2章 -25- 伝説???
めぐたんの手配で、街の警備隊が集まり、くだんの男たちを連行していった。
50人もいたので街でも結構な大騒ぎとなった。
しかも捕まったのがシルバニア一派の一部であると言うことで、話題も大きくなってしまったのだ。
男たちを連行してもらった後、一応ケイトも探してみようかと思ったのだが、夕立が始まったのでそれは断念した。
「このハンバーグもどきも美味しいなぁ!」
宿に戻って夕食中の俺たちである。
「ほんと、お肉がいっぱいで美味しいわね」
南雲も遠慮をしなくなったので、結構がっつり食べている。
今晩は俺と同じくハンバーグのようなものを食べていた。
これも特殊な味付けよりは素材の肉の美味さを引き立てるような感じになっていて、実に美味しい。
特にステーキなどに比べて柔らかいので、女子にも食べやすいのだろう。
メディーはステーキを食べていた。
あのステーキは昨日俺が食べていたもので、トマトもグリンピースも乗っていない。確信犯だろう。
ヴィーは相変わらずだ。
今日は俺たちのほかに、ハリー一行とケンシロウたちも一緒に食べていた。
「いやー、アニキ、ご迷惑をおかけしました」
ケンシロウがオムライスみたいな料理を食べながら謝ってきた。
ケイト率いるアウトバッターズを撃退した後、ケンシロウたちにかかっていた洗脳も解いておいた。
どうやら、ファンとして近づき、ケイトたちのところへ連れて行くように刷り込まれていたようだ。
細かい事情は分かっておらず、完全に利用されただけだった。
「別に良いよ。お前らが悪いわけでもなかったし」
ぶっちゃけどうでも良い。
「ありがとうございます!」
それにしてもいちいち腰が低い。
今日のカグラの顕現もあったせいか、前よりも更に腰が低くなった。
まだ17の俺に対して、おっさんたちがへこへこしている。ちょっと変だ。
しかし、相手はヘンタイたちなので、まあ良いかと思うことにしておいた。
ケンシロウはエルフの青年のことが気になっているらしく、明日の朝にはこの街を立ち、エルフの村へ向かうこととなった。どうぞ好きにしてください。
他の4人もケンシロウと同行したいそうで、出立の時間もあるからとご飯を書き込んで先に食堂を後にした。
エルフの青年が最後までケンシロウを信じていたことを思い出したが、面倒なのでもう一度忘れておいたのだった。
「それにしても、本当に君は何者なんだ? 人間大の精霊なんて、伝説の中にもなかったぞ」
スープパスタを食べながら、ハリーが聞いてきた。
「そうよ! そもそも意思のある精霊なんて、そうそう会えないのよ!?」
マリーさんも興奮気味に話しに入ってきた。
「王宮に勤める一部の魔法使いは、精霊と契約しとんでもない力を扱えると聞いたことがあります。でもそれは、本当にごく限られた一部の人だけなんですよ?」
エリーさんは周囲に気を使うように少し小声で話してくれた。
「いやー、その辺にいたのを、子供のころに拾っちゃいまして」
「はぐらかす気ね」
「事情は教えてくれないんですか?」
「本当なんですけど……」
正直に言ったのに、お姉さん方は信じてくれなかった。
「で、その伝説ってのは何だよ。この間も言ってなかったか?」
「相変わらず君は、僕にだけ態度が大きいな!」
「気のせい気のせい」
適当にごまかしておく。
「いいから伝説のこと教えてくれよ」
えせ勇者のごっこ遊び設定かと思っていたけど、やはり気になったのだ。
「勇者に関する伝説だよ。……それ以上は言えない」
どうやら本当に秘密のようだ。
エリーさんとマリーさんも頷いていたが、彼女たちも秘密を共有しているようだ。
先日の話を振り返ると、その伝説の中にはメディーさんこと、メディア・グリードの話も出ていた様子である。
伝説と行っているが、伝記なんじゃないだろうか?
ハリーが「やはり事実だったのか……」とか言ってたし。
気にはなるが、意外と口が堅そうなので、無理に聞くことも止めておいた。
「ま、人生いろいろあるよねー」
なるようになるし、どうなっても楽しもう。
それが人生だ。
食事を終えて部屋に戻り、南雲とメディーと朝まで楽しんだことは言わずもがな。
やはり人生は楽しまないとね。
翌日、相変わらず昼からのお出かけとなってしまった。
ここ連日である。
これが……若さか……。
なんて。
生活習慣がおかしくなってきているので、今後は少し改めよう。
宿を出ようとしたら、宿屋のおっちゃんから呼び止められた。
てか店員おっちゃん率高くない!? 看板娘とかいないんですか?
「あんたたち、ごろつきをとっちめたんだって? 領主様からご褒美が出るらしいから、今日のめぐたんのライブの後、めぐたんとお屋敷に来いってさ。うひょー!良いねぇめぐたんとご一緒!! ひゅーう!」
後半なんか変なテンションになっていたおっちゃんである。後半は忘れておこう。
しかしいきなりだな。
アルシアードの時は、領主に呼ばれるまで少し日数がかかっていたが。
めぐたんには俺たちの泊まっている宿を教えておいた。
もしかしたらめぐたん経由で連絡が来たのかもしれない。
夜まで時間はあるので、今日も街を観光する俺たちだった。
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