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1章 -55- 反省しない子はこうだっ!


 そんな流れでゴブローさんのいる牢獄へ案内された。

「どもー」

 城壁警備隊の付属、罪人悪人を捕らえておく牢獄を管理する部署があるらしい。元の世界で言うところの刑務所のようなところだ。牢獄管理部というらしい。

 もう少し格好良い名前なかったんだろうか?

 まあ、冒険者とかの発想もなく、仕事観が元の世界と近いというこの世界だ。元の世界でも刑務官とかって呼びかただし、普通のことなのだろう。

 ここには街で暴れて捕らえられた人とかが入っているらしい。最近は女神信仰のせいで入ってる人は減っていく一方だとのこと。それは良いことだ。それはね。

「んん! ギサマ、オデを殴ったヤヅだな!?」

 地下牢へ降りるなり汚い声が聞こえてきた。やっぱり日本語だ。

 しかし汚い声だな。方便ってわけでもなさそうだし。なんなんだ?

「あー、ども。さっきぶりっす」


「で、あんた何でこの街襲ったの?」

「んあ? 何でって人間を見返すためだゾ」

 話を聞いてみると、俺が予想していた通りだった。悲しい。

 元の世界でも外見のせいで友達も出来ず、元の世界ですらゴブリンと呼ばれていたそうだ。

 人間への復讐に燃えるまで時間はかからなかったのだとか。

「で、死因と罪状は?」

「ああ? 死んだのは車に轢かれたからダ」

 よくある死因だな。

「バカップルがムカついたから、乗ってたフェラーリにつっこんでやったんだゾ」

 なるほど。それで死んだと……。バカか。

「フェラーリはひっくり返してやったんだが――」

 マジで?

「――その後ろから突っ込んできたトラックに轢かれたのが痛かっダ」

 おおう。元の世界でもムダに強くね?

 てかトラックって……、俺たちと死因が一緒ってちょっとやだな。

 南雲も同じような表情をしてる。同じ事を考えていそうだ。

「で、こっちの世界に来ても人間にはゴブリン扱いされたと」

「こっちの世界のほうが酷かっダ」

 確かに。本物のゴブリンがいるのだからよけいにマジになるだろう。日本語で話していたので未知の言語を話す魔物として誤認に拍車をかけたのだろう。


「どうやってゴブリンと仲良くなったんだ?」

「森の中で出会って、最初は同志だと思っダ。でも会話も出来ないし、良く見ると俺とも人間とも違う。で、襲ってきたから返り討ちにしてやっダ」

 そして片っ端から倒していったら仲間が増えたそうだ。どういうことだよ。

 気が付けば100匹くらいの集団になり、城壁警備隊とやりあううちに、もっと攻められると判断したそうだ。

 それで今回の大規模襲撃になったと。

「迷惑なヤツだな」

 しかし、どうしたもんか。

 このままだと反乱罪で斬首刑らしい。それでも良さそうだけど、同じ日本人として死刑になるのはちょっと気が引ける。実際、俺たちの活躍で死人は出てないし。

「お前、何か人の役に立つことする気ある?」

「ぞんなことするわけないゾ」

 根本から人間嫌いっぽいしな。そう簡単に性根は変わらないだろう。

「ここから出たら何したい?」

「人間を駆逐してやるゾ! 特にイケメン!」

「だよねー」

 よし、有罪。

「ユータ殿。こやつはなんと?」

「えっとぉ……」


 一応一通り説明した。転世などの部分はごまかしつつ、親に捨てられ野生に育ったとか適当に言っておいた。

「で、こいつどうなるの?」

「うむ。可哀想な生い立ちでもあるし、反省しこの街の益になることをするのであれば減刑もありえるだろうが、そうは見えぬしのう」

 ですよねー。



 夜。

 南雲は宿においてきた。メディーの命令でヴィーが護衛に残っているので何かあっても大丈夫だろう。

 メディーさんは連れてきた。この人は必要になる。夜だけど文句なども言わずに付いてきてくれた。

 面白いことをすると思っているらしい。俺はそうは思っていないけど。

「どもー」

 街の教会にやってきた。

 例によって鍵は精霊さんになんとかしてもらった。

「いきなりなんでござるか!? 深夜でござるよ!?」

 何故かわめいているオタクをとっつかまえ、教会を出る。

 そのまま夜中の街を歩く。人気はほとんどなくなっている。

 24時間営業の店などないこの世界では、夜中に歩いている人間はほとんどいない。

 まあ、飲み屋が結構遅くまで開いていたりするので酔っ払いは多少いるけども。

 基本的には日が沈んだら家に帰るのだ。


 牢屋のある建物までやってきた。

「先生! お願いします!」

「はいはい」

 メディーさんの目が光る! 光まくるよ!

 門番から看守さんまで順番にお休みして頂いた。

「な、何だべ!? こんな夜中に!」

 ゴブローさんが騒いでいるが気にしない。

「なっ、このゴブリン日本語をしゃべるでござる!?」

 オタクも何かわめいているが気にしない。

 というか、朝の戦闘のときには気付いていなかったのか?

「あー、こいつが新しく信者になりたいそうだぜ」

「なんと。ゴブリンも信仰を始めたいと!?」

 ゴブリンじゃないんだけど説明はしなくて良いだろう。だってどっちでも変わらないし。

「ああ、せっかくなので真の信仰者になってもらいましょうぜ」


 翌朝、牢屋の中に不意に現れた女神像を泣いて崇め奉るゴブローの姿があったそうな。


休みなので昼から更新。

外出できない皆さんにも楽しんで頂けると幸いです。

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