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2章 -12- お残しは許しません!


 全てが無音で終わったので、食堂で騒ぎになったりはしなかった。

 とりあえず改めてみんなが席に着く。


「とりあえずメディー!」

「なにかしら?」

 余裕の態度である。悪びれた様子もない。

 これはお仕置きだな。

「トマトとグリーンピースを食べなさい」

「………………」

 笑顔のまま固まったメディーさん。これはこれで珍しい。

 表情はにこやかなままなのでいつもの感じだが。

 苦手なものを食わされると言う未知の状況に思考がフリーズしたかな?

「俺の言うことなら何でも聞いてくれるって言ったよね?」

「それは、そうだけど……」

「これはお仕置き。さっきみたいな悪戯はしっかり取り締まるので今後気をつけるように!」

「わかったわよぅ……」


 渋々ナイフとフォークでトマトとグリーンピースを食べ始めた。

 特にトマトは小さいトマトなのに、わざわざ切って潰して中身を押し出している。

 なるべく口に入れる量を小さくしながら食べていた。

 余裕の表情を取り繕ってはいるけども、眉根が寄っている。

 色っぽい大人のお姉さんだが、ちょっとそこは子供っぽい。

 怖いと思ったばっかりだけど、これはこれで可愛いな。意外な一面かもしれない。


 それはそれとして。

「で、メディーがそのメディア何たらだったら捕まえるって?」

 メディア・グリードなんだけど。

 一応人目もあるので今更ながら端折っておく。

「い、いや、こちらも冗談、少し探りを入れるつもりだったんだが……」

 さすがにハリーも自分が殺される直前だったことに恐怖したようだ。

 がくぶると身体を震わせ、脂汗を流しながら、かろうじてしゃべっている。

 左右のエリーさんとマリーさんもやばいくらい顔が青い。

 自らの手でハリーを殺すことになりそうだったのだ。

 殺されてもないのに死人みたいな顔になっている。

「わかってたわよ?」

 けろっとそんな事を言うメディーさん。

「わかっててやったんかい!」


「だから冗談だって言ったじゃない」

 ホントこの人は。

「…………確かに、貴女にとってはお遊びのようなものなのか」

 こちらのコントみたいになってる会話を聞いて少し落ち着いたのか、ハリーが再び話し始めた。

「崩天の魔女、メディア・グリード。伝説の中にいる貴女が本気であれば、こんな生ぬるいことはしないでしょう」

 殺されそうになっておきながら生ぬるいとか、強がってるのか?

 いや、結構ガチで言ってそうだな。

 ん? ガチ?

「貴女が消し去ったと言われる街は多数ある。誰もが忘れ去った御伽噺の中では、貴女は訳もなく破滅をもたらす災悪そのものだった」

 姿勢を正して話をするハリー。

 頭こそ下げてないものの、もはや王族か何かに謁見しているようなたたずまいだ。

「かの伝説の勇者グレンガードも、貴女とは敵対を望まなかったと……」


「グレン…………ああ、あの聖剣使いの坊やね」

 メディーは何かを思い出したように手を止めた。

 まだグリーンピースは残っている。食べたくないだけじゃないだろうな?

「確か……これね……」

 そんなことを言いながらバッグの中をゴソゴソするメディーさん。

 それって何でも入ってる魔法のバッグだよね。

 何を出す気だ?

 勇者の形見とか?

 写真……とかあるわけないし、本人が出てきたりしないだろうな。

「あったわ」

 ズルリとバックから出てきたのは、全長が1.5m以上はありそうなねじれた剣だった。

「カラド……なんだったかしら?」

「カラドボルグ!?」


 聖剣というより、魔剣じゃない!?

 切れそうもないのに剣だと認識してしまうそれ。

 柄があり、刃のような部分がある。

 そしてなにより……

「な、何て魔力なんだっ!?」

「うそでしょうっ!!??」

「わ、わたし、むりっ…………」

 一人ダウンしてしまった。エリーさんダウン。

「いやいや、メディーさん!? なんて物こんなところで出してんの!?」

「あら、刺激が強かったかしら?」

 かしら? じゃないよ!

 てか周りの人たちに……?

『メディーが事前に結界を張っていたわよ』

(なるほど……)


 食堂内の他の客には騒ぎにはならないようだが、どっちにしろこれはヤバイ。

 そもそもすごい魔力が溢れている上に、なんかバチバチいってる。

 カラドボルグって雷とか稲妻って意味があるんだっけ?

 俺のゲームの記憶が正しければそんな意味だった気がするけど、こっちの世界でも一緒なのだろうか?

「と、とにかくそれしまってよ」

「あら、せっかくだからユータにあげるわよ。格好良い剣、欲しがっていたでしょう?」

 欲しがっていたけども!

 そんなヤバイやつは求めてないよ!

「ご覧のように、わたしはこの剣に認められないみたいなのよ」

 ご覧のようにって、そのバチバチ拒否反応!?

 どう見ても平気そうに持ってるけど!?

「ほら、どうぞ」

 すっと差し出されて、思わず受け取ってしまった。

「おおっ!?」

 ズシッとした重さが手に伝わってくる。

 見た目以上の重量だ。

 とっさに身体強化をして支えた。

「やっぱり」

 メディーが何かに納得している。

「あれ?」

 バチバチ言っていた放電が消えていた。

 そして何かの波動のようなものを感じる。

 剣が脈動しているのだろうか?

 俺の魔力とは別に、すさまじい魔力を感じる。

「あの坊や程度に持てて、ユータに持てない訳がないもの」

 あの坊やとはかの伝説の勇者なんとかさんのことだろうか?

 もし俺が拒否られたらどうなってたんでしょうか?

 バチバチ?

 あのバチバチで焦げてた?

 俺やばくね!?

 マジやばかったよね!?

「こんなものいきなりあっさり渡さないで下さいますますか!?」


お休みなので日中更新です。

外出できない人も楽しんで頂けると幸いです。

今後とも宜しくお願い致します。


++++++++++++

作風は違いますが、他の「銀輪。」作品もご覧頂けると嬉しいです!

(※ご存知だと思いますが、作品検索欄で「銀輪。」と入力すると出ます)

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