第十話 2章プロローグ
新章スタートです。
孤児院からのお話でスタートです。
~孤児院~
僕はエリザに押される様に子供達の待つ孤児院へと入って行った。
食堂の大広間に入ると子供達が部屋決めで揉めているようだ。
「コラコラ、なにを揉めているんだ?みんな仲良くしなきゃダメだろう。誰と一緒な部屋だっていいじゃないか?」
僕の言葉を聞いて、子供達が一斉に僕に向かって叫んだ!
「「「リュウト(あにぃ)(お兄ちゃん)(お兄様)と誰が同室になるか決めてるから黙ってて!!」」」
「お、おう…」
子供達の迫力に情けない返事しか返せない僕に代わり、エリザが僕の前に立ち子供達に言い聞かせた。
「皆様!リュウト様は大人の男性です。」
うんうん。
エリザの言葉を聞きながら僕は相槌を打つ。
「そして、皆様は少女です!」
そうそう。
「いえ!幼女です!!」
…ん?
「そんな凹凸のない貧相な体では、リュウト様を満足させることは出来ません!!!」
おい!?
「以上のことから、私がリュウト様と同室になるのが必然かと!」
エリザの言葉に自分たちの平らな胸を押さえながらショックを受けている幼女…もとい少女たち。
当然だと言わんばかりの宣言をし、胸を張るエリザに面食らっていた僕だが、我に帰り
「バカなこと言ってないで…」
「ふふふふふ…エリザ、それは遺言と受け取っていいのかしら」
僕がエリザにツッコミを入れようとしたその時、とんでもなく物騒な言葉にぶった切られた。
言葉を発した少女は赤い髪をなびかせ、少女とは思えない魔力を全身に迸らせながらエリザの前に立った。
「マナリスお嬢様、お嬢様の絶壁と私では戦力(胸のサイズ)差は圧倒的ですが」
確かにエリザはメイド服で分かり難いが立派なモノをお持ちであるのは、皆が知っている事だった。
「わ…私は、私はまだ成長期だ~~~~!!」
マナリスの魂の雄叫びが孤児院を振るわせた!
孤児院を吹き飛ばそうとする程の魔力を放出したマナリスを止めようと駆け出す僕と、それを煽るように笑い出す子供達、優雅に武器を構えるエリザ。今後もこんなバタバタとした騒がしくも笑顔が溢れる平和な時間が続いてほしいと僕は心から願っている。
マナリス達とこんな時間が過ごせるなど、あの時の僕には想像出来ていただろうか…終戦直後のマナリスからは本当に想像出来なかっただろう。
エリザと子供達の騒ぎを聞きながら、少し過去を思い出していた。
投稿が遅れまして申し訳御座いません。
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