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1章 -9- やっぱり言葉が通じないorz


「”#”’”%””#28$」”#)’U!!」

「)#&$#$”(#)!!」

「*+$2+“{‘!!」


 こちらに向けて放たれる怒声。

 やっぱり言葉はわからない。

 しかもその表情は憤怒である。


「@+5=)#$2$”!!」

 みんな武器を持って俺たちを歓迎してくれている。歓迎とはなんぞや?

 槍や弓を構え、こちらを狙っている。


 見た感じは盗賊っぽくはないのだが、この歓迎の仕方は歓迎されてないのだろう。

 俺は南雲を背中に隠し、両手を挙げて降参のポーズをする。

 世界が違うので、このジェスチャーが通じるのかも謎だけど。


「俺たちただの通りすがりなんですけどぉ……」

 通じない。


 どうしたものかと考えていると、彼らの背後の村に目がいった。

 その村のど真ん中には、何かの塔のようなものがあった。

 その塔はさぞかし立派なものだったのだろうが、今はその形を残念な感じで捻じ曲げている。

 しかも何かが引火したのか一部焼け焦げている。さっきの煙はこれが原因のようだ。

 焼け焦げ、捻じ曲がっているのは中腹くらいから。

 そして良く見ると他の建物もところどころ傷んでいる。

 そして塔の前の広場には大きな何かが置いてある。毛深く3mはありそうな塊だ。


(あれって、さっきのイノシシか?)

『たぶんね』

 今は死んでいるようだ。ピクリとも動かない。

 吹き飛んできた大イノシシが塔に直撃したのかも知れない。壊されお怒りということか?

 しかも村が荒れているという事は、飛んできた上に暴れまわったのか。

 それはもう気が立つでしょうよ。

 誰だ吹き飛ばしたやつ。


『それだけじゃないみたいだヨ』

 お?

 ミザリーが翻訳してくれた。。


『人間が村に近づくなだっテ』

 人間?

 目の前の人たちを良く見ると、みんな耳が尖っている。

(もしかしてエルフってやつか!?)

 その怒りの表情や武器ばかりに目が行ってしまい、気が付いていなかった。


『そうだネ。エルフはこの世界でも希少な種族。見目麗しいけどその分プライドも高いヨ』

 ゲームなどでおなじみのエルフ。

 生で見られるとは思わなかった!

 しかも定評どおり皆さん美男美女。

 ただそれゆえに憤怒の表情には怖いものがある。


(どうにかして対話できないものかね……)

 そう考えていると、エルフの皆さんの興奮はどんどんエスカレートしていっていたようで、放たれた一本の矢が俺の足元に刺さった。

「ひっ」

 俺の後ろの南雲がびくっとなっている。

 立ち去らなければ当てるぞ、ということだろう。

「おおう……」

 皆さん目がマジだ。


 しかし、俺たちもこの村を素通りするのは避けたい。

 食も寝床もない森で夜を越すのは怖いものだ。

 可能なら対話をし、ここで泊めてもらいたい。

 こんなことならワールドワイドなコミュ力を習得しておくんだった!

 しかし脳内会話が趣味の中二病には無理な話である。

 あ、中二病ではなかったか。精霊は実在してたわけだし。

 うん、病気ではない!


「#$%$(#!!」

 考えるのが長すぎたらしい。

 リーダーっぽいやつの掛け声と供に、弓矢が一斉に放たれた。

(やばっ!?)

『大丈夫』

 カグラの声が聞こえたと同時、突風が俺たちを包み込んだ。

 “エアーディフェンス”だ。

 球状に風が吹き荒れ、矢を弾き飛ばしていく。

 相変わらずのオート迎撃システム。安心です。


(これ俺かなり余裕じゃね?)

『そうですね』

 それはさておき、エルフの皆様の驚きよう。

 もうそれは目をかっぴらいて……さっきより表情が険しくなった。


「#$&#!!」

 今度は何人かの手元が淡く光り始めた。

 魔法か魔術か知らないが、使う気か。

『魔法ね。あれやってよ』

(今度はどれ)

『さっきの、周囲の魔力を集めるやつです』

 周囲の魔力を吸い取れば、阻害できるってことか!?


 迷わず実行。

 呼吸とともに、周囲の自然の力を取り込むイメージ。

 全身の皮膚を通して力を取り込み、飲み込む。

 一息に吸い込んで気がついた。

「尋常じゃねぇ!?」


 五感とは違うセンサーが訴えかけている。とてつもない量の何かが身体の中に入ってきた。

 さっきとは比にならない。

『やっぱり。エルフは魔力の濃いところを好むからネ』

 どうやら場所によって濃い薄いがあるらしい。

 そういえばそんなことも聞いてたような気がするな。

『そもそも悠太の吸収力もすごいけど』

 ミズキいわく、元々魔力なんてほとんど存在しない世界で繰り返しやっていたので、収集能力がすごくなっていたらしい。薄い酸素で肺を鍛える高山トレーニングのようなものだ。

 周囲一帯の魔力を一息で吸い尽くしたようで、エルフ達が実行しようとしていた魔法は不発に終わっていた。


「………………&##$#!?」

 今度はさすがに困惑の表情をしている。

 やっぱり表情は前の世界と共通するようだ。ちょっと安心。


『ワタシが話をするヨ』

 ミザリーがそう申し出た。

(話なんてできるのか?)

『今の魔力があれば実体化できそウ』

 精霊の実体化には魔力がいるらしい。

 だからパワースポットと言われるエリアでは精霊とかの類が見えるのだとか。

 普段は見えない存在として隣にいるらしい。

(じゃあ任せる)

『りょーかイ』


 言うが早いか、俺の目の前の空中に半透明の美女が現れた。

 褐色の肌にエメラルドの瞳。ウェーブする金髪がさらさらと流れ、その髪の間から透明な羽が2対伸びてはばたいている。くびれのある綺麗なスタイル。身長が20cmくらいしかないのが残念。


「$%”&() #$%”!」

 ミザリーの説明が始まった。

 エルフたちは最初、ミザリーの姿を見て驚いていたが、すぐに話しに聞き入っていた。


『エルフは精霊を信仰してるみたいね』

 ミズキが教えてくれた。他の精霊から聞いたらしい。

 そもそもこの世界では精霊は特別な存在なのだとか。

 自然の力そのものだったりもするし、信仰の対象に宿ったりするらしい。

 力を司る存在として、魔法を使う際に手助けもすると。精霊魔法ってやつかな。

 ただ、精霊は人を選ぶことも多く、精霊と供にいられる存在は稀有なのだとか。

 ということは、エルフの信頼を得られるのでは?


 思惑通り、ミザリーの説得はあっさりと済み、エルフたちに歓迎してもらえることとなった。

「#“#%#%&#」

 相変わらず何を言っているのかわからない。

「精霊が信頼する人間なら我々も信頼するだっテ」

 ミザリーが翻訳してくれる。


 精霊様様だな。

 本来エルフは人間を里には入れないそうだが、精霊憑きとして特別扱いをしてくれるらしい。

 早速村の長っぽい人に案内され、村の中へ進んでいく。

 森での野営を免れるどころか、しっかりご飯まで用意してくれることとなった。

 南雲も俺の付き人としてか、しぶしぶ歓迎されていた。


頑張って更新してまいります。

ご感想・ご評価頂けると幸いです。

何卒宜しくお願い致します。

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