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第三十八話 世話焼き魔獣と甘えん坊の神獣ⅩⅦ

あと一回で長かった章もラストです。

もう少々お付き合いください。

「ごめんなさい」

ケルベロスたちが人々に頭をさげた。


「今回の件は領主の行動が全ての原因だ。それでも関係の無い貴方たちに迷惑をかけたことは、決して許されることじゃない。」

僕も一緒に頭を下げた。


「それでも、謝罪を受け入れてほしい!」

ごまかそうと思えば、何も言わずに街を立ち去ることもできるだろう。

だが、子供たちには謝ることから逃げるような大人にはなって欲しくない。

謝ることはとても勇気がいることだ。

誤っても許してもらえないこともある。

こちらの自己満足だと言われたらそうなのかもしれない。


「ごめんなさいって…」

「家が壊れて、どれだけお金が掛かると思ってるの!!」

人々からも不満や非難の声があがる。


ケルベロスたちも人々の負の感情をもろに受け震えていた。

自分たちのした事が、どれだけの人たちに迷惑を掛けたのか、そしてその代償をどのように償えばいいのかわからずに震えている。

実際に被害にあった人のことを考えれば、背景にどんな理由があったなど知ったことではないだろう。

領主の悪事とそれは別問題だ。


僕も再度被害者たちに頭を下げようとしたところで、僕たちに前に男が進み出た。


「おやおや、子供をよってかかって酷い人たちだ」

その男の顔を見て僕とマナリスが同時に声を上げる。

「ダガー!」

「先ほどぶりですね、お二人とも」

エリザが誰ですかと、僕に目配せを送ってきた。

僕も問題はないと頷き返す。


「マナリスさんに恩返しに来ただけですよ」

「恩返し?」

マナリスは不思議そうな顔で首を傾げた。

マナリスの一言がダガーを救ったことに彼女はピンと来ていないようだ。


「この場は私にお任せください。悪いようにはいたしません。」

そう僕に言うと被害者たちの前に歩み出した。


「私は商人のダガーと申します。被害にあわれた方々には、是非私の方から援助させていただければと思います。」

そう言って彼は大きな袋を被害者の前に置いた。

「どうぞご確認ください。」

ダガーの言葉に一人の男性が袋の中身を確認する。

「金貨だ!」

袋の中身はギッシリと大量の金貨が入っていた。


「決してお金だけで、すべてが元通りになるとは思いませんが、私にできる精一杯の援助をさせていただければと存じます。」

とダガーはオーバーにリアクション付きで被害者たちの前で演説していた。


彼の演技に僕とマナリスは苦笑する。


実際に大金を目にした被害者たちはその態度を一変した。

「そういう事なら問題はないが…」

「私たちも家がもとに戻るならねぇ…」

ルシフェルが派遣してきた軍の人たちにも手伝ってもらい、被害に合わせてお金は分配された。


ひと段落したところで、僕はダガーに声をかける。

「いつから商人に転職したんだ?」

「つい先ほどになります」

彼は悪びれることもなく答えた。

「貴方に負けて暗殺者としての信用も地に落ちましたしね」

彼は憑き物が落ちたようにスッキリした顔をしていた。


「ダガーありがとう、本当に助かったわ!」

マナリスが僕たちの方に歩いてきた。

「でも大丈夫なの、あんな大金?」

「はい、問題ありませんよ。私のお金ではありませんから」

僕とマナリスが首を傾げる。

「領主さまの隠し金庫内にあったお金を拝借しただけですので」

ダガー笑顔で答える。


「それ大丈夫なのですか?軍が調べたときに問題が出るのでは?」

エリザがいつの間にか傍に来て会話に参加してきた。

「問題ないと思いますよ。悪いことで稼いだお金はどこの帳簿にも記録がないはずですから。記録のないお金は無いのと同じですよ」

「なるほど仰る通りですね」

ダガーとエリザが笑顔で頷きあう。

この二人意外と相性がいいのでは?


そんなことを考えていると軍の人たちに話を聞かれていたケルベロスがやってきた。

「話終わったよ」

実際僕の方で詳しい事情は伝えていたのでケルベロスたちには特に罪は問われることはないように根回ししている。


「さて、これからの話をしようか?」


これからも多くの人に読んで頂ける様に頑張って書いて参ります。

ブクマや評価の方も宜しくお願い致します。

本当に書く原動力・励みになりますので宜しくお願いします。

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