表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/137

3章 -2- 旧友たち


 ヘンリーたちが来た方向から、そいつらはやってきた。

 非常に嫌なヤツと目があってしまった。

 高身長でスタイルのいいイケメンである。

 切れ長の目が涼しげで、しゅっとした輪郭が爽やかさを演出している。

 が、俺はどうしてもアイツの表情が苦手だ。

「高橋?」

 南雲がその男の名を呼んだ。

 他にも数名、元クラスメイトたちがそこにいた。


「そそ、オレオレー」

 オレオレ詐欺かな?

「美紀!」

「南雲か?」

「マジでー!?」

 高橋と一緒に歩いてきたクラスメイトたちも口々に南雲に声をかける。さすがの南雲サンだ。

 校内人気No1は伊達じゃない。誰もが南雲に一直線!

 対する俺は、誰にも声をかけられないという……

「千佳! 絆! 茜!」

 南雲も旧友との出会いに嬉しそうだ。

 北条千佳、校内女子の人気No2だ。黒髪ストレートのクール系ギャルだ。

 ギャル? かどうかは分からないが、まあ、南雲たちのグループにいたのでギャルだろう。

 こいつも読者モデルとかで雑誌にちょいちょい載ってたらしい。

 スレンダーな高身長でかなりの美人さんだ。

 南雲とは一番仲が良さそうだった気がする。

 佐藤絆も校内人気者グループの構成員。校内男子からの非公式人気投票はいつも大体4位か5位だったはずだ。

 頭の悪そうなJKで、実際悪いらしい。胸もそこそこ大きくて、そのユルさから男子からはよく声をかけられていたようだ。

 仲谷茜も右に同じく。佐藤と4位5位争いをしていたはずだ。こいつも胸は大きめだ。

 何かとダルそうにしていて椅子に座る姿勢が悪く、ちょいちょい無防備だったりするので男子の視線を集めていた。

 実はオレも時々拝見させて頂いていた。だって見えるんだもん。

 思春期なんだから気になるよね!


 そして女子のきゃっきゃうふふの盛り上がりを横で眺める男子陣。

 まず高橋竜也。爽やかイケメンで校内での人気ツートップの一人で男子のリーダー的なやつ。女子の人気ナンバーワンの南雲の近くにだいたいいて何かと盛り上がっていた。俺の予想では、こいつは南雲に気があって、意識的に近づいていた気がする。

 南雲のすることにやたらと便乗していたふしがあって、古川イジメとか徹底的に乗っていた。プロのサーファーですかってくらいに波に乗っていた。便乗どころか本職ですと言わんばかりの絡みっぷりだった。

 まあ、いろいろやってもリアクションの薄い俺にイライラしていたようだが。

 そして加賀武。イケメンよりは男前って感じのガタイのいい男で、高橋に次いで女子の人気があった。

 180cmを越える高身長で、細マッチョ。中学までは空手をやっていたとか聞いたことがある。確か今は帰宅部だが、体育の授業などでは派手に活躍して女子の黄色い声援を受けていた。無骨そうに見えてノリも良く、高橋たちとよく盛り上がっていた。

 最後が相場隼人。パッと見イケメンでよく見ると普通な感じだが、高橋たちのグループの一員だ。

 見た目はそこまで良くないが、頑張ってイケテル感じになっているタイプ。盛り上げるのが上手くて、なんだかんだで人気者メンバーに混じっている感じだった。線は細めで華奢である。

 それにしても華のあるメンバーだな。

 ……こうして見ると、俺の地味さがすごく良く分かる。く、悔しくなんてないんだからね!


 女子たちの再会シーンを目の保養と称して眺めていると、視線を感じた。

「?」

 見ると高橋がこっちを見ていた。

 うん。ゴミでも見るような視線だな。

 何かあるのかと思ったが、高橋は俺を無視して南雲に話かけ始めた。

「しかしマジかよー。こんなところで会うなんてな」

「ほんとよね。……なんで、みんなここにいるの?」

 再会に驚いていた南雲も、こっちの世界にいるという理由に気がついたようだ。急に顔を曇らせた。

 転世しているということは、元の世界で死んだからだ。

 しかもクラスメイト数人同時というのは普通じゃない。


 聞くと、どうらや修学旅行のバスが事故ったらしい。

 ひとクラスが乗ったバスが高速道路で事故ったのだ。数人まとめてお亡くなりとかどんだけの事故だったのだろうか。

 てか修学旅行って、元の世界ではもうそんな時期か。

 ん? こっちと同じ時間の流れなのだろうか? この星そもそも一日が26時間くらいあるから日数もあやふやだ。

 南雲が続けて話しを聞いている。

 そしてクラスの人間の何人かがあの白い空間にいたとか。そしてそこで例のクソ女神と遭遇。

 気がついたらこの世界に飛ばされていたと。別行動をしている連中もいるらしい。

 てか何人もこっち送りって悪人多すぎない? そんなことあるのか?

 まあどうせあのクソ女神のことだ。イジメの黙認とか適当な罪状でまとめて送ってきたのだろう。

 人手が足りないようなこと言ってたし、まとめて死んだならせっかくだからとかありそうだ。

「いやー、まいったぜ。こっちの世界、言葉も通じなくてよ」

 といいつつ、なんだかんだ生活は出来ていたようだ。やはりリア充のコミュ力は異世界でも発揮されているのだろうか。

「よく生きていられたわね」

「「「?」」」

 俺と南雲は事前準備もなにもなしに、どことも知れぬ森の中に放りだされたのだ。南雲なんて与えられた力がどんなものかも説明無しにこちらに来ている。

 初日から盗賊や獣に襲われたりもしたし。そのイメージが強いのだろう。

 だが、高橋たちは疑問符を浮かべていた。

「まあ、俺たち強いからなぁ」

 高橋はわかっていないようだがそう言ってドヤってた。

「へえ……」

 南雲はそのへん鋭いのだ。分かりもせずに適当に答えていたら見抜かれるぞ高橋よ。

 というか気付いたからこその今のリアクションだろう。

 しかし、実際どれほどの力を貰ったのやら。

「美紀、大変だったのね……」

 北条は何かを察したようで、そうつぶやいた。

 まあ、大変だったのは最初だけだと思うが、それは俺の主観だ。

 南雲的には今も大変だと思っているのかもしれないな。今後はもう少し配慮しよう。

 先日のケモミミ愛好会突撃も正直安全だったとはいえないし、「大変」の部類だろう。

「わたし達は幸いというか、こっちに来てすぐに成り行きで人助けをして――」

「いやー、最初はビビッたよねー」

「マジマジ!」

 転世したその場で魔物に襲われていた人たちに出会ったそうだ。

 出会ったというか、転世した場所が近すぎてなし崩し的に戦闘に巻き込まれたらしい。最初こそ焦ったが、女神に与えられた力で無事切り抜けることができ、結果的にその人たちに感謝され、言語面などで色々助けてもらったそうだ。

 それでこの街までつれてきてもらったようだ。

 高橋が人助けとか想像も出来なかったが、成り行きとはそういうことか。

 教室でも弱いやつには遠慮の無いやつだったしな。

 まあ、人の生き死にを見たら少しは価値観も変わるのかもしれないが。



しばらく間があいてすみません……

リアルがバタバタしておりまして……


またボチボチ更新していきますので宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ