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2章 -1- 北西へ


 アルシアードの街を追われ、次の街を目指すこととなった俺たち。

 北西にあるという街を目指し、ドラゴン状態に戻ったヴィーの背中に乗せてもらうこととなった。

 ヴィーの背中に乗るに当たっては、メディーさんの不思議なバッグから出てきた謎の鎖で即席のシートを作ってもらった。

「こんなものしかないの。ごめんなさいね」

「い、いえ……」

 そんな事を言いながらそれを取り出したメディーさん。

 南雲は若干引いている。


 メディーが取り出したというか、バッグの口を開けただけで勝手に鎖が出てきた。しかも無限に出てくる。

 勝手に動く禍々しい鎖はドラゴン化したヴィーの身体に巻きつき、背中部分には重なり合ってソファーのような形になった。

 ヴィーが羽ばたくのを阻害しないように、しかし座席がぐらつかないようにうまく巻きついている。

 必要分の長さが出ると、鎖の増殖は自然と終わりを見せた。

 かなり巨大なヴィーの身体を固定し、さらにソファーの形を作るほどの長さだ。どう考えても人の手で作れるものではない。しかも勝手に動いてたし。

「これ何?」

「あら、ただの鎖よ? 少し昔に拾ったの」

 メディーさんは気に留めた様子もなくそう答えた。

 絶対拾ってない。どこかで勝手に貰ってきたものだろう。

 特殊な魔道具か何かである気配がびんびんだ。

 またどこかの貴族の家宝でないことを祈ろう。

 まあ、意外と座り心地が良かったので良しとした。



 北西の街に向かう途中、少し西に寄り道をしてエルフの村に立ち寄った。

 ケンシロウたちがキチンと働いているのかの確認のためだ。

「ただいまー」

 ドラゴン状態のヴィーに乗ったまま村の入り口まで直行してみた。

 まあ、人間の街と違ってエルフの村は人数も少ないからほぼ全員顔見知りだ。

 魔物との接点も多い彼らだから混乱もすぐに収まるだろう。

「ユータ様!」

 エルフの長老さんが出迎えてくれた。せっかくならエルフのお姉さんたちに出迎えてもらいたかったぜ。

「ドラゴンを従えられましたのか!?」

 エルフたちはかなり驚いていたが、とりあえず歓迎してくれた。

 村に入るためヴィーが人間モードになって再度驚いていたので、竜王種だと教えてあげるとみんな固まってしまった。

 村人の何人かは地面にひれ伏してしまったし。

 やはり竜王種というのはかなり特別な種だったらしい。

「よい。普通にしておれ」

 ヴィーはそんな感じで興味なさそうにしていたので、エルフの皆さんも頭を上げてくれた。


「で、ケンシロウたちは元気にしてる?」

 色々と説明や挨拶をしてから、ケンシロウたちの様子を聞いてみた。

「それが……」

 しかし、俺の質問に対し、長老は困ったような顔をした。

「何かあったのか?」

 と聞いてみると、

「それが……、数日前、急に何かを叫びながら立ち去ってしまったのです」


 ケンシロウたちとエルフの男たち数人で森に狩りをしに出た際、人間の馬車に遭遇してしまったそうだ。

 エルフ達は人間よりも優秀な五感で先に身を隠したのだが、ケンシロウたちが出遅れた。

 馬車に乗っていた人間たちに見つかり、何事か話した後、急に様子が変になったのだそうだ。

「元からだいぶ変だった気はするけど、何て叫んでたの?」

「それが、『あいごるさいこー!』とか『めぐたんらぐ!』とか言っておりました」

 我らには彼らの言葉はわかりませんが、こういう発音だったかと……と慣れない日本語をまねしてくれていた。

「………………」

「……それって、アイドルじゃない?」

 思ったけど考えたくなかったことを、南雲が言った。

 今言わないでほしいなぁ。もう少し時間が欲しかった。


 俺が現実逃避しようかと考えていると、

「ケンシロウはヤツ等に何かをされたんだ! でなければケンシロウが行ってしまう訳がないっ!」

 長老の横で話を聞いていた青年が、感極まった感じで言った。

 あー、彼は以前、ケンシロウと暑い握手をしていた人だ。

 熱いではない。暑いのだ。

 むさくるしいんだよ!

 ケンシロウは男もいけるくちだと言っていた。つまりはそう言うことだ。


「ユータ様! お願いします! ケンシロウたちを正気に戻してください!」

 青年は俺の手を取り、熱い視線で見つめてきた。

 うむ。必要以上に俺の手を握らないでくれませんかね? 怖いんです。

 というか近い! ぞわぞわする!

 ベシっと手を振り払い、距離をとる。

「まあ、様子くらいは見てみるか」

 あいつらは元から正気の沙汰じゃない。正気に戻すのは不可能だ。

 しかし、短い期間でも村で一緒に過ごした仲だ。

 変な事に巻き込まれたなら一応確認くらいはしてあげよう。


「で、どっちに向かって行ったんだ?」

「北西のほうです」

 俺たちが向かおうとしていた方角だ。

 イヤな予感がしてならない。

 すごーくイヤな予感がする。

「まあ、行く予定だったから行くしかないか」

 予定を変えてもいいけど、これを放置するのももっと嫌な予感しかしない。


 俺たちは北西へ進むのだった。


更新が少し遅くなりました。

もしお待ち頂いていた方がいらっしゃったらすみません。

こんな作品ですが、今後とも宜しくお願い致します。


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