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2章 -8- 異世界の武器屋さん


 翌日。

 いつもと違う宿だけど、いつもと同じ感触を堪能しながら目が覚めた。

 暖かくて柔らかい。幸せの感触。

 南雲サンのたわわな果実の感触である。

 やっぱり南雲サンは最高だぜ。


 朝食をとり、街を散策することにした。

 ケンシロウたちを探すというのも理由の一つだが、やはり新しい街に来たので観光したいというのが本音だ。

 武器とか買いたいし。

 街に出ると、相変わらずヴィーはもの珍しそうにきょろきょろしながら歩いていた。

 楽しそうでなによりである。

「まずは服でも買っとくか」

 考えてみたらエルフの村で貰った服しかもっていなかった。それか転世時の学生服だ。

 アルシアードの街では謎に貰ったお金しかなかったので、買い物を楽しむという気にはなれず、必要な食費と宿代にしか当ててなかったのだ。

 学生服は変に目立つので着ていない。

 エルフの服も、人間のものとは少しセンスが違うので、若干浮いてはいるのだ。地味すぎる。

「こっちの世界らしい格好をしないとな!」

 ゴブリン退治で貰った報奨金がたっぷりあるので多少贅沢しても問題はない。


 メディーさんに教えてもらったのだが、前回貰っていた報奨金は庶民レベルなら数年生活できるくらいらしい。

 まあ、街をまるごと救ったのだから、それくらい貰えてもおかしくはないのか。

 ちなみに、こちらのお金の価値も教えてもらった。

 この世界には、金貨、銀貨、銅貨の他に、純金貨や白金貨、鉄貨があるそうだ。

 鉄貨10枚で銅貨、銅貨10枚で銀貨、銀貨10枚で金貨、金貨10枚で純金貨。

 最後は数が飛んで、純金貨100枚で白金貨だそうだ。

 日本円でイメージすると鉄貨が十円、銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円、純金貨が十万円。

 最後の白金貨は一千万円だ。白金貨は政治的なやり取りのときに使われるくらいで、一般市民は見ることもないのだとか。

 俺たちが貰っていたのは純金貨がたくさん入った袋だったので、数百万円くらいは持っていることになる。

 日本の生活だと数百万と言ってもすぐなくなりそうだが、こっちの世界では住居費がすこぶる安い。

 宿は一泊銀貨一枚。つまり千円だ。一月泊まっても3万円ちょっと。

 その上、光熱費はないのでかからないし、携帯もネットもあるわけないので基本の支払いはゼロだ。

 食事も安いので出費はそれほどなかったのだ。

 しばらくは問題ないだろう。

 ちなみに、メディーさんのバッグの中にもお金はたくさんあるそうだ。

「ユータのためなら好きなだけ出すわよ?」

 とか言ってたが……どこから貰ってきたのか分からないので怖い。

 出所不明の怖いお金は使わないに限るのだ。


「南雲のも買ってやるよ」

 報奨金は実際に戦っていた俺とメディー、ヴィーにしか出ていない。

 エルフの村で貰った宝石も実質俺にと渡されたものだし、盗賊から頂いた小銭はもうない。

 なので今のところ南雲は一文無しだ。

「別にいいわよ。これがあるし」

 そう言って自分の服を摘んだ。

「何言ってんだよ。流行の最先端をいくJKがそんなんでいいのか?」

「いいのよ。こっちの世界の流行なんて知らないし」

「そうは言ってもこれ、地味じゃないか?」

 エルフの服は無地のシャツのようなデザインだ。

 ポケットも何もない。

 ズボンにはポケットがついてはいるが、シャツのほうは完全に無地である。

 正直、お洒落の塊だった南雲が着ているのには違和感しかない。

「シンプルな方がハズレもないのよ。それに、こっちの服のセンスはあんまり好きじゃないし」

「ふーん」

 なんとなく納得いかないが、本人がそう言ってるんだから仕方ないか。

 別に俺も服にこだわりはないし、服屋は後回しにすることにした。


 その後、街を色々と散策してみた。

 お店のラインナップは以前の街、アルシアードと変わらなかった。

 普通の食品系の店から雑貨屋、金物屋、服屋など。

 中世ヨーロッパにも並んでそうなラインナップだ。

 異世界っぽいのは魔道具屋や武器屋くらいか。

 前回はウィンドウショッピング前提だったので本気で見てなかったけど、今回は何でも買える。

 そう思うとテンションあげあげだ。

「じゃあ、まずは武器屋だな!」

 意気揚々と、路肩にあった武器屋に入ってみることにした。


 少ねえ……。

 品揃えを見て、上がっていたテンションは一瞬で地に落ちた……。

 城壁の中ではまず使うことはないのだが、農家の人間など城壁の外に出る人間もたくさんいて、護身用に買って行くため武器屋自体は存在した。しかし、使わなければ買い換えるものでもないので、売れ行きはさほど良くないご様子だ。品揃えもさほど多くなく、どちらかと言うと鍬とか鎌とか農業用の刃物の方が多いくらいだ。

 一応、城壁警備隊向けの剣なども置いてはあったが、なんというか、地味すぎる!

 規格は全て統一で、所有者の体格に合わせてサイズなどは色々あるが、基本的にどれもデザインは同じである。

 ほんとに実用性しか考えていない。

 俺の思っていた異世界の武器屋とちがう……。


 もっと格好良い武器とかないの!?

 “デュランダル”とか“エクスカリバー”とか“ゲイボルグ”とか“エスカリボルグ”とか!

 ……最後のはちょっと違うか。撲殺天使専用武器だな。強そうだけど。


思ったより遅くなってしまいました。

どうぞお読みください。

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