第十九話 マナリスⅨ
投稿が遅くなりました。
正直あまり纏まっていないので書き直す可能性があるかもしれませんww
そのままで行くかもしれませんが…(汗
~ルシフェル視点~
やはり、彼女の体調が戻った事でフラウロスの血を入れることを考える者が出てきたか。
確かに悪い手ではない。マナリス嬢を妻に迎えることで、少なくともフラウロス派の
反乱は押さえ込むことが出来るだろう。
そして、私は無理でも幼いマナリス嬢になら色々取り入ることも簡単だとも考えての
事だろう。影で色々動いていたことは、報告で受けていた。
しかし、私にはどうしても分からない事がある。
何故、彼らはこうも“アイツ”のことを過小評価するのだろうか?
私は魔族統一を考えた時、アイツが賛同してくれるかが、最大の難関と考えて
いた程だというのに。
確かに悪くない手ではあったが、今この瞬間においては
“最悪の悪手”になろう。
~リュウト視点~
「…以上のことから、マナリス様を妻に迎えることを提案します。」
彼は如何にマナリスを妻に迎えることによるメリットを語った。
マナリスの意思など、まるで無視をして…道具の話をする様に…。
「賛成される方は立って意思を示して頂きたい。」
恐らくは、既に過半数以上に裏で手を回していたのだろう。
彼は勝つことを疑うこともない自信に満ちた顔で立っていた。
しかし、直後苦悶の表情に変わる。
誰も席を立たなかった。
いや、誰も立てなかったのだ。
「どうした?…賛成の奴は立つんじゃないのか?」
僕は声を発した。
しかし、誰もその声に応えない。
当たり前だ、今この部屋はリュウトの凄まじい魔力によって圧を掛けられている。
以前、八つ当たりで発していた魔力とはケタが違う。
僕の瞳は黒から紅へと変わっていた。
そう、真祖の力を解放した時と一緒な瞳の色だ。
他者の血を飲む以外に、僕が本気でキレている時に普段押さえつけている
真祖の力が一部漏れ出すのだ。
この魔力の圧には、並みの戦士でも立っているのは困難だろう。
リュウトの隣に座っているヒルダですら、額に汗を浮かべている。
あの子は暗闇から一歩踏み出したところなんだ、それを邪魔するモノは
誰であろうと“俺”が排除する。
「リュウト、もういいだろう?少し落ち着け。」
ルシフェルが僕に止めるように言ってきた。
あの魔力の中、平然としていたのは大したものだ。
僕は少し平静を取り戻し、魔力の放出を止めた。
「貴様!この様な力ずくのやり方が通ると思っているのか?!」
「そうだ!ルシフェル様の知り合いだか知らんが何様のつもりだ!!」
魔力に押さえつけられていた者たちが、一斉に不満をぶつけてきた。
「静まれ!!」
ルシフェルの一喝で、部屋が静まりかえる。
「先ほどのマナリス嬢の提案は却下だ!」
ルシフェルの言葉に、直ぐに提案を持ちかけた男が噛み付く。
「何故です?私達の言葉より、この者の言葉を受け入れるのですか?」
その男に言葉にルシフェルが答える。
「俺は、こいつを…リュウトを誰よりも信頼している。」
ルシフェルは真剣な顔で僕を見て言った。
そして表情を崩してから、
「折角の平和な世を、魔族統一の夢を手にして直ぐに手放したくはない。」
ルシフェルの言葉にヒルダと数人が笑いながら頷いていた。
「…どういう意味ですか?」
男は理解できないといった感じで言葉を返した。
「リュウトがその気になれば、ここにいる者を皆殺しにして戦乱の世に戻すのも
簡単だと言っているのだ。」
絶句する男にルシフェルは言葉を続けた。
「強さのみが支配するといった昔の魔族の考え方なら、私よりもリュウトの方が
“魔王”を継ぐべきなのかもしれんな。」
「そんな面倒なものを継ぐ気はないよ。」
ルシフェルに向かって僕は言う。
「ただ、僕の大切なものに手を出そうと言うなら、誰であろうと…」
“潰す!”
その言葉に男は力なく席に座った。
その後、会議は問題なく進んでいたが、僕は全く関係のない事を考え
一つの僕なりの答えに辿り着いていた。
いつも読んで頂きありがとう御座います。
まだまだ、拙い文章ですが楽しんで頂けましたら嬉しいです。
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