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第十六話 マナリスⅥ

すいません。

今回もあまり話が進みませんw

どうしても一度ルシフェルとヒルダの兄妹会話を書いてみたい衝動に

負けました。

「私に一つ今のお嬢様でも食べて頂ける料理に心当たりがあります。」

エリザはマナリスに会ってから僕と一緒に部屋を出たタイミングで一筋の希望を示した。


「本当ですか?!」

僕は驚いてエリザを見る。


「はい…、ですが問題があります。」

「問題?」

どうやら一筋縄ではいかない希望らしい。


「はい、奥様がよくマナリスお嬢様にお願いされて作っていたスープです。」

エリザは少し悲しそうな表情を浮かべた。

フラウロス殿の奥さんの事を思い出したのだろう。


「作り方がわからないのですか!」

「いいえ、大体の作り方は私にもわかります。」

彼女は僕が思いついた最悪の事態だけは即座に否定した。


「よかった「ですが…!」」

僕の安堵の言葉を遮る様に言葉を続けた。

「ですが…!私には奥様の味を完璧には再現出来ません。」

彼女の言葉が、よく分からなかったので質問を返した。

「どういう意味ですか?」


「奥様のスープには隠し味があるのです。私も何度か作ってマナリスお嬢様に食して貰ったのですが、

やはり奥様のモノとは違うと仰っておりました。」

まったく、天国を見せられた後に直ぐに地獄に落とされた気分だ!

隠し味を知ってる女性は既にこの世にはいなく、手がかりがある可能性のあった屋敷も一緒に燃えてしまっている。


「八方塞か!」

僕は苛立ちから髪の毛を掻き毟りながら言葉を吐き捨てた。


「この程度の事でリュウト様は諦めになるのですか?」

彼女が僕の態度を見て言ってきた。

「まさか、諦めるつもりならもっと前に諦めてたさ。」

僕は彼女を見つめ返して言葉を続ける。

「それに今は微かな希望もある、マナリスを救うスープが出来るまで作り続けるさ!」

その言葉を聞いてエリザはニッコリ微笑んで

「もちろんで御座います。調理場にご案内して頂けますか。」

「ああ、もちろん僕も全力で手伝わせて貰うよ。」




コンコン…


「兄様入るわね。」

ルシフェルが仕事の処理を行っている書斎へヒルダは入っていった。


「これ頼まれてた書類置いておくわね。」

ヒルダは机の空いてる場所に持っていた書類を置いた。


「ああ、ありがとう助かったよ。」

ルシフェルが仕事をしながら礼をヒルダに返した。


「机の上少しは整理したら?」

書類だらけの机を見てヒルダが少し呆れながら言ってきた。

「これでも、かなりの速度で処理しているんだがね。戦後処理になると簡単には終わらないよ。」

ここで初めて手を止め、ルシフェルは顔を上げてヒルダを見た。


「知ってる…。」

ヒルダはつまらなさそうに言った。


「リュウト兄が厨房で何か始めたらしいわよ。」

「ああ、報告は受けているよ。好きにやらせる様にも言ってある。」

ヒルダの態度を見て直ぐにルシフェルは理解した。


「ふふ、リュウトに構って貰えなくて寂しくなったか?」

「なっ!違うわよバカ兄様!!!」


ヒルダは真っ赤になって大声を上げた。どうやら当らずも遠からずといったところらしい。


「…リュウト兄が元気になったのは嬉しいけど…その~女性と二人きりで…しかも結構美人…。」

ヒルダがボソボソと言っていたが後半は小さ過ぎて聞き取れなかったが、リュウトが連れてきた女性との関係が気になっているようだ。

厨房で何か起こるはずもないだろうと思うルシフェルだったが、年頃の妹には大問題なのだろう。


「それこそ心配ないだろう。リュウトは誰かの為なら周りが見えなくなるからな、それにアイツの鈍感さはお前が一番よく知っているだろう。女性と二人きりで何かが起こるようならアイツはとっくに誰かと恋仲になっているよ。」

ルシフェルが笑いながらに言った。


「わかってるけど、なんかモヤモヤするんだもん。」

最近は公私混同を避ける為に言葉使いに気を使って話しかけてくる妹が段々と昔のような兄弟の会話になっていくのが嬉しくなったルシフェルはツイツイ調子に乗ってしまった。


「皆が憧れる三番隊隊長ヒルダ様も一人の恋に悩める乙女ということかw」

「兄としては妹にはいつまでも槍を振り回しているのではなく、早く幸せになって子供の一人でも作って貰いたいがね。それがリュウトとの子なら私は大いに甘い叔父さんになると思うよ。」


「兄様がそれを言うな~~~!!!私のことより早く結婚して世継ぎを作りなさい!!!!!!」

屋敷中にヒルダの叫びが響きわたった。



…後日それが原因かは分からないがルシフェルのもとに、暫く見合い話や婚約関係の話が怒涛の様に届きルシフェルは頭を悩ませたそうだ。


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