スカンク、必殺技を獲得する
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走れ! 走れ!
迷子を恐れず、ネズミを探して俺は地下洞窟を爆走中。
ネズミは大軍になると危険だが、少数なら簡単に倒せる。さらに、奇襲攻撃をすることで、安全にネズミ退治をしていたんだけど…………。
クンクン、匂いがしない。どこにいるのかな?
キョロキョロ…………。
ふぅ~、少し休憩。それにしても、今日はネズミがいないなあ。
うーん、困った。もう少し経験値を稼ぎたい…………。
まっいっか。
新しいスキルを獲得できなかったけど、ネズミを倒して順調にレベルを4まで上げることが出来た。
そろそろ、ボスネズミに勝てる気がする。
いや、ダメだ。決定打が無い。
敵に直接ダメージを与える攻撃スキルは、爪攻撃だけ。
今の爪攻撃では、ボスネズミに効かないから勝ち目がない。
…………。
レベルが2つ上がった時に入手したスキルポイントは、まだ未使用だから使って爪攻撃を強化しよう。
だがしかし、爪攻撃を強化するには、あと1ポイント足りない。
むぅ~、やっぱりレベルをもっと上げるしかないか。
あっそうだ、スキルガチャ!
毎日2万歩を目標にして走り回ったから、今日の分でガチャに必要な10万ポイントが貯まったはず。
さっそく確認してっと。
…………えーと、現在のポイントは…………10万1006。
おぉー! やった、やった、ついにスキルガチャが出来る!
よし、早くガチャをやろう。
…………。
現在のポイントは、『10万1006』です。
スキルガチャ 1回、10万ポイント
アイテムガチャ 1回、1万ポイント
飲食物ガチャ 1回、10ポイント
どれを使用しますか?
…………あ~、なんだか緊張してきた。苦労して貯めた10万ポイント、お願いだから良いスキルが出ますように。
では、いざスキルガチャをポチっとな。
ガチャガチャ…………コロン。
《レアスキル『ケツからビームレベル1』を獲得しました》
レアスキル来たぁぁーー!
しかも、ビーム! 間違いなく必殺技だ。
これでボスネズミに勝てるはず。
嬉しい、嬉しい、やっふぅ~。
「きゅきゅっ、きゅーーっ! (スカンク、歓喜のダンスを踊ります!)」
両手を上げて、腰をふ~りふり~、尻尾をふりふり~、軽快なステップで踊ろう歓喜のダンス~。
あっそーれ、ふ~りふり~。
ふぅー、疲れた。
さてと、獲得したレアスキルを確認しよう。わくわくするなあ。
レアスキル
ケツからビーム レベル1
ケツから射出される、貫通属性の魔法ビーム攻撃。
消費MP、10
下痢状態の時、使用不可能。
ふーむぅ、なるほど、消費MPが10。
今の最大MPは12だから、1回使用するのが限界だな。
レアスキルだから、威力が高いと思うけど…………。
どんな感じなんだろう?
よーし! 本番の前に練習しよう。使ったMPは、多分眠れば回復するはず。
使い方は、不思議なことに体が分かっている。ケツを相手に向け、お腹に力を込めて…………。
ケツからビーム!!
ギュウウン、ビシューーン!
…………おぉー!
いよいよボスネズミと再戦だ。俺の記憶が確かなら、この大きい道を行くと奴がいる。
ぐっすり眠って、HPとMPは満タン。体調に問題なし、不安もなし。
…………クンクン、匂いがする。そろそろ現れるかな?
必殺技のケツからビームが当たれば、確実に勝てると思う。問題があるとすれば、どうやって当てるかということ。
レベルが1なので、ビームの太さが5センチ程度だから、動きの速い相手に当てづらい。
それと、ビームを出していられる時間は、3秒が限界。
…………でも大丈夫、ちゃんと当てるための作戦を考えたから。
作戦1 こっそりと奇襲攻撃でビームを当てる。
作戦2 なんちゃって作戦。おなら攻撃と…………。
げえっ! 前から突然ボスネズミが突進してきた。チッ、俺の存在がバレていたみたい。
改めて見ると、ネズミなのに熊サイズの大きさだ。
「チュゴオアァァーー!」
おっと、危ない。
とっさに回避したけど、風圧で少し吹き飛ばされた。
くっ、すごい威力の突進…………。まともに当たったら危険だな。
作戦1は失敗だけど、大丈夫、落ち着け、作戦2で行こう。
再び、一直線に突進してきたボスネズミは、俺を目掛けて右手の爪を振り下ろす。
「チュゴオォォーー!」
「きゅっ、きゅーっ! (遅い、カウンターおなら攻撃!)」
ブフォーー!
バックステップで攻撃を回避すると、素早くケツをボスネズミの顔に向け、おなら攻撃をする。
だが、やっぱり効いていない。
「チュグッフッフッフッ」
「きゅーーっ! (あー! こいつ笑いやがった)」
おなら攻撃をバカにするな!
むきぃぃーー! 悔しい、もう許せん。スカンクの恐ろしさを、思い知らせてやる。
「チュガオォォーーン!!」
地団駄を踏んで悔しがっていると、ボスネズミが両手の爪を交互に連続で振り回してくる。
「きゅっきゅっ、きゅーっ(残念でした。お前の動きは見切った)」
前回の戦いで、攻撃のパターンは把握済み。攻撃は、突進と両手の爪攻撃だけだから、回避するのは簡単、簡単。
あっ、右手を振り上げたから、爪攻撃が来る。
えっ!? 尻尾攻撃!!
「きゅーーっ!」
右手を振り上げたのはフェイントで、回避した場所に尻尾攻撃が飛んできた。
不意を突かれ、直撃した俺は岩壁に激しく叩きつけられる。
あー、ヤバイ。身体中が、いた…………くない?
《スキル『根性レベル1』が発動。ノーダメージ》
えっと、助かった?
…………油断大敵、反省しないと。
「チュグッフッフッフッ!」
また笑われた。ぐぬぬっ、よし、ケツを向けて…………。
チッ、おなら攻撃が効かないと知っているから、ボスネズミが余裕で立っている。
スカンクをバカにするな! くらえ怒りのおなら攻撃、と、見せかけて。
「きゅっきゅーー! (ケツからビーム!)」
ギュウウン、ビシューーーン!!
よし、頭に命中したぞ! なんちゃって作戦成功です。
フフッ、意味の無いおなら攻撃は、このための布石でした。
頭に風穴があいたボスネズミは、大きな音を立てて倒れていく。
…………勝利!