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1章 -49- え、俺がおかしいの?


「さーて、明日は何をしようかな」

 オタクをひっぱたいてちょっとスッキリし、街を探検したりウィンドウショッピングを堪能し、夕食を終えて食堂を出た俺が最初に言ったのがこれだった。

「あら? ゴブリンを退治するんじゃなかったのかしら?」

 メディーに言われるまで完全に忘れていた俺だった。


 部屋に戻り、メディーから話を聞くことにした。

 メディーいわく、今街の近くにいるゴブリンは今までのゴブリンとは少し異なるらしい。

 何が違うかというと、今までにない特殊な個体が群れのリーダーとなり、指揮をしているそうだ。

 その個体は人間を恐れず、知恵を持ち、屈強な体で、統率力も高いらしい。

 メディーの小屋の周りには魔物除けの結界を張っているため、襲われたことはないのだとか。


 そんな話をしていると、

「ゴブリンなら見たのじゃ」

 ヴィーが会話に参加してきた。

「見たって?」

「ユータを追って空を飛んでおったとき、森の中で陣を張っておるのが見えたのじゃ」

 マジか。ここにきて素晴らしい目撃情報だ。


 ヴィーいわく、城壁からほどほど近いところにいたらしい。

 群れの総数は100体ほど。

 ゴブリンの群れとしては破格の規模だ。通常10体ずつ位で行動することが多いらしい。前にハリーが30体でも大規模と言っていたし。

 というか100体のゴブリンに囲まれるのを想像するとぞっとする。

 まだゴブリンがどれほどの強さかわからないし、どれほど弱くても100体もいると数で押されてしまいそうだ。

 何よりキモイ。


 そこで気になることを聞いてみた。

「えーと、メディーとヴィーは戦力に数えてもいいのか?」

 一応同行することになった二人だが戦闘に参加してくれるかというと話は別だろう。

 戦闘なんて面倒だから嫌だとか言われるんじゃないかと思ったのだが、

「あら、当然でしょう。一緒に行くわよ。それにゴブリンなんて手間でもなんでもないわ」

「うむ。わらわも参戦するぞ。まあ、ゴブリン程度では100も200も大したことはないだろうが、しっかり活躍したらご褒美に一発たのむのじゃ!」

 心強いお言葉を頂いた。

 ご褒美云々のところは聞き流しておこう。一発とか言ってるあたり、変態的なご褒美なのは間違いなさそうだ。

 俺にロリを殴る趣味はない。


 しかし、この二人が参戦してくれるなら何も恐れることはないのでは???

『あたしたちもいるから余裕でしょ』

『問題ありません』

 精霊さんたちもいつも通りだ。

 少し安心するものの、気を抜いてはいけない。戦いになるのだから。

 とりあえず、ゴブリンは夜行性らしいので、日中に攻める方が効果的らしい。

 村や町が襲われるのも深夜が多いと言うことで、話し込んで夜更かししている今、動きがないのであれば一般的に明日の夜まで何もないらしい。

 ひとまず今日はお開きとなった。




 翌朝。

 外の騒がしさで目が覚めた。

「なんだ?」

「んん……」

 南雲サンはまだ寝ている。

 南雲なら俺の横で寝てるぜ状態だが一線は越えてないのだ。一線は。

 起き上がりベッドを出る。服は脱いでないので着る必要はない。越えてないのだ一線は。

 窓から外を見ると、街中は大騒ぎになっていた。

『ゴブリンが攻めてきてるみたいよ』

(へー、何それ、おいしいの?)

『悠太が退治するって言っていたやつですよ』

(ふーん……)

「え!?」

 思わず大きな声が出た。

「……んん? どうしたの?」

 俺の声に反応して南雲が目を覚ました。

 ほぼ全開状態のシャツから二つの幸せの塊がこぼれそうになっている。とってもグッドだ。

 しかしそれどころではない。


(いつから攻められてんの!?)

『30分前くらいから?』

(なんで起こしてくれないんだよ!?)

『悠太良く寝てたし』

『ここまで被害はまだ来ないようでしたので』

 キミたち俺以外のことに関して興味なさすぎだよ!?

 こっちに被害が無くても、現場では被害が出ているだろう。大変だ。

「南雲! 服着ろ! 街が襲われてる!」



「メディー! ヴィー! 起きてるか!?」

 着替えた俺たちはまず隣の部屋に呼びかけた。

「もう少し寝るのじゃー……」

 それどころじゃねぇよ! メディーに至っては反応すらしてないし!?

 許可も得ず扉を開けた。鍵は精霊さんたちが何とかしてくれた。

 部屋に入ろうと一歩踏み出すと、床の魔方陣を踏んだ。

 ん? 魔方陣?

「え?」

 直後、氷の槍が飛んできた。

「ひっ!?」

 反応できない速度で飛んできたそれは、風の結界に阻まれ方向を変え、横の壁に突き立った。

 ビィィィィィンと揺れている。

 侵入者対策過激じゃない? 今の頭部狙ってたよねこれ。

 てか、精霊たちにも分からないトラップって、結構怖い……

『いや、罠は分かってたわよ』

 じゃあ何で言ってくれないんだよ!?

『別に警戒する程のものではなかったので』

 ミズキもカグラも当然のように応えてくれる。もう、感謝の気持ち?で涙が出そうだよ。ありがとう!

 ビビったよ!


 とりあえず部屋に入る。もう罠は無いようだ。

 部屋はこちらと同じく、ダブルベッドの二人部屋だ。

 メディーさんは安らかにベッドで眠っている。これだけ音がしてるのに余裕だな!?

 ヴィーは床で“伏せ”状態で眠っている。何でだよ!?

 まあどうせメディーさんの仕業だろう。

「ちょ、起きて! ゴブリン来てるよ!」

 とりあえず寝方はスルーして二人を起こすことにする。

「……あら、ユータ。夜這いをするなら言っておいてくれないと。トラップ外しておくのに」

「違うわ!」

 眠そうにベッドの上で上体を起こすメディー。半透明のレースのネグリジェが凄くセクシーだぁ。そして起こす身体に合わせて動く膨らみのなんと柔らかそうなことか。今はそれどころではない。

「ゴブリンならまだ30分はここまで来ないでしょう?」

 この人も分かってて寝てたのかよ!

「ゴブリン如き放っておけばよかろう……」

 ヴィーも眠そうにしながら起きてはくれた。こちらは意に介してないようだ。こいつはゴブリンに囲まれても寝てそうだ。

「街の被害がでちゃうだろ!?」

 いろいろ言ってしぶしぶ準備をしてもらった。なんだろうこれ、俺がおかしいのだろうか。


新たにブックマークして頂いた方、本当にありがとうございます。

今後も頑張って更新して参りますので、何卒、宜しくお願い致します。

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