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1章 -13- 日本組


 その後が大変だった。

 何故かエルフたちに取り囲まれ、崇められているのかと思うような好待遇をされた。

 男たちを縄で縛り上げた後、村に戻ったが、戦いに参加していたメンバーが口々に何かを言っていた。

 一度男たちに捕まっていたエルフの女性も俺の手をとり熱心に何かを言っていた。

 どうやら精霊を2体も宿しているということと、村を救った救世主として俺の株が急上昇したようだ。

 特に、ミズキの顕現はインパクトがあったようだ。この世界の精霊よりはるかに大きく力も強かったと。


 実際精霊はもっといるのだが、面倒なので黙っておこう。

 とりあえず夜も更けていたので寝ることになった。

 捉えた男たちは手足を縛り上げた上で牢屋に閉じ込めた。

 縛った縄にはエルフが魔法を付与し鉄の強度になっているとか。

 牢屋も木製だったが、それも強化されているらしい。

 放置しても大丈夫だろう。

 全ては明日の朝考えよう。

 そう思い、案内された部屋で寝床に就いた。



 案内された部屋は、お世辞にも良い部屋とは言えなかった。

 エルフたちの生活水準はあまり高くなく、遊牧民族のような生活のイメージに近い。

 農作物を育てながらも狩をして肉を食し、木の実を集めたりもしている。

 当然家のレベルもいわずもがなだ。

 木造の小屋のような家が一般的で、全て手作り感が満載だった。

 案内された建物は村の中で一番大きく、丁寧に作られているようだったが、それでも小屋感が抜けていない。

 当然壁紙やフローリングなどあるはずもなく、壁も床も木の板のまんまだ。

 ドアも付いているが、ドアノブなどはなく、木の棒を引っ掛けて止めるようになっている。

 窓もガラスではなく、木の板を組み合わせただけの開けるか閉めるかしかないものだった。

 丁寧に掃除もされているようで汚れている感じはなかったけど、それでも日本人の感覚からするとボロ小屋の域を出ない。

 追加の板を張って直しているところなども、その印象を後押ししていた。


 まあ、こういうの嫌いじゃないけどね。

 ちょっとバンガローで泊まる感じでワクワクした。

 案内をしてくれた長老にお礼を言い部屋に入る。

 南雲の部屋は隣だった。


「あっつ……」

 部屋に入ると、思わず言ってしまった。

 昼外を歩いていたときから暑いと思っていたけど、夜になっても暑さはさほど引いていない。

 外より風がない分、中のほうがじっとりと暑く感じる状態だった。


『涼しくしようか?』

(ぜひ宜しく)


 ミズキの提案に迷うことなく乗っかった。

 水や風などの属性の精霊の力で涼やかな風を提供してくれたのだ。

 クーラー魔法だな。これすごく良い。

 湿度も程よく調整されていて、汗がすうっと引いていく。

 魔力の燃費が気になったのだが、そんなに消費はしないらしい。

 忘れかけていた能力、“魔力があふれ出してくる”という能力の効果で溜まる量の方が多いくらいらしい。

 自家発電自家消費とはエコだよね。ノーモアCO2。


 水浴びもしたかったけど、部屋に風呂らしきものはなかった。

 こういう世界では湯を張るお風呂は貴族のものっていうのが相場だ。

 ましてや森の住人、エルフたちにはない思想なのだろう。川とかで昼のうちにあびるのだろうか?

 とりあえず今晩は疲れたし、そのまま眠ることにした。

 藁か何かを入れた布が布団だろうか。

 寝心地はまずまず。ぜんぜん寝れる。

 最悪野宿も覚悟しかけていたので非常に嬉しかった。



 眠りに入る前、俺は脳内で会話をしていた。

(なあ、ミズキ)

『ん?』

(なんでお前あんなにデカイの?)

『ああ、そのこと』

 ミズキが言うには、発生がそもそも違うので、サイズが違っても当然とのこと。


『そもそもアタシ達は、精霊っていうより、八百万の神々って言った方が正確だからね』

 古い時代に元の世界にも存在した精霊たち。特に日本にいたそれらは八百万の神々と崇め奉られた。ただそこに存在するだけの精霊より、信仰の力を得た分強い力を持つらしい。

 現代社会においては世の中の魔力が薄くなり、なおかつその信仰も極度に薄くなっていたので、俺に拾われなければ消えていたそうだ。


 つまり、日本組(そう呼ぶことにした)はだいたいそんな感じ。

 だからエルフ達は驚いていたのだ。

 なるほど納得。


 ひとつの疑問が解消され、眠気もやってきたので寝ることにした。

 意識を手放す直前に、

(そういえば、明日からどうしようか……)

 という考えが頭をよぎったが、すぐに睡魔に押しのけられてしまったのだった。


まだ続きます。

今後とも宜しくお願い致します。

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