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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
59/80

54話 知らないところで

日本 防衛省


「上野課長、これを見て頂きたいのですが...。」


ひとりの若手職員が送信されてきた書類を上司に回す。


「ん...?米海軍の空母、駆逐艦と連絡途絶?どういうことだ?」


上野と呼ばれる上司の顔が途端に曇る。


「状況がわからんな。特に天候が悪いわけでもないし、通信状態が悪いわけでもない。おまけに2艦同時だから機材の不具合も考えられないな...上がどう対応するか聞いてないか?」


「衛星画像で確認を試みましたが暗過ぎてわからなかったそうです。なので赤外線カメラを搭載した衛星での確認に向けて衛星軌道の修正中とは聞いています...」


部下の報告に上野は、ん?と首を傾げる。


「...いくらなんでも衛星の軌道修正なんて動きがやけに早いな。官邸からの指示かな。」


そう言うと上野が書類を机の上に滑らせてカップに入れたコーヒーを飲んだ。

彼の頭にはこれから起こる、日本の運命を大きく変える分岐点にいると言う実感はなかった。



官邸


「...つまり君たちの予想より早く事が進んだと言う事だな。」


首相の伊佐元がある男に問いかける。


「その通りです。申し訳ない。」


ある男...DISAの局長が頭を下げる。


「おい、今さら謝ったって遅いよ。もう米軍は動き出したんだろ。ったくDISAの野郎は...。」


「お言葉ですが、石井財務大臣。今回の動きはアメリカ政府としての動きではなく、個人による動きである以上その動きの阻止は難しいものとなります。この件に関してはDISAだけでなく...」


手でDISA局長の話を制すると国家公安委員長の高野が話し始める。


「続きは私が。米軍幹部の行動に関しては公安も追っていました。しかし事が日本国外で進んでいると言う事、幹部陣全体としての人事がほとんどなく、米軍幹部人事の隙間が少ない事。そして米国の防諜体制の高さから、公安も、DISAもアクションが起こし難かったのです。」


高野がそう言い終わるとチラッとDISA局長の方を向く。

フンッと首を振ったDISA局長...イマイチ公安と仲が良くない以上(警察組織と諜報組織というのは意外と仲が良くない)内心プライドを傷つけられた筈だ(高野の話は本当のことだが。)


「まあ起こってしまったものはしょうがないか...自衛隊はどうしてる?」


伊佐元が言う。


「はい。現在制服組では情報本部と統幕、海上幕僚、航空幕僚に『不穏な動き』として通達しました。」


参事官がそう答える。


「そういうことだそうだ。とりあえず官邸には対策室を設置する。とりあえず解散するがことによってはまた招集をかける。」


伊佐元がそう言うと閣僚たちはそれぞれ解散していった。

伊佐元の総理人生は長い。この世界に来て彼は総理として多くの決断を下して来た。そしてその判断に後悔していない。

「そろそろ伊佐元も」とマスコミに言われる度に総理の椅子にしがみついた自分がいる。と後に彼は語った。

今まで誰が決断を下し、責任を負い、この世界で日本を率いてきたか。

そう自負している彼も、早くこの重責から逃れたい。とも思っている...







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― 新着の感想 ―
[気になる点] >今さら誤ったて遅いよ。 謝ですね。
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