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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
71/80

66話 苦悩する自衛隊

本当は2週間程度で投稿しようと思っていたのですが遅れに遅れ1ヶ月以上経ってしまいました。

あまり時間が取れるものではなかったのでいろいろ端折ってしまったような....


時間があれば今後詳しい話を追加します。

本格的な自衛隊の投入により今まで押されていた日本側は魔導師を押し返しつつあった。その一方現場では自衛隊、魔導士双方が次々と戦闘に加入、未曾有の市街戦となっていた。


立川の防災基地に設置された臨時の指揮拠点では日本政府、自衛隊、警察、消防、東京都がそれぞれ現場に指示を出し、さながらここも戦場と呼べる様相である。



「負傷者多数?病院受け入れられるところあるか?」


本隊に先んじて前進していた部隊が敵に包囲され負傷者多数との報告を受けた本部管理中隊の隊員が指揮所の周りを見渡す。


「少なくとも付近の病院はもうすでに埋まってる。今も都内には負傷者を乗せた救急車がずっと走らされてるぞ。」


魔導士とろくな装備を持たずにぶつかることとなった警察側の負傷者は現在戦闘を繰り広げている自衛隊よりはるかに多い。おまけに戦闘に巻き込まれた市民の搬送を優先しているため現場に近い病院では待合室にも担架が並べられ懸命の治療が行われているような状況だ。

そこに新しい患者を受け入れる余力はもう無い。


『あーこちら本管、負傷者はこちらで引き受ける。部隊は前進を継続しろ。送れ』


こちらで負傷者の後送を引き受けると言ったもののそれがいつになるかはわからなかった。




ダダダダッダダダダッ


予想以上の魔導士を相手に真下2尉率いる小隊は戦闘を繰り広げていた。


「これは、まずいな。」


真下が呟く。十字砲火を形成してこちらが相手にそれなりの損害を与えたことを考慮しても敵正面の密度が異常に薄くなっている。

現在進行形で敵の増援があっていることを考えるとこれは敵が後退しているとは考えにくい。


「観測ヘリを呼び戻せるか?」


小隊付きの通信手に声をかけてしばらくすると通信手は首を横に振った。


「ダメです、ここからは離れています。」


敵もバカでは無いらしい、せっかくの増援をわざわざ十字砲火の中には入れなかったようだ。


「浸透されているのか?」


あいにくこちらは小隊規模、それも現在戦闘中となれば斥候を出すのは難しい。そこに付け込まれたと真下は考えた。


「小隊を今すぐ纏めて後退する。こちらの増援は?」


「10分後に1個小隊来るそうです。」


市街戦、それも都内ということで火砲の使用は厳しく制限されている。いつもはバカスカ撃ってもらう迫撃砲も使えなければ、建物の柱をへし折って倒壊させかねないという政府の意向で無反動砲も使えない。


「第二班、小銃擲弾を叩き込んでやれ、第三班は殿として合流を援護しろ。負傷者は出ていないな?あそこまで後退する。」


そう真下が指示を出すと瞬間的に強力な火力を魔導士に叩き込む、殿の第三班は全力で持ちうる火力を敵に与え続ける。

その間に小隊は後退、増援を待つ。


ある程度後退したところで小隊は第三班を収容、後退は成功した。


「おおっ、来たか。」


待ちわびていた増援が後方から到着する。戦闘服がそれほど汚れてないのをみるとこれが初めての戦闘だろう。


「遅くなってすまない。小隊長の渡水だ。それで敵は?」


「中隊規模だ。こちらが後退したのを見て距離を詰めてくる筈だ。」


そう言って小隊長の真下は辺りを見渡す。隊員たちはめぼしい遮蔽物を探し対歩兵の要のMINIMIをどこに置くか決め、戦闘を重ねてきた真下の小隊と増援でやってきた渡水小隊の間で弾薬が再分配される。


2個小隊で市街地の随分と広い範囲を担当しているため、付近に警戒に出した隊員の数は相当数に上る。

増援がきたものの依然として数的に不利な状況でこれ以上戦力の分散は避けたかったが包囲されてはたまらない。


「小隊長っ、きました。」


左翼を警戒していた隊員から敵前進との知らせを皮切りに次々と警戒中の隊員から知らせが届く。


「あと数百メートル下がれば国道があったな。」


真下が言う。


「国道かどうかは知らんが広い道路だった。」


渡水が返す。


「決戦の場はあそこで決まりだな。」


「ああ。」


そう二人で言葉を交わすとそれぞれの小隊に指示を出す。




「国道まで敵を引きつけつつ後退、その時敵さんを一つにまとめろとな?」


小銃の引き金を引きながら先ほどヘッドセットから聞こえてきた指示を反芻する。


「そうらしい。しっかし動きも早くて元気な敵だ。魔導士ってこんな感じなのか」


絶え間なく飛んでくる魔導と銃弾で応戦する自衛隊。

銃器縛りのある自衛隊は思うように敵を掃討できない。


「よしっあっこまで下がるぞ。」


各個がお互いにカバーしあいながら後退する。

ここの連携は空挺団の練度がうかがえる。


徐々に後退していく自衛隊を見て魔導士部隊は前進する。その際分散していた自然と部隊が一つにまとまりつつあることを魔導士らの中に疑問に思うものはいなかった。



「おら来なすった。」


国道に出ると自衛隊は素早く道を横切る。

国道を川に見立てると対岸に魔導士らが迫ってくるような形だ。


「こりゃ押されるわけだ。」


自分たちとの数の差は歴然、よく今まで戦って来れたものである。



バタバタバタバタ


夜が明けようとする空に響く音。


それは現れた。


『アタッカー1、目標を確認した。これより20mm機関砲による攻撃を行う』


ダダダダダダダダダダダ


横一文字に並んだ戦闘ヘリから市街地の一区画に曳光弾が飛ぶのが見える。

その一区画にいた多くの魔導士が機関砲によって体を『潰されて』いく。




東京の空を戦闘ヘリが飛び回る、着陸できるような広場....学校のグラウンドや広い公園には消防車で水を巻き、白線を引いて即席のヘリポートとした。

そこで機関砲弾を補給し飛び立っていく、戦闘ヘリ以外の通常の輸送用のヘリにもドアガンが装備され上空から地上部隊を支援する。


限られた火力の中で最善を尽くす。


こうして魔導士部隊を押し返して行くのであった。




その後の話である。

魔導士の残党捜索には練馬の第1師団の他に空挺、普導連の他に予備自衛官、教育中の教育隊までも投入して捜索を行った。


教育隊の投入は教官などに関しては災害派遣で行われたことがあるが教育中の隊員の派遣は非常に珍しい。

しかし新隊員らの強い要望もあり投入が決定された。


魔導士らの中には列車での移動を試みていたものもおり捜索範囲は非常に広く、捜索している間は交通機関は全てストップ、学校は休校、会社などにも営業の自粛を呼びかけるなど市民生活にも大きな混乱を巻き起こした。



この事件は市民だけで死者 行方不明者が300名を超え、自衛官 警察官では殉職者は500名を超える。

負傷者は数えきれる数ではない。


特に警察官の殉職者は自衛隊と比べて非常に多く、ニュース、ワイドショーなどでも警察官の被害についてよく取り上げられた。

しかしそれ以上に殉職者の英雄的行動が取り上げられた。


市民を逃がすために警棒で抵抗した街のお巡りさん。女性の盾となり魔導をその体に受けた機動隊員。

銃撃戦の中車に取り残されていた人を助け爆発に巻き込まれた自衛官。


彼らの英雄的な行動に対する賞賛と抑圧されることとなった市民生活の不満は一つの形となって放出された。



この卑劣な攻撃を仕掛けた国に対する報復として....

さて今後の流れですがこの後1話事件に関する話を入れて、その後はちょっと平和な異世界との交流パートを挟みたいと思っています。


2週間後までには投稿したいですね。

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