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2章 -22- やっぱり怖いよ、この人は。


『当然よ』

 ケンシロウの名前は忘れかけていたようだが、自分のしたことは覚えていたようだ。

 ミズキが自慢げにしている。

 てか、洗脳されてても、その辺は元のままなのな。

 攻撃されるかと思っていたのだが、ちょっと予想外だった。

「ゆーた様!?」

 背後からめぐたんの声が聞こえた。

「へ?」

 今こいつなんて言った?

「あ、いや、なんでもないわ。古川君ね」

 こいつ、魅了の後遺症とかあるんじゃないだろうな?

 まあ、今はいい。

 とりあえず状況確認だ。

 何故ケンシロウたちはめぐたんを捕まえようとしたのだろうか。



「相変わらず、ユータの動きは尋常じゃないな」

 そんな事を良いながらハリーが物陰から出てきた。

 物陰から見ていたとき、ずっと「助けなくていいのか!?」と声を潜めながらも騒がしかったハリーである。

 南雲やメディーたちも一緒に出てきた。

「それに、彼らの動きも普通ではなかったぞ?」

 ケンシロウたちを見やりながら感想を述べる。

「ああ、こいつらはちょっと特殊な能力を持ってるからな」

 転世の話は省いて、能力の説明だけをしておく。

 生まれつき授かった特殊能力と言うことにしておいた。

「世の中には他にもこういうヤツがいるから、ハリーも気をつけろよ?」

 一応、教えといてやる。

「ああ、そうするよ」

 意外と素直に頷くハリー。

「え、素直すぎてキモイんだけど」

「うるさいな! 君みたいなのを見ていると、考えも変わるだろう!? それに、いちいち驚いていられないさ」

 うむ。

 日々精進しているようで何よりだ。


 さて、そんなことより、こいつらから話を聞くか。

 濃い面のこいつらから……なんて。

『なに言ってんのよ。それより、話を聞くならあたしが出ようか?』

(あー、確かに、こいつらにはその方が効果的かな)

 こないだまでは、なんとなくメディーの前で精霊を出すのはちょっと怖かったので実体化はさせてなかったのだが、もう、なんというか、良いだろう。

 ちらりとメディーの方を見ると、目が合い、にこりとされた。

 もう怖い感じもしないし。

(じゃあ宜しく)

『おっけー』

 そう言うのと同時、俺の魔力がいくらか持ち出されるのを感じる。

 出て行った魔力は俺の横に集まり、光をゆがめ、ミズキの姿を浮かび上がらせた。

 青く透明な髪を流し、光の布を纏った半透明の美女がそこにいる。

 ミズキは実体化すると同時に、俺の腕に抱きついてきた。

 実体化とは言っても、顕現しているだけなので、物体はそこにない。感触が無いのが残念である。


「ほんと、ちょっと目を離すとダメね。またお仕置きが必要かしら?」

「あああああ、あねさん!!? ごっ、ご無沙汰しております!!!!」

 その姿を見るや、ケンシロウたちは額を地面にこすりつけ始めた。

 俺に対する態度より更に腰が引けている。

 これは相当ビビッているようだ。

 やはり、最初の出会いが強烈だったからだろうか。


「ちょちょちょちょっと待ってくれ!?」

 今度は別方向から大きな声が出された。

 ハリーだった。ドモり過ぎじゃない?

「なんだよ?」

 いちいちうるさいやつだな。

 さっき驚いていられないとか言ってなかったっけ?

「そそそそれは何だ!? 何なんだ!?」

 ミズキを指差し、そんな事を言っている。

 それ、とか人を指差して失礼じゃないか?

 ミズキ本人もそう思ったようだ。

「うるさいわね」

 ついっと指を振ると、ハリーの口が閉じた。

「んんっ!? んんんんん!!!」

 本人の意思ではないようで、焦って口元を触って確認している。

「あんたも座っときなさい」

 ふいっと指を下へ向けると、ハリーは何の抵抗も無く地面に倒れこんだ。

 顔面から。

 それは座るとは言わない。

 てかおい、生きてるよな?

 呼吸はできてるのか?

「んんんんんん!」

 心配したものの、地面に突っ伏したまま何か唸っているので大丈夫だろう。

 うるさいと思ったのは俺も同じなので、それで良いことにした。


「意思のある、精霊……」

「それもあの大きさ……」

 エリーさんとマリーさんも驚いているようだ。

 そういえば、森の中で会った時にも見せていなかったか。

 考えたら実態化はエルフの村でしかしていなかった。

 精霊たちは別に外に出たいわけでもないらしく、自由にして良いと言っても俺の中で好き勝手にしているのだ。

「あー、こいつは俺の友達でミズキって言うんですよ。怖がらなくて大丈夫です」

 ハリーが急にぶっ倒れ、驚いて腰の引けている二人に声をかけておく。

「うふふ。やっぱりユータは面白いわね。想像以上よ」

 メディーさんは謎にご機嫌だ。

「こんにちは、ミズキさん」

 メディーのそんな挨拶と同時に、路地裏に突風が吹き荒れた。


「メディー。あなたのお遊びは度が過ぎますね」

 あれ?

「カグラも出てきたのか」

 俺を挟んでミズキの反対側に、黒髪をなびかせる半透明の美女が立っていた。

 こちらも光る布を身にまとい、神々しい雰囲気を漏らしている。

「勝手をして申し訳有りません、悠太」

 ミズキと違い礼儀正しいカグラである。

 割と空気も読めるので、俺の信頼は厚い。

 カグラが必要があって出てきたのなら、意味があるのだろう。否は無い。

「いいけど」


 それはいいんだけど、俺たちの横に突き立っている大きな氷の柱は何なんだろう。

 気のせいでなければ、さっきのメディーの挨拶と同時に降ってきた気がするのだが。

 魔力の発動は近くで感じなかった。

 上を見上げると、沈みかけの日光を遮る暗い雲の一部に穴が空いている。

 んん?

『上空で魔法を発動して、氷の柱だけ落としてきたみたいネ。ご丁寧に雲の水分を使ったみたいだから、その氷柱自体は魔法ではなくただの物質で、魔力探知にも引っかからないヨー』

 ミザリーが説明してくれた。

 なるほど。怖えぇ。


「悠太を巻き込まないよう調整していたので今回は許しますが、今後は許しませんよ」

 カグラは腰に手を当ててそう言っている。

 つり目気味のお姉さんだが、本来は優しいし大人しいカグラ。

 しかし、怒っているとちょっと学級委員長みたいだな。

「まあ、貴女の知りたいことは分かったでしょう。今後確認されるのも面倒なので先に言っておきますが、全て、います」

「そのようね」

 聞いてていまいち分からなかったが、メディーには伝わったようだ。

「では、私はこれで」

「ありがと。カグラ」

 そう言って、カグラは俺の中に戻ってきた。

 去り際にミズキがカグラにお礼を言っていた。


『勝手をしました』

(いやいや、いいよ)

 魔力の消費もそれほどでもない。

 出て行くときはある程度もって行くが、戻ってくる時に大半は返還されるのだ。

(でも何でカグラが出たんだ?)

 氷の柱なら、水の属性精霊のミズキが対応できないわけが無い。

 ミズキに任せておけばよかったのだ。

『もう一本、壁に刺さっています』

 え?

 言われたほうを向くと、ほっそーい何かが壁に刺さっていた。

 氷の柱が大きくてそちらに目が行ってしまうが、あっちの細いやつも落ちてきていたらしい。

 空気を押しのける感覚でカグラには感知できていたようだ。

 実際、氷の柱のほうはミズキが逸らしていたそうだし。

『大気中のちりや砂粒を固めたのでしょう』

 なるほど。

「怖いわ!」

「うふふ。ごめんなさいね。どうしても試してみたくて」

 悪びれた様子もないメディーさんである。

 ほんと、信頼しても良いと思った矢先にこれですよ。

 まあ、敵意や殺気みたいなのは無かったそうなので、完全に力試しだったようだけど、怖い。

 やる事が怖い。

『彼女は私たちがどの属性に対応できるのか確認したかったのでしょう』

 ああ、それで「全て、います」ということね。

 全属性対応できると宣言したのか。

 メディーを見てみると、非常に嬉しそうににこにこしている。

 大満足だったようだ。

 まあ、それはそれでいいか。いいのか?

 良いことにしよう。


本日分更新しました。

キリが悪かったので、今回は少し長めです。

今後とも宜しくお願い致します。

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