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2章 -32- 刮目せよ!


 どうしたものか……。


『適当に力見せつけとけばいいんじゃないかしら』

 んな適当な。

 てか、さっき似たような事したじゃん。

『速度に関しては感情的になるようです。魔力か何か、他のもので驚かせばいいんじゃないでしょうか』

 やはりカグラは真面目な答えをくれるので助かる。

(そうか、じゃあ放出系の魔法で、何か派手なことできないかな?)


『こんなこともあろうかとぉ!!』


 じゃじゃーん、とか自分で言いながら、主張してきた精霊がいた。

(リドレ、いきなりなんだよ?)

 リドレは雷電属性の精霊である。

 先日カラドボルグに興味を持っていたのも彼女だ。

 興味のあることにしか反応しない精霊たちの中でも屈指の変人だ。


『良い案があるんですよー』

 元々こっちの生まれらしいのだが、日本語もばっちりである。

 何なら英語から中国語、韓国語など複数の言語を使いこなす珍しい精霊で、俺と会うまでは色々あったとしか聞いた事が無い。

 ロボット系のアニメを見ていたときには、必ずといって良いほど頭の中で騒いでいた気がするので、間違いなく変人だ。

(そう言われると不安しかなさそうなんだけど、一応教えて?)

『酷い言い草ですねー。ま、良いでしょう! お教えします!』


 ……なるほど面白いかもしれない。

 エルシアさんが引いてくれるかどうかは別として、俺が個人的にやってみたい。

『でしょでしょー?』

 やってみるか!

 思考加速の中でさくっと作戦会議を終了させ、実行に移す。


 高速戦闘を繰り広げながら、魔力を練りこんだ。

 一部は上空へ向けて飛ばしておく。

 今回は、ミズキ、カグラ、リドレに加えてホノカまで巻き込んだ大作戦だ。


「何をしている!?」

 俺が魔力を使って何かしらしているのには気が付いたのか、エルシアさんが警戒している。

 俺の魔法を妨害しようとしてか、攻撃がより激しくなった。

 しかし、俺の注意が多少逸れようとも、精霊さんたちが魔法を引き継いでくれるので、阻害はされていない。

 まともに意思疎通ができるようになったのはこっちの世界に来てからだけど、付き合い自体は長いのだ。

 みんなそろって息ぴったりだ。


 そろそろいいか。

「ちょっと失礼」

 回避に合わせて爆炎を広げ、エルシアさんの視界を奪う。

 その隙に少し離れて上空を取った。

「神をも打ち倒し、魔王すらも従える! 破壊者にして救世主、我こそが悠太・古川である!」

 両手を広げ、大げさに名乗りを上げる。

「いきなり何なの?」

 すごい冷たい目を向けられた。

 翻訳すると、馬鹿なの?とかになりそうだ。

 あれこそが、ゴミを見る目と言うヤツだろう。

 非常に呆れられた感がある。

 少しカナシイ。


 しかし、作戦通りである。

 突然のパフォーマンスにエルシアさんは足を止めた。

 足と言うか、空中なので翼かもしれないが。

 とにかく少しでも止まってくれた。


 周囲の有翼人たちもこちらの戦いを静観していたので視線は集まっている。

 見せ付けるなら今だろう。


「この俺の真の力を見せてやろう! 刮目して見るがいい!」

 なんちゃって。

 言いながら、ここまで練りこんだ魔力を一気に撃ち出した。

 上空へと向かって。

 俺の魔力を結構本気で練り上げて、なおかつホノカの炎を圧縮しまくったものを融合し、一塊にして放ったのだ。

「なにをっ!?」

 自分へではなく、上空へ向けられた攻撃に困惑するエルシアさん。

 むやみに突っ込んで来られなくて良かったと内心ほっとする。


 しかし、これはこれで終わりじゃないのだよ。

 ふっふっふ。

 正直、自分でもどうなるのか若干楽しみなのだ。

 たーまやーーー!

 あ、これは後で言うやつか……。


 俺の撃ち出した魔力弾はホノカの炎と混ざり合いながら上空の雲へと向かって突っ込んでいく。

 その雲は今、異常な数の雷に貫かれ、姿を消そうとしていた。

 消え行く巨大な雲の周囲を見えない風が吹き荒れて、中の空気を逃がさないよう囲っている。

 俺の魔力弾が直撃するころには雲は完全に姿を消していた。

 準備は整った。


 パッ


 かなり上空だったので、光が先に見えた。

 一瞬の遅れの後、音が追いついた。


 ドッ…………………………オオオオオオオオオオオオンンン…………


 音は大きすぎて、最初の音が到達した瞬間何も聞こえなくなった。

 数秒の後、爆発音の余韻が耳の中を騒がせた。

 更に遅れて、今度は衝撃波が到達する。

「うおっ」

 “エアディフェンス”の中にいても振動が伝わってくる巨大な衝撃波が通り過ぎていった。


 見上げると、キノコ雲が出来上がっていた。

 日の光を受けて、白く浮かび上がるその姿は、俺の起こした爆発の威力を物語っていた。

 うん。これはヤバイ。

 封印しよう。


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