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第三十二話 世話焼き魔獣と甘えん坊の神獣Ⅹ

前回のサブタイトルに誤りがありました。

修正しました。”世話焼き魔獣と甘えん坊の神獣Ⅷ”→”世話焼き魔獣と甘えん坊の神獣Ⅸ”

に変更しました。


「それじゃ、話して貰うとしますか。」


「なんだこれ!」

「動けません…」

「この糸切れない!!」

三つの顔が必死になりエリザの拘束から逃れようと足掻いていた。


「やめろ。無理に動こうとすると身体を傷つけてしまうぞ。」

僕が話しかけながら近づくと、ぐるるる…とケルベロスは威嚇の声を出した。

「さっきも言ったが僕に戦う意思はない、もちろん拘束したお前達をどうこうする気もない、

ただ話を聞いてほしいだけだ。」

僕はなるべくケルベロスを落ち着ける為に、優しく話しかけた。


「戦っている時、あの子を街の人間に売ったと言っていたな?」

「そうだ!お前達以外あの子の事は知らないはずだ!」

僕は後ろにいる二人に目配せをする。

マナリスとエリザは即座に首を振った。私達は話してはいないと。

「…悪いが俺たちは無関係だ。」

俺たち以外となると商人親子から漏れたのだろう。

だが、ここで商人親子をケルベロスに差し出したところで解決はしない。

なら僕の取る行動は一つしかない。

「フェンリルがいる場所を教えてくれ。僕がフェンリルを助け出してくるよ!」

「!?」

ケルベロスの6つの目が驚いた様に僕を見つめてきた。

「…本当に助けてくれるの?」

「ああ、僕の強さは知ってるだろう?」

3つの頭は暫く悩んでいたが、

「街の奥にある大きな建物からあの子の存在を感じる…。…お願いあの子を助けて!!」

僕は巨大になったケルベロスの鼻を撫でながら応えた。

「任せておけ!」


「二人は此処にいてくれ。」

僕はマナリスとエリザに声をかけた。


エリザは拘束を維持する為にここからは動けないだろうし、マナリスは危険が

ある場所には連れていけない、十中八九戦闘になるだろう。

「私は付いていくからね!」

「ダメだ!」

マナリスの言葉に僕は即答した。

「何でダメなのよ!?」

「危険がある場所には連れてはいけない。」

「危険な場所ならリュウト一人で行かせられないよ!」

正直言ってぼく一人の方が安全だ。だが正直にそれを言ってしまっても

よいものか悩んでいるとエリザがマナリスに助け舟を出してきた。


「危ないところに行かせないだけが守ることではありませんよ。それに私も

拘束を維持する為、身動き出来ませんので連れて行って頂けた方がよいかと思いますが?」

その言葉を受けて僕は暫くどうするべきか悩んでいた。

「…まったく、一人の少女すらお守り出来ないのですか?それでも先の大戦の英雄ですか?」

僕が悩んでいるところにエリザがヤレヤレといった感じで言葉を続けた。

マナリスは僕をジッと見つめていた。

「はぁ~~、わかったよ。マナリスちゃんと僕の言う事を聞くんだぞ!それが絶対条件だ!!」

僕の言葉に嬉しそうにマナリスは頷いた。

「うん!!絶対リュウトの言う事を聞くわ!」

本当かよ~?なんて思いながらも一度出してしまった言葉は引っ込めることは出来ない。

「いくぞ!遅れるなよマナリス。」

そう言って僕らは領主の屋敷へと駆け出した。



~領主の屋敷~


「美しい!まさに神が作りし伝説の生物だ!」

檻に入れられた銀色の毛並みを持つ神獣の美しさに領主は言葉を漏らした。

「守護していた魔獣も留守にしており、フェンリル自体も先の話で聞いた通り力を

使い過ぎた様子で殆ど抵抗もありませんでした。」

フェンリルを捕まえてきた闇ギルドの吟遊詩人も肩透かしだった様に説明した。

「安心しろ、言い値で買おう!」

領主も上機嫌で答える。

「ありがとう御座います。これからもご贔屓にお願い致します。」


領主達が話している間、怯えて小さくなっていたフェンリルが何かを感じたのか

顔を上げ嬉しそうに「わん!」と一鳴きしたと同時に屋敷の門が轟音と共に吹き飛んだ。


ドォォォォオオン!


「なんだ?何事だ!」

領主が慌てて部屋の窓から屋敷の門を確認した。


爆煙から出てきたのは青年が一人と少女が一人だった。

「リュウト、こんなに派手に門を壊す必要があったの?」

「正義の味方は派手に登場しないとな。」

僕の嬉しそうな声を聞いたマナリスが呟く。

「過去の恨みも込めてるよね…絶対。」

僕は拳をバキバキと鳴らしながら、ゆっくりと屋敷の方に歩き出す。


「さぁ!誘拐された子を救いに行こうか!!」


PVが10000にもう少しで到達しそうです。

これからも多くの人に読んで頂ける様に頑張って書いて参ります。

ブクマや評価の方も宜しくお願い致します。

本当に書く原動力・励みになりますので宜しくお願いします。

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