69話 新たなる戦争へ(3)
お久しぶりです。忙しいのとモチベーションがなかったのとで書いていませんでしたが年明けまでに投稿したいと思い慌てて書き上げました。
いつもよりもさらに雑かなっていう出来ですが時間がある時にちょくちょく修正と追加ができればいいなと思っています。
この調子で年内にあと1話、間に合わなければ正月に1話投稿したいと思っています。
入港してきたフェリーからは続々と暗い緑色をした車両が出てくる。
学校の近くにジエイタイの駐屯地もあるしよくすれ違うけどこんな数は見たことがない。
「あれ、『センシャ』じゃないの...?」
サンキが指差すその先には本の写真で見た通りのものがトレーラーに乗せられて運ばれていた。
本当に何が起こっているんだ。
「おい君達、何をしている。」
「「うわっ」」
突然背後から怒鳴られたから驚いた。一体誰なんだ....
「ここ、すぐに自衛隊が使うから立ち退いてくれないかい?」
迷彩柄の服に白いヘルメット。ジエイタイの隊員かな?その後ろからは警察官らしき人たちも来ている。
これは従った方が良さそうだな。
「あの...い、今から何が始まるんですか」
クウェルが恐る恐る迷彩柄の男に聞いた。俺も振り向こうとした体をピタリと止めて返答を待った。
するとその男は一瞬驚いたように目を開いた後ため息つきながらこう言った。
「....戦争だろうな。」
官邸
「では今回の自衛隊の派遣について聞こうか。」
伊佐元総理が机の上で腕を組みながら聞く。
「なんども言うようだがアルトニア帝国と戦争中のレストニア皇国とは協力しないのだな。」
「あくまでもこれは我が国の戦争ですので双方不干渉と言う取り決めが持たれています。どちらも戦争に至った経緯は違うわけですし。」
「他の国々の反応はどうだ?」
「こちらをご覧ください。」
そういって外務省の担当者が何枚かの書類を差し出す。書類には各国の新聞とその和訳が印刷されている。
「これは大使館を通じて集めた各国の新聞の記事です。大国間で複数の戦争が始まることから大々的に報じてはいますがあくまでも自国にとって利益になるかどうかがメインで地球のように非難をすると言う論調はそこまでありませんね。国民感情までは世論調査があるわけではないのでわかりませんが。」
そう締めくくると今度は防衛省の担当者が出てくる。
「次に防衛省の方からベレー半島上陸について説明します。」
「今回の派遣はアルトニア帝国南部のベレー半島を目標に地上部隊を上陸させます。
上陸後は速やかに半島最大の都市ベレーを占領。アルトニア帝国の戦略資源はほとんどがベレー半島で産出しここを経由しアルトニア帝国各地に分配されるのでここを抑えれれば無理にでも交渉に引き出せるかと。」
「また自衛隊の部隊の展開はおとといまでに東見道に全国から集められたベレー半島攻撃の第一陣が集結しています。明日、佐世保から出撃する海自の艦隊が、明後日には東見道から陸自部隊が出撃します。
情報収集衛星からの情報を元にできる限り敵艦隊を回避する方に動き、海自の艦隊は補給線の維持に全力を持って当たります。」
「・・・わかった。三ヶ月だ。それ以上は持たんぞ。」
「全力を持って短期で叩きましょう。」
こうして日本が経験する大きな、大きな戦争が幕を開ける。その怪物は今、日本が参戦を決定したこの瞬間、この世界に産み落とされた。
日本の故郷、地球を二度に渡って蹂躙した次元の違う世界大戦・・・国家が一個人を殺し一つの機械として戦う『総力戦』という怪物が。
ちょうどその頃アルトニア帝国では
「なに、ニホンが?」
「そうです皇帝陛下。かの国は我が国に軍をさし向けると申しております。」
煌びやかな皇帝の玉座。戦時中と言うことで軍服を纏った初老の皇帝が身を乗り出して秘書から報告を聞いている。
「バカな。うちが何をしたというのだ。」
「それは・・・こちらをご覧ください。」
秘書が日本の週刊誌を差し出す。日付を見ると2週間ほど前のものらしい。
「この赤線の部分です。訳しますと・・・『卑劣な攻撃を東京に加えたアルトニア帝国の罪は重い』と」
「なっ、そんなまさか・・・そんな命令下しとらん。ひょっとして我々は何かに踊らされているのか。我々だけではないニホンも・・・」
「おそらくそうでしょうね。しかしもう遅いようです。ニホン国内は打倒アルトニアに傾いております。彼らがこの事実に気がついたとしてもおよそ止まらないでしょう。」
「そうか・・・」
「もちろんニホンは我が国の仮想敵国の一つです。戦争の想定もしてまいりました。ここで彼の国に一撃を与えることができれば我が国の繁栄にもつながることでしょう。」
そう締めくくると秘書は一礼し玉座を去っていった。