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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
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30話 開催!!世界技術博覧会(1)

1970年3月15日から9月13日までの183日間に渡って開催された日本万国博覧会では『人類の進歩と調和』と言うテーマのもと約6421万人の観客を動員し、現代にもつながる技術や文化が多数展示された。



日本 外務省

「アメライト帝国からですか?」外務省の本庁に文書が届く。その文書には確かにアメライト帝国の紋章が描かれていた。

アメライト帝国とは中央世界に君臨する列強で、世界最強とも呼ばれている。日本も列強国になったためか幾分他の国からの態度が軟化(と言うかかなりへりくだってる?)したものの、未だに実力を疑問視されたりもしている。

そんな中やって着たアメライト帝国からの文書には・・・


『世界技術博覧会招待状』

今回、世界技術博覧会開催委員会は貴国をこれに招待することを決定しました。

この博覧会は各国が自国の最新技術を展示するもので4年に一度、アメライト帝国で開催されています。この博覧会の規則などは同封されている書類に記載されていますのでご確認ください。


と書かれてあった。規則などをいろいろと読んだ結果、要するにこれは列強国の自慢大会らしい(一応列強国以外の国も招待されているが)開催は6ヶ月後の5月。今までの通例から行くと『魔道具展示』『文化展示』『軍事力展示』の3つになる。

省内ではこの件に関しては上が判断すると言う結論に至った。



総理官邸

「なるほど、これは断りにくいな。」

「断ったら舐められそうですもんね。」


官邸の中の会議室で話すのはいつもの閣僚たち。


「あ〜万博かぁ。大阪万博って何年前だっけ?」

「結構前だよなあ」「テレビで見た記憶があるような...」

「では資料をお配りします。」


大臣たちの会話を制して、秘書が資料をテーブルの上に並べていく。


「博覧会はいいんだけど『軍事力展示』って言うのがね・・・。」「確かにな・・・。」


文部科学大臣の手塚と法務大臣の吉家がうんうんと頷きあう。


「今まで『軍事力展示』ってどんな物を展示していたんだ?」


伊佐元が聞く。


「自分の国の兵士たちの服装とかが中心ですね。鎧兜などのものです。あとは各国から海を越えてやってくるので必然的に軍艦の展示になります。」

「なるほどな・・・。武器の交換会とかになったらどうしようかと思ったが、やっぱり自国のカードはあまりチラつかせないか。」


伊佐元が言う。


「そうでもないんじゃないか。いろいろ調べてみたが列強国になれば仕掛けられる戦争は減っていると言う記録がある。自国のカードを無効化されない程度にチラつかせて抑止力としている。そのための場がこれ(世界技術博覧会)だと思うんだなぁ。」


岸根が持論を述べる。彼はこの閣僚の中で最も情報の処理能力に長けていると言ってもいい。


「ならば参加しないと舐められるのは必至か...。」「だな...。」


結局検討の末、日本は3つ全ての展示に参加することになった。



「社長、政府から連絡が届いております。ご確認ください。」

「ああ、わかった。」


そう言うと初老の男性は机の上に乗せられた書類を手に取る。ここまでの大企業になれば政府からの連絡も珍しくはない。


「博覧会・・・か。」


彼の会社は大手電器メーカーの『竹下グループ』。転移前は『TAKESHITA』の名称で白物家電のシェア1位を誇る企業だったが、転移直後売り上げは激減。しかし社長の竹下の手腕でなんとか持ちこたえ、最近では魔道具の生産、販売も開始。高い性能と品質のおかげで近隣諸国でのシェアを獲得しつつある。

そんな『竹下グループ』に政府から届いたのはこの博覧会に参加してくれと言うものだった。


竹下グループは1970年の万博にも参加している。


「大阪の次は異世界か。」


竹下はクックックと笑うと秘書を呼ぶ。


「社内会議には掛けるが、俺としては参加しようと思う。これはこの世界での大きなチャンスだ。すぐに社内会議を開く。」


「了解しました。社内会議を招集します。」


そう言った彼の目には新しい(・・・)『TAKESHITA』が映っていた。




開催まで1ヶ月

日本はアメライト帝国に向け出発した。民間の客船にフェリー、そして無骨な護衛艦。5隻の船団は極東洋を西に向かい中東洋に出る。そして中東洋を抜けると中央世界のアメライト帝国だ。


博覧会が開かれるのはアメライト帝国帝都のロットン。そこに向かうにはベルオネ水道を通過しなければならない。一応日本の大型船でも通れるが通行量がとてつもなく多い。(この世界基準で)でかい図体のこれらの船団は通過に苦労する。


「ワッチより艦橋へ、2時の方向に船団発見、距離4000。進路は6時の方向。速度5ノット。」


「左舷に小型のボートが接近。警告を行う。」「12時の方向に停船している漁船団を発見。漁網を使っている。」「1時方向に漂流物。筏と思われる。」


ワッチからの報告に操舵は右へ左へ舵を切る。船団を組んでいるから他の船とも連携しなければならない。

ただでさえ通行量が多いのに、物珍しさに寄ってくる船が少なくない。

船が寄ってくるたびに音声で警告する。それでも接近してくる場合は警告射撃を行っている。(ちなみに護衛艦には海上保安官が乗っている)



「艦橋へ、アメライト帝国海軍の艦船5隻です。魔道無線に通信が入っています。『これより臨検並びに入国確認を行う。直ちに船団を停止させろ。』だそうです。」

「了解した。縄ばしごを下ろせ。」


艦長のその言葉で船団は停止。そして縄ばしごが下された。

縄ばしごを伝って登って来たのはマントがついた紺色の制服を着た軍人たち。


「アメライト帝国海軍大佐のモラートです。」


さすが世界一(今のところ)の軍人と言うだけあってか、敬礼に美しさを感じる。


「日本国海上自衛隊1等海佐の三本です。この船、『あたご』の艦長です。」


艦長の三本も敬礼で返す。

「これより臨検を開始します。武装は封印させていただきます。よろしいですね。この船団が博覧会で来られたことは承っておりますので安心してください。」


アメライト帝国海軍の兵士たちはテキパキと臨検をする・・・はずが。


「ちょっとこれデカすぎないか?」「五人だけで臨検って出来んの?」「まずそもそも武装ってどれよ?」


さすがに100mを優に超える護衛艦の臨検は難しい。


「まずは・・・これが主砲です。」


結局自衛官が案内をしている。


「主砲、でかいな。」「封印できんの?」「さあ?」


彼らは一応決められた手順通りに封印(魔道具で)の処置をする。



「なんとか封印出来た・・・。ちょっと確認だ。この主砲動かしてみてくれ。別に壊れないから。」


そう言われ自衛官らは主砲を操作する。


ウィイイイイイン


「動くな・・・。」「動くね・・・。」「封印って・・・。」


臨検は続く・・・











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