として体内に溜まってしまう。

だが、その魔力結晶は、ただの魔力結晶ではない。なぜなら、その結晶は重力魔力の結晶だからだ。重力を操ることのできる魔法が魔族側に渡れば、それは力の均衡の傾きが「大きい」から「崩壊」に変わる。


ゲームではハンナから重力魔法の結晶を魔族に奪われ、ハンナは体内から大量の魔力が消失。脳は動いているが、身体がいうことを聞かなかなってしまう。


もし、この通りに今回の闘舞祭になってしまうなら欲を言えば、俺はこのハンナも守りたい。

俺は、ゲームをしていたころ一番の推しがハンナ・テイラーだったのだ。まさか、こんな序盤でハンナが退場してしまうなんてと、ショックを受けていた。この世界に来たんだ。サレンは必ず救う。そして、ハンナも・・・。


だが、俺はどこまでこのイベントに干渉して良いものか。まあ、俺がジークに妹を守れ!なんて言っても信じてはもらえないし、それどころか、変なやつ扱いだ。それに、ハンナも守りたいなんて言うのは俺の勝手な私情だ。最優先はサレンだ。このことを忘れてはならない。


なんだかんだ、実行委員になり、闘舞祭の準備の傍ら裏切り者探しをしていた。俺は今、闘舞祭実行委員会というものに参加している。この会は闘舞祭の運営する役員で集まり運営方針を決めていく会となっている。上級生が中心となり行っていく。この会の前、今にも倒れそうな状態なのにこの会にハンナは出ようとしていた。


「出るよ私・・・。実行委員になったんだから・・・」


「マジで無理すんなって。今日は帰った方がいい」


そうは言ったもののハンナはまじめで頑固なところがある。自身で決めたことを変えようとしない。

まいったな・・・。


「ジーク!ハンナを連れて帰ってくれ!」


ちょうどいいところに兄ジーク登場!ナイス!


「ハンナ!」


「そんじゃ、よろしく頼むぞ」


ジークは困惑した様子で尋ねる。


「でもいいのか、これから闘舞祭の集まりがあるのだろう」


「いいよ。俺の方で何とかする。ハンナのことはしっかり休ませろ。良くなったら、きっちり働いてもらうからよ」


そう言い残し、俺は今一人でこの会に参加している。まあ、カッコつけすぎたわー。メモすること多すぎ!何個注意事項あるんだよ!まあ、魔法とかいう物理法則ガン無視できる品物をここにいる全員が扱えるんだからそりゃ大変ってことか・・・。



その頃、ジーク、ハンナは寮のハンナの部屋まで来ていた。


「今日はゆっくり休むんだ。レインの言ったとおりに」


「でも・・・このままじゃ迷惑かけちゃう・・・」


「これも彼なりの優しさだよ。今は受け止めるんだ。いいね」


「うん・・・」


ハンナはゆっくりと目を閉じ眠りについた。


「レインには今度お礼をしなくちゃな。ハンナ・・・必ず守る!」

そのジークの目は、サレンを守ろうとするレインの目と同じだった。

よろしくお願いします。

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