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第11話 世界

 魔族との対峙から数日が過ぎた。今回の事件は瞬く間に全世界へと広まっていった。当然のことだろう。今まで動きのなかった魔族、その魔族が俺たち魔族以外の種族に接触してきたということは、争いの火種が灯されたと言ってよいだろう。


ひとつ疑問に思うことがある。この騒動を起こした一体の魔族はなぜこんな回りくどいことをしてきたのかということだ。俺たちに宣戦布告したければもっと大胆にすればいい。どうせ争いの大きさはとてつもないことになるのだから、チマチマこんなことをする意味がない。それに、あの魔族は確実にアメリアを標的としていた。ということは魔族側は勇者の存在を知っているということになる。


最後に魔族の言った言葉・・・「また会おう。()()()()()()()()()」この言葉の重みは凄まじい。魔族側は誰が勇者で誰が勇者の仲間として自分たち(魔族側)の前に現れるかを知っている。そして、魔族は確実にChronicle・Lineの世界通りのシナリオで動こうとしている。俺の推測通りなら、やはり今回ダンジョン攻略はチュートリアルだ。アメリア・レイスを主人公として、勇者として魔族の敵として成り立たせるために。


 ここからは俺の勝手な想像だが、この世界にはそれぞれの人物・モノ・現象に()()が割り振られていると俺は思う。まあ、この世界に転生してきた俺の目線で言うとそんな風に世界が映っただけなのだけど。この世界は主人公アメリア・レイスを中心に回っている。すべての人物・モノはアメリアの行動次第でどうとでも動く。それでもアメリア・レイスを中心とした絶対に守らなければならない「ルール」。それこそがC()h()r()o()n()i()c()l()e()()L()i()n()e()()()()()()()()()()()()()なのではないかと。


 そして、そのルールに一番忠実なのが()()。いくら俺がストーリーに背くような行動をしたとしても世界の絶対的な「ルール」であるChronicle・Lineのストーリーが軌道修正され、あるべきストーリーに戻ろうとする。これは、俺の勝手な想像だ。まだ確信はない。もしそうだとしたら、この世界は一体何なんだ?もし、この勝手な想像がこの世界だというのなら俺はこの世界の「一番の害悪」だろう。俺はこの世界の人物であるレインという少年に転生しただけ。レインにはこの世界から「役割」が振り分けられていたかもしれないが、俺は中身がレインではない。だからこそ「役割」がない。


「だからこそ・・・必要がなくなった役割は()()()()()()()()()()・・・」


俺は医務室のベットの上でそのまま眠りについた。


 次の日は通常通り座学や実践的な武術・魔法の演習が行われる。教室に入ると、ミコトやガジルが俺に話しかけてきた。一緒にダンジョン攻略したことで結構仲良くなった。倒れた俺を心配して話しかけてきてくれたっぽい。


「体は大丈夫そうじゃのう」


「意外とピンピンしてんじゃねえか!あはは!」


「ありがとう。心配はいらないよ」


そんなこんなで、俺たち3人で話しているとアメリア、アレンのいつものペアが教室に現れ、その後ろから廊下をダッシュしてくる影が一つ。


「レイン!おっはよー!」


サレンが抱き着いてくることを想定し俺は華麗にサレンを避ける。そのままサレンは俺の正面にいたミコトに抱き着いた。


「あれあれ?いつもの違う抱き心地。これはこれで」


「そろそろ離れてくれんかのう?」


「めんご、めんご」


サレンは慌ててミコトから離れる。ミコトは頬を赤くして照れていたのだった。そんなミコトの表情にちょっとドキッとしたのは隠しておこう。


「レインの周りに女の子がどんどん増えてる気がする・・・」


サレンはそんなことを考えているのだった。その後、朝礼の時間となり俺たちは自分の席につく。ガイ先生はあの魔族とのことでまだ回復していないと聞いているが誰か違う人が来るのだろうか。数分後、教室の扉を開き一人の女性が入ってくる。長い黒い艶のある髪、整った顔立ち。大人な女性といった印象だ。


「Sクラスの諸君おはよう!私は()()()()()()()()だ。よろしく頼む」


俺は、リディアと名乗った女性を知っている。Chronicle・Lineでは、名前のみの登場だったはずだ。俺がストーリーを読み込んでいたからわかったがうっすらとしかストーリーを読んでいなければわからないだろう。


「私の弟、ガイ・ロッツが魔族との騒ぎに君たちを巻き込んでしまった。姉として申し訳ないと思っている。すまなかった」


リディア先生は深く頭を下げる。とても責任感の強い人なのだろう。その姿勢から真剣さがにじみ出ている。リディア先生は頭を上げまた話し始める。


「ガイも君たちが初めての担任として持つクラスだった。ガイも君たちの担任として頑張っていこうと張り切っていたんだがな。こんな形で、担任を変わるとは私も思っていなかった」


「悪いな。暗い話になってしまったな。では、改めてSクラスの新たな担任のリディアだ。よろしく頼む」


その後もリディア先生の自己紹介が終わり通常通りの座学が行われた。


 授業中俺は考えていた。考えていたというより、正直リディア先生が登場してきたことに驚いている。この世界でのSクラスの担任は最初ガイ先生だった。だが、Chronicle・LineではSクラスの担任はガイ先生ではない。ゲームに近似しているのがこの世界で多少の違いはある。なので、担任がゲームと違う人物でも特に問題はないと俺は思っていた。


 そして、リディア先生の登場は俺の()()()()()()()()()()()()()()()()()。もともと、Chronicle・LineでのSクラスの担任はリディア・ロッツという女性だった。だが、この世界では最初Sクラスの担任はガイ・ロッツ。レインはゲームではSクラスには所属していないがこの世界で俺はSクラスに所属している。この変化は俺がSクラスの所属したことによる少しのストーリーの変化。でもこの少しの変化を()()が許さないとしたら。


「世界が、元のストーリーに戻そうとする・・・」


今回の騒動でガイ先生に致命傷を負わせ、世界はSクラスの担任をガイ・ロッツからリディア・ロッツに戻した。この現象は不都合が生じないように、何らかの理由をつけてうまくストーリーを元通りに戻そうとしている。ということはだ・・・。


世界は次に、()()()()()()()

よろしくお願いします。

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