32話 開催!!世界技術博覧会(3)
ちょっと間隔が空きましたね。もうすぐ修学旅行だったり試験だったりして投稿がこれから二週間の間できなくなるかもしれません。
「それでは第8回、世界技術博覧会を開催するッ。」アメライト帝国皇帝シントーンが高らかに宣言する。
会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
この博覧会は5大国のパビリオンとその他の国のスペースで構成されている。5大国の国々は独自に会場に建物を建てることが出来る。日本も例外ではない。
海の男とトラック野郎が運んで来た建材を使い、短時間で多数の建物を建設した『日本パビリオン』。他の大国らと大きく違う点がある。
「おお、明るいなぁ。」「これは魔道具なのか?」「いろんな色の光がある・・・。」
来場者が入ってくるなり驚くのは照明だ。他の大国のパビリオンも魔道具などを使い灯りは確保しているが、この会場1番の明るさは『日本パビリオン』だ。その他にも空調設備なども整っていて、中は快適である。
「ん?ガラスか・・・。うおっ動いた!?」「この引き戸勝手に開くぞ。」「おもしれぇ、もう一回行こう。」
何気に自動ドアも人気のアトラクションになっている。
日本パビリオンの中『魔道具展示』『文化展示』『軍事力展示』のそれぞれの展示についてざっくりと紹介しておこう。
・魔道具展示 魔道具はほとんど展示されていない。ほとんどが電化製品などである。しかしここが日本の一番のアピールポイントだ。
・文化展示 日本独自の制度(義務教育、保険制度、政治体制)などについての一通りの説明や、『VR日本体験』、インターネットの体験(フィルタリング有)、映画の上映、日本の食事が食べられたりする。
・軍事力展示 富士総合火力演習などの映像が流されている。港では車両の展示も行われている。
と言うものだ。
魔道具展示では竹下グループが他国の富裕層に売り込んでいたり(結構人気だった。)、テレビを観て、中に人が入っているんじゃないかと裏を覗きこむ人が続出したり、さらには某据え置き型ゲーム機の体験コーナーには長蛇の列が出来ていた。
「これはなんですかねぇ。」
招待された商人(博覧会初日は招待されたものだけが入場できる。二日目からは入場券を購入すれば入場できる)のピーキスと新人商人のボンテは日本パビリオンの前に来ていた。すでに日本パビリオンは人が詰め掛けていた。
「これが新しい大国のニホンか、色々な噂もある国だが・・・。果たしてどんな国なのか?」
「いつか観た世界情報社の情報新聞のニホン特集には驚きましたからね、しかし実際に自分の目で見て観ないと。」
テクテクと歩いて日本パビリオンに入る。自動で動く扉などに驚きながら室内に入ると人だかりが出来ているところがあった。
「なんなんだ?あの人だかり・・・。」
「さあ・・・?」
すると人だかりから歓声が聞こえて来た。二人は人だかりをかき分けてその中心部を覗き込む。そこで行われていたのは某据え置き型ゲーム機の体験だった。
「これは・・・窓か?」
「絵が動いている・・・?」
「おっ、ピーキスとボンテじゃないか。一緒にしようぜ。」
知り合いの商人から声をかけられ、これについての説明を受ける。1時間ほど待った後にやっと順番がくる。
今回体験するゲームは戦闘機のVRゲームだった。
「うおおおお、空を飛んだらこんな感じか・・・。」「音が、音がすごい・・・。」「おい、まてボンテ。今『ろっくおん』して『みさいる』で墜としてやる。」
「先輩だからといって容赦はしませんッ。」
二人の戦いは続く・・・
「あれは売れるな。」「そうですね。しかし『ねっと環境』とか電気とかの問題で我が国での販売はいつになることやら・・・。」
続いて二人がやって来たのは日本の食事コーナーだ。限られたスペースの中に寿司、料亭で食べられるような和食、すき焼き、ハンバーガー、ピザなどの料理が(ここではハンバーガーでもピザでもタコスでも”日本食”だ)所狭しと並ぶ。
「これは・・・『すし』?魚の料理か。」手に取った鉄火巻きを眺めたあと醤油に軽く浸して口に入れる。
「おお、新感覚・・・。うまいなこれ。」
「先輩、このパンに肉?を挟んだやつもうまいですね。ありそうでなかった料理ですね。」
「おい、ボンテ。ソース垂れてるぞ。」
「あっ。」
ボンテが垂れそうなソースにあたふたしている間にピーキスはフライドポテトをパクリ。
「これもうまいな。だが俺は『すし』派だな。次は何を頼もうかな・・・『さーもん』を一つ。」
日本パビリオンは1日目の来場者数では一番になっていた。
『魔法戦線異状なし!!』もよろしくお願いします。https://ncode.syosetu.com/n2017eh/