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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
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60話 関東防空戦(2)

航空幕僚監部


「アメリカ共和国海軍機の編隊は以前関東地方に向けて飛行中・・・空自の緊急発進は?」


幕僚の一人が尋ねる。


「各基地の管制隊によると3分前に百里の第7航空団が、5分前に小松の第6航空団が待機中の戦闘機全てが緊急発進、現在もアラート任務に付いていなかった機体が上がっています。」


すぐさま端末に挙げられていく情報を読み上げていく隊員。手元の端末を操作して会議室のモニターに関東付近のレーダー画面を写す。


「第1高射群は迎撃態勢に入り、防衛大臣には統幕の方から報告を上げています。」


「おい、まさか今上空に上がっている戦闘機は緊急発進扱いなのか?」


「はい。緊急発進に当たりますので自衛隊法84条に基づき『上空から退去させるため必要な措置を講じる』ことができますが、慣例上短距離AAM以上の武装は搭載しておりません。」


「奴らは本気なんだぞ・・・早急に大臣から回答を貰うんだ。まだ上がっていない戦闘機は発進を中止、空対空装備に転換した上でR-121空域で待機。実弾演習扱いだ、回答があり次第要撃任務を割り当てろ。」


R−121空域は首都圏に最も近い航空自衛隊の演習空域である。

そこに上がっていく戦闘機には中距離空対空ミサイルまで搭載し本格的な空中戦闘にも対応できるようにする。

また航空管制はすでに上空で警戒中である早期警戒管制機でも行われることになっている。



「「スクランブルッ!!」」


スクランブル発進の任務についていた彼らはアラートが鳴り響くと同時に駆け出して愛機であるF-15に滑り込む。F-35の配備が進むが数の上ではまだF-15が主力である。


『発進を中止。発進を中止』


エンジン出力が上昇し、滑走路に向けタキシングしている時にヘッドセットから管制官の声が聞こえてくる。

自機の斜めうしろからついて来ていた僚機も滑走路手前で停止していた、そこに整備員たちが駆け寄って来て牽引車と接続する。


「おい 何があった?」


パイロットはキャノピーを開けて整備員に問いかける。


「スクランブル発進の命令は取り消しらしいぞ。今他の基地から上がったヤツらも降ろされてるらしい。なんだって武器換装だそうだ。」


この世界での空戦で想定されているのはほとんどが近距離AAMを使った戦闘である。

ドラゴン相手(それも第二次大戦の時の戦闘機ほどの大きさ)に対して重たい中距離AAMを持っていくより近距離AAMと機関砲で対処する。それで十分だったのだ。

なのでここ1年前からは航空学生への教育も随分と変わったのだ。


「武器換装って中距離AAMか?」


「らしい....よしここまで持ってこい。」


整備員は別の隊員らがミサイルカートを押して機体に近づいて来る。そのカートの上には大きな中距離AAMが載せられていた。


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