2章 -19- 忘れられしかの者は
朝。
というか、昼?
「うう……」
すごい満足感とすごい倦怠感をごちゃ混ぜにしたような感覚の中、目が覚めた。
「俺……」
どうしたんだっけ?
薄ぼんやりした意識の中、上半身を起こす。
「んん……」
「すぅ……すぅ……」
両サイドに素肌をさらした美女が二人、気持ち良さそうに眠っている。
部屋は少し涼しくしているとはいえ、夏。
二人の上にのっているのは薄いタオルケットだけだ。
しかもタオルケットが隠しているのは二人の腰ほどまでだけで、こぼれ出る四つの柔らかな塊は室内の空気にさらされている。
どちらも大きいのだが、特に大きいほうの頂上付近に、くっきりと歯形がついていた。
「…………おっおー」
昨晩……というか今朝方の記憶が戻ってくる。
最初こそ、てんぱっていた俺だが、すぐに調子に乗っていた。
最初は南雲の相手をし、次にメディー。
途中からは何がなんだから分からないくらい3人で交じり合った。
相変わらず南雲がすごく積極的に献身的で、思わず可愛がることが多くなってしまった。
あれだけ色っぽかったメディーは、意外と初心でぎこちなかったのが可愛かったのを覚えている。
そしてあの歯形である……。
変なノリになった俺が、かじったのである。
いつも怪しい雰囲気を出しているメディーが、本当にどこまで俺のことを受け入れてくれているのか実験してみたくなり、強めに噛んでみたのである。
「痛いわ」
と困った顔をしながらも、
「ユータがそうしたいなら……」
と受け入れてくれたのだ。
昼まで歯形が消えないくらい、結構強めにいってしまったのだが、メディーは優しく抱きしめてくれた。
なんかすごい甘々なお姉さんである。
それにしてもすごい一晩だった。
一昨日の夜もすごかったけど、昨日はもっとヤバかった。
俺、童貞を卒業した翌日に、いきなりハーレムかよ……。
いまだ両サイドで気持ち良さそうに眠る二人を見ながら、しばらく幸福をかみ締めるのだった。
昼を回って少しして、俺たちは身なりを整えて部屋を出た。
あの後、二人が目を覚まし、一緒に水浴びをしたのだが、そこでも一戦ずつ致してしまったのは仕方ない。
水に濡れる二人の身体がエロ……綺麗過ぎたのだ。
改めて水浴びをしなおして服を着たころには、日は天頂からだいぶ西に寄っていた。
とにかくおなかがすいたので、食堂へ行こうと廊下に出た。
「うふふ。これからもよろしくね」
そんなことを良いながら、メディーが俺の腕をとり、その胸に沈めるように抱き寄せる。
水浴び時の一戦がなければ、ベッドに再ダイブするところだったぜ。
「お、おう、今後とも、よろしくお願いします。……ん?」
メディーにそう答えていると、反対の手にも感触があった。
「………………」
ふいっとそっぽを向いている南雲が、空いているほうの手の指先を摘んでいた。
「南雲もよろしくな」
「うん」
南雲はそっぽを向いたまま小さく頷いた。
相変わらず、部屋を出るとそっけなくなる南雲サンである。
じゃ、行こうか……と言おうとしたところで、ふと思い出した。
「あれ、ヴィーは?」
「忘れてたいわ」
というメディーの言葉で、隣の部屋へ向かうこととなった。
メディーがなにやら部屋の扉の前で指を振ると、魔力の動く気配があった。
たぶん部屋の防犯用のトラップを解除したのだろう。
鍵を開け、中に入る。
「ぬうううううう、首が痛いのじゃあああああああ、お腹がすいたのじゃあああああああ」
ヴィーの悲痛な声が部屋中に響いていた。
「なに、これ」
南雲が思わず声を漏らした。
俺も同意である。
ヴィーが正座をしたまま手を腰の後ろにそろえ、頭を床につきそうなほど下げて真横を向いている。
向いているのは俺たちの部屋とは逆方向だ。
「だって、覗かれたくないじゃない?」
自分は人のこと散々覗いておいて、そんなことをおっしゃるメディーさんである。
それにしてももっと楽な体勢とかあったんじゃないだろうか。
「本当はこんな姿勢じゃなかったのよ? この子が覗こうとしたらこうなるように、こっそり“隷属の首輪”に書き加えておいたのよ」
「ぎくっ………………」
ヴィーがなにやら慌てている。
南雲も、昨日部屋を出た時はこんな感じではなかったと言っていたし本当のようだ。
最初は「覗かないように」とだけ言ってておいたそうだ。
……でもメディー、絶対こうなると分かって仕掛けてたよね?
ただ見られたくないだけなら、最初から“首輪”に覗けないように指示を出しておけば良いんだし。
「うふふふふ」
やっぱり怖いメディーさんであった。
明日からは仕事なので日中の更新はできなくなります。
夜にはぼちぼち更新していこうと思いますので、今後とも宜しくお願い致します。
そういえば今更ですが、以前途中まで書いていたほうの「ろくでもないこの星で」にコメントや誤字報告をして頂いた方がいらっしゃいました。気付かず申し訳有りません。
長らく放置していてチェックしてなかったので、今更ですが、ご指摘ありがとうございました。
もし、書き直しているこっちも読んで頂いているのなら、嬉しいです。
またご指摘有りましたら宜しくお願い致します。




