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2章 -46- 突撃は、計画的に

 俺たちは街の裏通りを歩いていた。


 さすがに表通りに堂々とはいないらしい。

 ざっと街中を見て回り、怪しい馬車が無いことを確認すると路地裏を探し始めた。

「あれか?」

 街の中心近くの深い路地の奥に、一台の馬車が停まっていた。

「そうね。認識阻害の魔術も使っているようだし、アタリじゃないかしら」

 どうやら黒らしい。


 俺の目には最初から馬車が見えていたが、どうやら認識させないように魔術が展開されていたようだ。

 精霊たちがオートで解除してくれていたらしい。

『当然よ!』

(さんきゅー)

 水を司るミズキがやってくれたとは思えないが、ドヤってたのでお礼を言っておく。

「意外と簡単に見つかったな」

「本当ね」

 あっけなく見つかったホシである。

 逆に本当にこれなのか心配になってきた。囮とかじゃないだろうか。

 メディーも不思議そうにしている。

「貴方たちが普通じゃないからじゃないかしら」

 腕を組んで俺たちの後ろに立つエルシアはため息を吐きながら言った。

「私には馬車なんて見えていないもの」

「アタシも」

 なるほど。普通の人、というか魔力高めのエルシアさんでも見えていないのなら、偽装はしっかりしているということか。


「そこに馬車があるのかしら?……確かに、風の動きが変になっているわね」

「ああ、黒いホロのかかった馬車があるよ」

 檻でも入ってそうなサイズの馬車だ。間違いないだろう。

 見張りなどは立っておらず、馬車は建物の入り口付近に横付けされていた。

 馬車の中は空のようだ。

 あの建物の中にガルーの娘は連れ込まれたと見て良いだろう。



「さっそく行くか」


「ちょ、あんた、計画とかないわけ?」

 南雲が慌てて俺を止めた。

「あ、確かに……」

 言われて気付いたが、何の対策も計画もなしに突っ込もうとしていた。

 自分で思っていた以上に俺は先走っていたらしい。

「まあ、でも関係ないな!」

 正直うじゃうじゃ考える時間がもったいない。

 今はもう、さっさとケモミミ愛好会とかいうふざけた会をぶっとばしたくて仕方が無い。そしてガルーの娘を助けるのだ。

「すぐ行こう」

「そうね。さっさと終わらせてご飯にしましょう」

「まったくね」

 俺の意見に当然のように同意するメディーとエルシア。

「はあ……。良いけど、アタシのことは任せるわよ?」

 ため息をつきつつもついてくる様子の南雲。

 なんだかんだと言いつつ、大丈夫そうだとは思っているようだ。

 とにかく俺たちは突入することにした。



「ちわーミカワ屋でーす」

「なにかしら?」

「何でサ○エさんなのよ……」

 どう入れば良いのか分からなかったので、サブちゃん風に気軽に入ってみた。

 当然メディーとエルシアには通じていない。


「なんだてめぇら?」

 中にいた男たちにも通じていない。

 外に見張りはいなかったものの、中に入ってすぐのところには人がいた。

 外にいると目立つからだろう。認識阻害もかけてあるし侵入された時だけを懸念して配置されていたようだ。

 体格の良い男が三人、俺たちの前に立ちはだかった。


「ここはケモミミ愛好会であってる?」

 一応確認をしておく。

「なんだ、客か?」

「しかし予約は無いぞ?」

 男たちは、こちらがガキと女しかいないためか少し対応に戸惑っていた。

 こちらがいかつい男だったら警戒もしたのだろうが、殴り込みには見えなかったのだろう。

 だが残念ながら殴りこみなのだ。


「予約してないからね」

 素直に答えておく。

「じゃあ入れねぇな」

「というか、どうやって入ってきたんだ?」

 完全に気を抜いている様子だ。

「客でもないからね」

 好都合なので、すぐさま“エアブラスト”を打ち込んだ。

「ぐふっ!?」

「あがっ!?」

 両手でそれぞれ一人ずつ、みぞおちを打ち抜いて気絶させる。

「ば、バカな!? ……あがががががっ!?」

 もう一人はメディーが適当にやってくれたようだ。見た感じきちんと殺さないよう加減をしていた。

 よしよし。いちいち言わなくても殺さないようにしてくれるようになったようだ。



「さて、行くか」

 気絶させた三人を放置して奥へと進む。

 玄関ホールのようなところから次への扉は一つだけだった。

 部屋を横切って次の扉へ歩く。


「何か音がしたが……」

 見張りが倒れた音を聞きつけたのか、奥の部屋からも男が出てきた。

「あ、どうも」

 出会いがしらに一発打ち込んで黙らせる。

「うぐっ!? ……ぅぅ」

 この男はタフだったようで、一撃では意識を刈り取れなかった。

 それでも意識が落ちる寸前と言った様子でよろよろと後ろの壁にもたれかかる。

「ぅ……」

 男は倒れる直前、壁にかけてあった絵を引っ張った。

 落ちるかと思った絵は、かけ紐が伸びたかのようにぶら下がった。

「あれ?」

 イヤな予感がする……と思った瞬間。

 ガランガランガランガラン

 壁の内側から鐘の鳴る音が響いた。

 侵入者を知らせる装置だったらしい。

「ちょ、ヤバイんじゃないっ?」

 確かに。

 敵が出てくる分には問題ないかと思うけど、裏口などから逃げられると面倒だ。


「急ごう」

 俺たちは歩を進めた。

ぼちぼちいきます。

新たにブックマークしていただいた方、ありがとうございます。

…考えたらここでコメントしても、新たにブックマークした人がここまで読んでるかは分からないんですよね(汗)


今のところ不定期更新ですが、もし面白いと思って頂けた方はご紹介頂ければ幸いです。

ここ以外で全く発信や宣伝など一切してないので……(色々使いこなせてないだけ)

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