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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
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4話 極東会議

今回のはなかなか難しかったです。うまく伝わらないかもしれないですが、そこは温かい目でお願いします。

東京で行われる極東会議には日本と国交を結ぶ9カ国の代表が参加することになった。

この極東会議では各国の情報交換や交流も兼ねていて、今後の日本にとっても重要な会議になる。

日本が異世界に転移して初となる首脳会談も予定されており、日本政府だけでなく各国代表団も緊張の面持ちで会議は始まろうとしていた。


国家の首脳も多く集まるため、会議場外では厳重な警備体制が敷かれており各国代表団はその厳重な警備に圧倒された。

また何が起こるかわからないため、外国の代表団も含めて手荷物検査が行われている。



会議場ロビーの豪華な絨毯とは正反対で機械的な保安検査場では職員が黙々と手荷物検査を行っていく。


「代表団のみなさん。事前の説明の通り手荷物検査が行われます。手荷物はこの籠の中に入れてください。検査が終わり次第返却します。」


職員が説明していく。日本人にとっては空港で行われる手荷物検査と同じような感じだが各国代表団はそうはいかなかった・・・。


「なんだあの大きな機械は?荷物が吸い込まれていってるぞ」「ニホンの人たちは気にしてないみたいだけど、なんか緊張するな」


ちなみに持ち込み禁止のものは通信機器、危険物、薬品、その他危険と判断されるものであった。この説明は事前に配布された注意書きにも記されていたため特に問題なく手荷物検査が進む。

しかし手荷物検査の列も終盤に差し掛かった時、保安担当者が列を止める。


「ちょっと止まってください。スロペティカ王国代表団のみなさん、こちらに来てください。」


どうもスロペティカ王国代表団が手荷物検査に引っかかったようだ。他の国の代表団の面々はスロペティカの代表団を心配そうに見つめる。


「スロペティカ代表団のみなさん。鞄から通信魔石が見つかりました。これは会議室にいる間はこちらで預からせていただきます。いいですね。」


「はい・・異存ありません。」


やや混乱した表情のスロペティカ代表団。

その後特に問題もなく全員の手荷物検査が終わり極東会議が始まる。



国際会議でも使われる某巨大会議場。その室内の大きさに驚く代表団。


「では極東会議を始めさせていただきます。」


議長国のサーミト王国代表がマイクに向かってそう言うと若干エコーのかかったその声は議場全体に響き渡る。各国代表団の拍手で極東会議が始まった。

最初の30分ほどは各国の挨拶などが行われる。そしてその後が本番だ。


「まずは貿易についてですがニホンに質問があります。対価としてニホンはハルティカ鉱山の採掘権を求めているが、あそこは赤い石しか出なくなった鉱山だ、ニホンは何を掘ろうとしているのですか?」


スラチライド連邦の担当者が慣れないマイクを手に質問する。


「はい、日本としてはそのあなた方がいう赤い石が欲しいのです。その赤い石はボーキサイトといい、我が国にとって重要な金属の原料です。」


日本としては十分予想していた質問だ。特に問題もない。


「なるほど。しかしどうやって金属にするのだ?我が国でもできるのか?」


スラチライド側としては金属と知って自分達でも開発を行いたいと思い、続けて日本に質問を浴びせる。


「多分無理でしょう。ボーキサイトからできる金属、アルミニウムと言いい、それを取り出すには技術がいります。日本では技術優位維持法からその技術は輸出できないため、スラチライド連邦では開発はほぼ無理でしょう。しかしながら、我が国としましても重要な物資であることは確かである為、貿易の枠を輸出も輸入も枠を拡大しましょう。」


「なるほど、技術が必要か。それは仕方ないな。しかし輸入量が増えるとなれば我が国もその採掘権をニホンに譲りましょう。我が国では使うこともできないものを売って、ニホンから多くのものが輸入できれば我が国としても得になりますからな。」


若干不服そうだったが結果的にはプラスなのでそれで引き下がった。



その後の決まったことは・・・


・各国との貿易量を今後とも増やしていくこと

・ブラックボックス化させた状態でだが、車両(自動車)の輸出を行うこと(しかし規制が異常に厳しくほぼ禁止の状態と変わらない。)

・電化製品を輸出するにあたって発電所の建設などインフラの輸出を行う

・今後とも日本は武器の輸出は認められない


が決定した。日本としてはここで、鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、ウラン(まだ調査段階で本格的には採掘できないが)、天然ガス(同じくまだ本格的な採掘はできない)そしてレアメタル(試験採掘)の採掘権を得た。日本としてはさらなる産業の復活、そして成長が見込めるとして担当者は歓喜に沸いた(他の各国代表団はなぜ日本があんなに喜んでるかわからなかったが)こうして極東会議1日目が終了した。



代表団が宿泊するホテルの一室


『・・・でどんな感じだ?』


『はい、ニホンはよくわからない金属や資源の採掘権を得ていました。』


『ザッザザ、どうだニホンは?ビーマイト帝国と比べて』


『はい・・。非常に申し上げにくいのですが・・・。ビーマイト帝国よりも発展しております。詳しい情報はまた・・・・・・・・』



日本側控え室


「ふぅ、なかなか多くの採掘権を得ましたね。これで転移前ぐらいまで日本経済も復活してくれるといいんですけど。」


経済産業大臣の田中はどっかりと椅子に座りながらいう。緊張が一気に溶けたようだ。


「そうだな。だがもっと上を見ないと。」


そう言いながらも伊佐元の顔も笑っている。


「上?伊佐元さん日本を転移前よりさらに発展させようとしてるのか。」


大きく見開いた田中の目が伊佐元を見つめる。


「ああそうだ。そんぐらいしないと日本は将来この世界に飲み込まれるぞ。」



極東会議2日目


「では今日はビーマイト帝国との領土問題についてですが現在我が国を含めこの会議に参加しているすべての国がビーマイト帝国と領土問題を抱えています。」


議長国のサーミト王国代表が昨日より慣れたマイクでそう言う。


「この会議に参加しているすべての国が毅然とした態度でビーマイト帝国に対し一丸となって対応しなければなりません。」


サーミト王国代表がそういうと会議場は大きな拍手に包まれた。


「ありゃ〜日本が言いたかったこと言われちゃったよ。」


拍手の中、日本の代表らは苦笑い。


「では極東会議2日目を終了してもよろしいですか?」


「異議なし」「異議なーし」「賛成」「我が国も賛成」


あっという間に終わってしまったのである。


「今日のはもう終わりかよ」「はえーよ、始まったと思ったらもうまとめちゃった。」


会議の場にいた日本側の関係者は辺りを見渡しながら言う。

この世界では普通なのだろうが日本側は驚きである。やはり一人の権力者が統治するのが当たり前なこの世界では長々話し合うという習慣がないのだろうか?



ホテルの一室


『ザッザ、今日は報告が早いな。会議はもう終わったのか。』


『ええ、今日の議題はビーマイト帝国の領土問題でした。許せませんね。』


『ザッザザ、許せんな、我が国の領土を踏みにじるとは・・・。これからどうなるのだこの会議は。』


『はい、明日は安全保障についてです。多分ビーマイト帝国に対してのものでしょうが、対した脅威ではありませんね・・・ニホンを除いては。』



「では極東会議最終日、安全保障について、始めたいと思います。」


拍手が上がる。


「では近年東世界で勢力を拡大し、極東地域においても脅威となっているビーマイト帝国。安全保障においては1番の脅威です。」


サーミト王国代表がそういうと議場は

「そうだそうだ」「ビーマイトは敵だ」との声が上がる。


「過激ですねー、この世界の会議は。」


会議に参加している日本の代表らはこの怒号のあがる会議を眺めている。


「そうだな、俺ら日本の方が異端だからな。この会議についてはこれからの参考になるな。あまり参考にしたくないけど・・・・」


日本としては前世界と異なる会議のペースについていけない。


「では各国の安全保障の努力についてプレゼンお願いします。」


議長がそういうとスクリーンに各国の軍隊が映る。この日のために日本が編集したものだ。



「はい、ではまずサーミト王国連合からです。我が国は近年勢力を拡大するビーマイト帝国との戦争を考慮し、空軍力の強化に取り組んでおります・・・・」


ここでの空軍力とは騎竜のことで、戦闘機のようなものだと考えてもらっていい。サーミト王国の一通りのプレゼンが終わったら次は日本の番だ。


「では日本の安全保障の努力について説明させていただきます。」


まだ見たことのない『自称』異世界から来た国の軍事力に興味がある国々。


「まずはっきり言います。日本はビーマイト帝国と戦争になっても勝てます。これを断言します。」


その瞬間議場は沈黙に包まれた。

なぜ日本がこんなことを言ったのかというと会議の5時間前にさかのぼる。



会議の5時間前・・・・


「やっぱりでしたか、あの国がリークしてたの。」


塚本防衛大臣が言う。ここは官邸のとある部屋、皆深夜に集合しているので目元が黒い。


「公安の奴らが裏取れたって言ってたけど、正直それ言われるまであんまり信じてなかったもんね。」


岸根外務大臣が言う。手には眠気ざましのドリンクを持ってる。


「まあ俺もアレがなきゃ疑わなかったぜ、スロペティカがビーマイトと繋がってるの。」


伊佐元がそう言うと皆現実を見せられたように真面目な顔になる。

ことの発端はこうだ。手荷物検査の時にスロペティカの代表団だけ全員(・・)持ち込み禁止の通信魔石を持ち込んでいたのである。流石に怪しいと思った伊佐元はホテルの全部屋に盗聴器の設置を公安に依頼。さすがにそれはアウトだろうが安全保障上の問題である、そうするとホテルの一室での秘密通信を取っているのを確認。そうして裏が取れたのである。


「で、どうすんだ伊佐元さんよ、この録音テープを持ってスロペティカに突きつけるか?」


田中経済産業大臣が眠そうな目をこすりながら伊佐元にきく。


「それならさっき公安連中と話したが、これでいきなり戦争になってもらっちゃ困る。そこでちょっと面白いことをな・・・」


どうも伊佐元と公安は何かイタズラを考えたようである。


「実はな・・・。このスロペティカがビーマイトと繋がってるってことをスロペティカ以外の8カ国に教える。」


ニヤッと笑いながら伊佐元がいう。


「で、泳がせるってことですか?」


塚本が聞く


「違う違う、スロペティカを使ってビーマイトに教えてやるんだよ、極東地域の国々に手を出すなってな。」


で、5時間後の会議になるわけである。


「ビーマイトに勝てると言うその根拠はなんだ?」


真っ先に質問して来たのはスロペティカ代表団。予想通りである。スロペティカ以外の国は真相を知ってるので笑いをこらえている。


「それではこちらの映像をご覧ください。」


プロジェクターに映っているのは市販されている自衛隊のPV。しかし各国の代表団はその映像に戦慄する。

しばらくそれを流した後、最後に日本代表団は言う。


「お分り頂けましたか?日本がビーマイトに勝てる理由を。」


スロペティカ代表団は代表団の中で何やら話し合う。その様子は原因を知っている者たちから見ると非常に滑稽だ。



「これは成功するかな・・・」


会場の様子を遠巻きに見ていた伊佐元はそう呟いた。





















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