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第15話 仮説

 特別実習が終了し徐々に日常が戻り始めた。特別実習の際にケガを負ったが、さすがはファンタジーの世界。一週間も経てば完全回復した。そして、俺は密かに行動を開始していた。アメリアというこの世界の主人公と出会い、その周りの主要人物たちと交流してきた。ガイ先生の体を乗っ取り現れた魔族、そいつをきっかけに物語は本格的に動き始めた。ダンジョン攻略という名のチュートリアル、今回の自警団リーブラでの出来事。着々とあるイベントに向かって進んでいる。


「そろそろか・・・」


俺が絶対に阻止しなければいけないイベントが。このイベントには俺の全身全霊を持って阻止する!

そして、そのイベントは今日リディア先生から告知された・・・。


 ここはSクラス教室。現在、朝のホームルームが行われている。


「来月だが、闘舞祭(とうぶさい)が行われる」


 闘舞祭はこの冒険者学校で行われる文化祭のようなものだ。この祭りは冒険者学校で行われると言いながら冒険者学校とこの街スタートの住人たちの交流を促進するために行われる。そのためスタートの街全土がお祭り騒ぎになるのだ。スタートの街出身の者は全員が知っている祭りだ。

そして、この祭りの目玉が冒険者学校に通う者たちによるトーナメント戦である。冒険者学校に通う者が今までの成果を存分に発揮する場となっている。また、このトーナメント戦はスタートに住む住人達も楽しみにしている。冒険者学校に通う者の武術、魔法は一般の人たちから観れば現代でいうアスリートと同じだ。そんな魔法と武術のぶつかり合いが間近で見れるのだから会場は大盛り上がりだろう。


でも俺はこの闘舞祭という言葉に心臓の鼓動が早くなる。この世界がゲームのストーリー通りに進むのなら魔族がこのスタートの街に侵攻してくる。その際、この街は魔族によって消滅する。


 ゲームでの闘舞祭イベントの役割は主人公に()()()()()()()()()()を生み出すことにある。ただ、「主人公が魔族が悪い奴らだから倒すんだ!」なんて安直な理由で魔族討伐を目指すのであればストーリーとして全く面白みがない。敵が明確なら、その敵を倒そうとする明確な理由が必要となる。その理由となるのが今回の闘舞祭なのである。


 ゲームでのストーリー通りなら魔族の侵攻の際、主人公たちは自警団リーブラと共に魔族の軍勢と対峙する。だが、この戦いは()()()なのである。主人公たちは魔族との戦いに負け主人公を含むストーリーに関わる者たちは何とか生き残る。主人公は街の悲惨な姿を見て絶望する。それに加え追い打ちをかけ、主人公がライバルと認めた人物、()()()()()()()()()


生まれ育った街はなくなり、ライバルであったサレンが死に主人公は魔族が存在しなかったらこんな悲惨なことは起きなかった。そして、魔族の侵攻を止められなかった後悔と大切な人たちが死んでいくのをもう見ないためにも魔族を倒す決心をする。それがこのイベントの役割。


だが、俺はこのイベントで疑問に思っていることが2つある。ひとつは魔族の侵攻に誰も気づけなかったことだ。ただの魔族の侵攻なら魔族の侵攻を確認できた時点で住人の避難誘導がなされ被害を最小限にしようと努力するはずだ。


ふたつ。ゲームでの対戦画面で魔族がワープホールのようなものから出現する演出があったこと。これは一つ目の疑問と関連することだが普通に魔族が侵攻してきたのなら、わざわざワープホールのようなものから魔族を出現させる意味がない。


 俺はこの二つの疑問から一つの仮説を立てた。この闘舞祭での魔族の侵攻は召喚魔法による魔族の侵攻だと考えれば辻褄が合う。召喚魔法なら直に街に魔族を送り込むことができるしワープホールの演出も頷ける。この仮説が正しいのならこの街のどこかに魔族が潜伏しているのではないか。そして、それを簡単に行って、尚且つ疑われない立場にいる人物。それは()()()()()()()()だ。


俺はこのイベントをぶっ壊すためにここにいる。サレンは絶対に殺させない。絶対にだ。このイベントをぶっ壊すということはこの世界に戦争を吹っ掛けているようなものだ。


さあ!始めようか・・・。()()()()()を!

よろしくお願いします。

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