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2章 -6- めぐたんの死因と罪状


 めぐたんは、アイドル活動以外の一切の仕事をしなかったようだ。

 いや、彼女の言葉を借りるなら、アイドルを自称する以外の一切の仕事をしていない。

「アイドルはアイドルでしかないのよ!」

 という謎のプライドから、バイトなどの副業を一切していなかった。

 しかも、歌の練習やダンスの練習はもちろん、地域貢献活動などでの知名度アップ活動などの仕事と目される活動まで一切していなかった。

 つまり、地下アイドルのギャラだけで生活していたそうだ。

 当然、地方の地下アイドルでもらえるギャラなどすずめの涙だ。


「いや、それでもいきなり餓死はしないだろ!?」

 思わずつっこんだ。

「うるさいわね! 最初は栄養失調だったのよ!」

 自宅で倒れたらしい。

「いや、それでも自分で救急車呼んだり、誰かに気付かれるだろ!?」

 普通に生活をしていれば、誰かが気付いてくれるだろう。

 大学生相当の女が自宅で孤独死とかなかなか無いだろ。


「う……。電話は持ってなかったし、友達なんていなかったし」

 金がなさ過ぎて、スマホも携帯も持っていなかったとか。バカな。

 というか、どうやってアイドル活動していたんだ?

 直接会ったときにスケジュールを決めて、それに合わせていたとか。緊急の変更時は手紙で対応してもらっていたらしい。電話のない時代の話かな?

 ブログなどは私立図書館のPCを借りて更新していたらしい。ヤバイなこいつ。

 しかも、悲しいかな友人は一人もいなかったそうだ。小学校のころから高校卒業まで一貫してアイドルになることを宣言していた彼女は、クラスで浮いていたらしい。

 まあ、クラスで浮くのは仕方ない。誰にでもあることだよ。誰にでも。友達がいないとか、良くあるよね?

 ま、まあ俺にはね、沢山の脳内お友達(精霊さんたち)がいたからね。

 お、俺は友達がいなかったわけじゃないんだよ?


「いや、それでも……」

 ライブは月に1回あるかどうかレベルで、間があいており、スタッフたちも気付かなかった。

 しかも、住んでいたのは町中の廃アパートの一室で、勝手に住み込んでいたため家賃も払っておらず、大家が気付くなんてこともなく。

 結局、栄養失調で倒れたまま動けなくなり、そのまま衰弱して死んだと。

 ……なにしてんだ? こいつ。


「バカだろ」

「バカよね」

「……………………」

 俺と南雲の言葉に対し、めぐたんは無言を貫いた。

 自覚はあるようだ。


「で、死因は分かったが、罪状はなんなんだよ?」

 納得できるかは別として、このバカなアイドルモドキの死因は理解した。

 しかし、今の話の中では罪状まではわかっていない。

 この世界に送られるには何かしらの罪があるはずだ。

 このバカは何をしたのか。

 アイドルに命掛けてるようなやつだ。

 他のアイドルに迷惑行為でもしていたのだろうか?


「そんなことするわけないじゃない」

 それはなかったらしい。

「罪状ってなんなのよ」

 めぐたんが本気で分からないといった感じで聞いてきた。

「この世界に送られた理由だよ」

「あー、それね……」

 一応理由は分かっているようだ。

 どこぞの教祖様のように無自覚に送られたわけではないようだ。

「来世で何をするかって聞かれたから、フツーに答えたら、あのエセ女神が世のため人のためとか言いだして、強制的にこっちに送られたのよ」

 ……いや、分かってないな。こいつも。


「なんて答えたんだ?」

 聞きたくないが聞くしかない。

「今度こそ真のアイドルになって楽できるように、少しだけ努力してファンを増やしていく気だって答えたわ」

 それで失敗して死んだくせに、まだそんなことを言うか。

「ちなみに、その少しだけ努力ってのは、どういうことをする気だ?」

「あー、それ。あのクソ女神にも同じ質問をされたわね。当然わたしをもてはやすように街中の人間に催眠術か洗脳、暗示をかけて回るに決まってるじゃない!」

 だから決まってねえよ!

 なんでそうなるんだよ。

 しかも、元の世界に生まれ変わってもそんな特殊能力はないだろうから、本気で迷惑行為だけしまくる変人になっていたに違いない。


 てかなんでそんな迷惑行為をしそうなやつに、実行できてしまう力を与えるかね!?

「能力はくじ引きで決まったわよ?」

 またか!

 あのクソ女神!

 ろくでもないやつばっかり送ってくる上に、仕事もまともにしやがらねえ!

 今度見かけたらお仕置きしてやる!


 てか、展開がどこぞの教祖様と同じじゃねえか。

 なんでこの世界の転世者たちってレパートリーが少ないんだよ!?

 異世界転世って、普通もっと特殊な力や独自の能力で異能バトルな熱い展開じゃないのかよ!?


「………………」

 南雲も無言でジト目をしている。

 どこにも焦点が合ってないけど、たぶんその視線の先にイメージされているのはあのクソ女神だろう。

 ゴミを見る目をしていた。

 もっとさげすんでやれ。


 女神クソの評価はこうしてちに落ちていったのだ。

 元から落ちてたけどね。


ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

つたない小説ですが、楽しんで頂けているでしょうか。


今後ともお付き合い頂けると幸いです。

頑張って更新して参ります。

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