第三十五話 世話焼き魔獣と甘えん坊の神獣ⅩⅢ
考えてる事を文字にするって、何でこんなに難しいのだろう。頑張ります。
「言ったろう…場数がちがうと」
男の顔から笑みが消えた。
「二回…二回目で見破りますか…。」
僕は手の中にあるソレを見る。
透明な鋭利な刃、ナイフに紛れて同時に透明な刃を投げていたのだ。
「単純だけど効果的な手だね。」
この言葉は本心から出たものだ。
しかし、男にはそうは聞こえなかったようだ。
「くだらない芸だと笑いますか!」
男が初めて作り笑いから感情が漏れ出した。
「いや、この技は君が生きる為に身に付けたモノだろ。並の者なら君の最初の投擲で倒れるだろうし、強者になるほど視覚や魔力探知に頼って戦う傾向にあるからね。」
視覚に頼ると、先ほどの僕の様にギリギリで見えるナイフ躱すと透明な刃に切り裂かれる。魔力で風の刃で似たような事は出来るだろうが、魔力探知ですぐに見破られだろう。
「フェンリルを取り返しに来たお人好しが、人を殺める技術を褒めるとは以外ですね。」
男の言葉に僕は答える。
「別に褒めた訳ではないけどね…。あなたがその技術を身に付けなくては生きて行けない世界にいたのはわかるから…。」
「ただ、言ったろ…場数が違うと。僕はおそらく、あなたの何倍もの死線を潜り抜けているし、この手も…比べられないほどの血で染まっているよ!」
そして僕は一気に魔力を解放して男との距離を詰める。
「なっ!」
男は驚きの声を上げる。
僕は拳を男に当たる直前で止めた。
しかし、男は衝撃波で後方吹き飛ばした。
男はかなりの勢いで壁に叩き付けられる。
「ガハッ」
男は叩き付けられた衝撃で血を吐く。
僕はゆっくりと男のもとに歩いていく。
「安心しろ、死にはしないさ。しばらく衝撃で動けはしないだろうけどね。」
「な、なぜ殺さないのですか?」
男がそう言って僕を睨んでくる。
「僕はフェンリルを取り返しに来るほどのお人好しだからね。」
マナリスも隠れていた柱の影からこちらに向かって歩いてきた。
「…トドメをさすの?」
マナリスが不安そうに聞いてくる。
「いや、そのつもりは無いよ。それに彼は僕の事を知っているようだしね。」
僕の言葉を聞いた彼はフッと苦笑いを浮かべると話をはじめた。
「確かに、私は以前からリュウトさんを知っております。この街が戦場になりかけた時に、お見かけしました。」
なるほど、アホな領主の所為で大変な戦いになった時か。
「私は当時、相手がたの暗殺部隊に所属しておりました。こう見えても部隊長をつとめていたんですよ。領主からリークがあり混乱するのは予想できました。私の任務は混乱に乗じて、脅威になりうる存在の排除。」
あの領主、相手側に情報まで流していたのか絶対にボコボコにしてやる!
男の話を聞いて、そんな事を考えていた。
「しかし、私は貴方の戦いに恐怖し、見惚れてしまった。感情を持つことを許されない暗殺者が排除対象に心を揺さぶられたのです。正直屈辱でした。」
あの時は多くの仲間を失い、僕も怒りで真祖の力が漏れ出していたはずだ。
「感情が芽生えた…恐怖を知った暗殺者など、使い道はありません。人を殺せなくなった私は闇ギルドに落ちました。今日、貴方を見て過去を取り戻すチャンスだと思い挑んだのですが、結果はこの通りですよ。もはや私に価値はありません。」
男は力なく笑った。
「バッカじゃないの!」
これからも多くの人に読んで頂ける様に頑張って書いて参ります。
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