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1章 -21- ドラゴン


「ドラゴンだな!?」


 思わず叫んでしまった。

 なんで!?

 こういうのってラスボスなんじゃないの?

 ダンジョンの奥の奥まで行ったところで宝を守っていたり、山のてっぺんで縄張りとか巣とかをつくっていたり……

 山のてっぺん……


「ここですよねー」

 思わず自分で突っ込んだ。

 恐怖も通り越すと冷静になるもんだな。

 というかミズキさん?カグラさん?こんなの接近してたら気付いてたでしょう?

『気付いてたけど』

『特に問題はないかと思っていました』

 問題大有りだよ!?

「ふ、古川……」

 岩場に腰掛けたまま腰を抜かしたのか、南雲が動けずにこちらを見ていた。

「ど、どうしよう……」

 よし、まずは南雲を助けねば。

 ちょっと冷静になった。

(警告しなかったってことは、対応可能ってことだよな?)

『そうそう』

『問題ありませんね』

 そういうことだ。

 何のために修行をしてきたんだ?

 こういう怪物と闘うためだろ?

 異世界転世したときから想像はしてたんだろ?

 大イノシシは軽く吹き飛ばしたじゃん。

 やってやろうじゃない。

「俺が相手してやるよ」キリッ


 中国武術的な構えをとる。

 武術は習ったことはない。自分の部屋でマンガを読みながら試したものだ。それっぽい姿勢になるよう鏡の前で頑張って練習していたのが懐かしい。中学二年の夏のこと。

 半身になり、引いた右足に魔力をため、腰を落とす。

 脇をしめ、腰に構えた右手にも魔力をためる。


「グルルルルルルル……」

 ドラゴンは様子を伺っているのか、うなりながら見下ろしている。

「しゃっ!」

 気合一閃、右足の力を解放して一気に空へ飛び上がる。

 巨体の腹をめがけて飛び出した。

 うん。真上に飛ぶなら両足に力を込めれば良かった。TPO考えよう中国武術!

 それはそれとして、勢いよくドラゴンに接近することに成功。

 風魔法も併用して一直線に飛び込んだ。


「くらえぇぇぇぇぇ!!!」

 真っ赤な鱗の硬そうなボディに拳をぶち込む。

 ヒットの瞬間に右手にためた魔力を開放。これで大木くらいなら簡単にへし折れる。

(余裕ぶっこいた貴様の負けだ! クリムゾン・ドラゴン!)


 クリムゾン・ドラゴンというのは俺が勝手に呼んでみただけだ。なんか格好良いし。

 俺が勝利を確信したとき、脳内にミズキの声が響いた。


『貴様、いつから一人で勝てると思っていた』

(なん……だとっ……!?)

 ミズキさん、何このノリ。

 え?

 ダメなの?

『やはり、まだ悠太の技量では難しいようですね。この短期間で考えると上出来ですが』

 マジで?


「グルルルルルルルルルッ!!!!」

 ドラゴンは吹き飛ぶでもなく、そこにいた。

 というか、俺の拳はドラゴンの腹に当たっただけって感じだ。

 まあ、多少は痛覚を刺激したようで、ドラゴンさんの表情は酷くお怒りの感じ。

 うなり声のボルテージがさっきの比じゃない。


 つまるところ、これはヤヴァい。

 攻撃を終え勢いのなくなった俺は自由落下を始めていた。着地自体は楽勝なので問題ないのだが……。

 逃げるが勝ちってやつだな。

 判断を切り替えた俺は、落下の勢いのままに飛行魔法を発動する。

 南雲に向かって飛行。

 背後が熱い気がするのは気のせいだと思いたい。

『炎系のブレスが飛んでくるわよ』

 やっぱり?

 背後でドラゴンが口を開け、こちらを狙っているようだ。

 炎系のブレスというと、火球みたいなものだろうか。

 さらに加速し、南雲の横に降り立った。


「あれ、ムリ!」

 端的に伝え、南雲を抱きかかえる。

 腰を抜かしている感じだったので、背負うのは諦めたのだ。

「ちょっ!?」

 お姫様抱っこのようだが仕方ない。

 間髪おかず横っ飛びに走り出す。筋力は魔力で補強しているので、南雲の一人や二人抱えて走るぶんには問題ない。

 走り出した瞬間、さっきまでいたところが火の海になった。

 岩場が燃えるってどういうことだよ!


 そのまま崖まで走り、飛び降りた。

 落ちながら飛行に切り替え、全速力でその場を後にする。

 幸いドラゴンは追っては来なかった。



「ふぅぅぅぅ、死ぬかと思ったぁぁぁぁぁ」

 とりあえず全速力はやめたものの、そこそこ早いペースで空を飛ぶ。

 ドラゴンは背後にも見えないのだが、まだ心臓がバクバク言っているので思わずスピードが出る。

 やっぱり調子に乗るとダメだった。


(ま、自分の力量が見られたということで良しとしよう)

「これはまだまだ修行が必要だな」

「……あんまり危ないことしないでよ?」

 腕の中の南雲が言った。

 まだお姫様抱っこ継続中だが、不安定なためか、南雲も俺にしがみついている。

 強化魔法のおかげで腕の疲労は軽微だが、どこかで着地して背負い直したい。

 このポジションだと南雲サンの膨らみを感じられないし。


「何でだよ。危ないことにならないための修行だろ?」

「普通に暮らしてたら危ないことなんてないわよ」

「とは言ってもこんな世界じゃ何があるか分からないだろうよ」

「そうだけど……」

 南雲なりに心配してくれているようだ。

「ま、無理はしないよ」

 俺も死にたくないし、痛いのも嫌いだ。


 落ち着いてきたところでふと疑問が残った。

(てか、さっき対応可能っていったのは?)

 移動しながら脳内でミズキたちに話しかける。

『別に倒せるとは言ってないでしょ』

 まあ、そうだけど。

『でも、力の使いようによっては今の悠太でも十分対応は可能だったかと』

 カグラさんまでそんなこと。

 対応可能ってどういう状況を言っているのだろうか。

 マジで手ごたえが無かった。

 無かったというか、あったんだけど伝わらない。

 地面とか岩とか殴った方がまだ手ごたえがあるってものだ。ドラゴンってやつはどんな細胞をしているのだろうか。

 確かに拳はヒットしたのに、びくともしなかった。

 今回はたまたま追われなかったから良いものの、次も無事だとは限らない。

 そもそも、他にももっと危険な怪物がいるかもしれない。

 そう考えると、理想のまったり異世界ライフのためにも怪物に怯えなくて良い強さは必要だ。

 南雲には怒られそうだが、もっと修行をしておこうとこっそり決心したのだった。


最近寝落ちが多く、アップできずに寝てしまうことが……

なるべく連日更新できるようにはしようと思います。

今後とも宜しくお願い致します。

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