1章 -40- 仲間が増えましたー
とりあえず、名前も素性も何もわからないけど、とにかくエロくて悪役みたいなお姉さんが仲間になった。
訳わからん。
というかどう見ても怪しいお姉さんに、不安しかない。
「えっと、とりあえずお名前を伺ってもよろしいですか?」
思わず敬語になってしまう俺がいる。
「あら。名乗ってなかったかしら。わたしはメディア・グリードよ」
この名前! もう絶対悪役ですよね!?
メディアと言えば、神話に出てくる凶悪な魔女だし!?
グリードと言えば、例の錬金術師とかでもおなじみ7つの大罪の“強欲”だよね!?
……いや待て落ち付け俺!
こちらの世界では言語が違うのだから、意味も違うはずだ。神話とか宗教だって違うはず。冷静になろう。
「イイオ名前デスネ。ドウイウ意味ナンデスカ?」
滝のように背中を流れ落ちるのは冷や汗だ。人間こんなに汗をかけるものなのか。この話しが終わったら、俺、水を飲むんだ……
それに大罪級とかゲームやマンガによってはラスボスクラスだ。こんな駆け出し冒険者の前に現れるなんてありえないはずだ。出てきたらもうそこでゲームオーバーだ。
「うふふ。あたしの名前がそんなに気になるの? あなたには特別に教えてあげようかしら」
そう言って女は説明を始めた。
「メディアと言うのは、太古の昔に名を馳せた凶悪な魔女の名前。グリードは古い言葉で“強欲”を意味するらしいわ。……知っていたみたいだけど」
話しの途中からもう分かりましたからやめてくださいと全力で頷く俺に対し、不思議そうなお姉さん。
うん! ボク知ってた!
全力で信じたくなかった現実が目の前に提示されてしまった。
「えっと、メディアさんも魔女ってことですよね?」
「そうね。昔は崩天の魔女とも言われてたかしら」
天を崩すって、どう考えてもヤバそうな魔女ですね。
このお姉さんは関わってはいけない類のお姉さんだ。
なんでこんな危険極まりない雰囲気をかもし出しまくってる、どうみても悪役みたいな美女が俺のものになったんだろうか。
というか、普通に考えて俺のものになる理由が分からない。
どう考えても、何かをたくらんでいるようにしか思えないのだが。
「ええと、何をおたくらみになっていらっしゃるんですか?」
考えても分からないのでストレートに聞いてみた。
だってバカな頭で考えても良い答えが出てこないんだもの。
そもそも事態が普通じゃなさ過ぎて、経験がぜんぜん役に立たない。
「うふふ。別に大した事は企んでなんてないわよ」
やっぱり何か企んでるじゃん!?
だいたいこういう人のいう大したことじゃないっていうのは大した事なのだ。
「具体的には何を企んでるので?」
「あなたの力の根源を知ってみたいだけよ」
再びその赤紫の瞳が俺の瞳を覗き込んでくる。やっぱりこの人、俺の中の精霊が見えているんじゃないでしょうか?
『そんな感じはしないけどね』
『でも私たちの存在には気付いているのでしょうね』
どう考えてもお近づきにならない方が良いタイプの気がするのだが。
「ナンノコトデスカ?」
とりあえずごまかしておこうと思って片言で言ってみたのだが、
「お主の中の精霊たちの事じゃろう。なんでそんなに沢山おるのじゃ?」
逃げ切れるとは思っていなかったが、予想外の方向から確信をぶち抜くスナイピングを食らってしまった。
見上げると、先ほどのドラゴン娘が上空から降下してきたところだった。
トリップから戻ってきていたようだ。
「やっぱり」
メディアさんも何か納得してしまっている。そして非常に嬉しそうだ。
おもちゃを見つけた子供……というか、宝物を見つけた海賊みたいな顔をしている。
確信を持たれてしまった。非常に怖い。
「ナンノコトヤラ……」
冷や汗を流しながら適当なことを言って考える時間を捻出しようと目論むも、
「ドラゴンの目は遥か天空より地上の砂粒を見極めるものじゃ。お主の中に何がおるかなど簡単に見えるのじゃ」
ドヤ顔で胸を張るヴィレンターナ。
いやそれ、物理的な話とファンタジックな話しが混在してるよね。前半の話が後半の話しの理屈になってないし!
本人は全く気付いていないようで、一切気にした様子はない。
「神竜の目は真実を見抜くと言うわね」
納得顔のメディアさんは面白そうにこちらを見ている。
「あはは……」
もう笑ってごまかそう。
「本当に面白い子。これから宜しくね」
「わらわも宜しく頼むのじゃ!」
何故かドラゴン娘も一緒にくるような流れになっているが、もう考えるのが嫌になってきた。
どうとでもなれ!
「よろしくお願いします」
こうして俺たちは、ゴブリンを退治する前に謎に竜王種のドラゴンと崩天の魔女を仲間にしたのだった。
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