3話 迫り来る不穏な影と国際会議
3話目です。まだまだストーリーも描写も下手くそです。しかしこれからもよろしくお願いします。
日本とサーミト王国(とその連合)の国交が締結されると。双方の国に大使館が設置されるわけで、大使館は東京、領事館は大阪に設置されることになった。
メディアでは『転移後初の大使館設置!!』『新しい世界との交流始まる!!』など好意的なものが多く、インターネットでもこの件に関しては評価が高かったこともあり、世論調査の結果も内閣支持率は上昇することになった。
サーミト王国大使館
「ニホンとはすごい国だな。ここまで都市を発展させるとは、こんな首都は5大国でも持っていないだろう。この駐ニホン国大使になることができて私は毎日楽しませてもらっているよ。」
駐ニホン大使になったカラフーニは毎日日本での生活が楽しいのか自分の執務室の外を眺めながら明るくこう言った。
「ですねぇ。私も最初は新興国と聞いていたんですがまさかここまで発展した国だとは、本当に新興国何ですかね?治安も良くて、夜も明るく、眠らない国と言ってもいいですね。」
まだ若いスミート秘書がカラフーニの言葉に答える。
「そうだ、今度もまたニホンの書物を買おう。あれにはいつも驚かされる。実に有益な情報が手に入るぞ。本国にも送るか。」
カラフーニ大使は今、乗り物図鑑がマイブームである。
「今回は翻訳官(この世界では言葉は通じるので通訳ではない)を過労死させないように気をつけてくださいよ。」
スミート秘書が釘をさす。数日前興味本位で買った百科事典を翻訳中に翻訳官が過労で死にかけたのである。
「た・・確かに、気をつけんと。本国から翻訳官をさらに連れてきてくれといっているんだが、『カンジ』の習得が難しいらしくてな。」
サーミト大使館では翻訳作業を進めるため『パソコン』を購入しようとしているが、表示される文字が日本語では本末転倒なので日本企業と共同でこの世界対応のソフトを開発しているが、開発にはしばらく時間がかかるため導入はまだ先になるだろう。
首相官邸
「伊佐元総理、ビーマイト帝国に派遣した外交官ですが・・・」
ビーマイト帝国とは日本がある東世界の大国、つまり5大国の一つの事である。
「外交官は門前払いだったと・・・。」
補佐官は表情を曇らせる。伊佐元もその報告で眉を歪ませる。
「うむ、薄々想像はついたが、やはりこの世界と前世界では常識が大きく異なるようだな。向こうさんは日本に関わらずか、それとも・・・。」
話すらできないとはなかなか気難しい国だな、と伊佐元が呟くと椅子にもたれかかった。
この世界での列強国であるビーマイト帝国とパイプを持つことは『普通の国家』として認められたことになる。
「別にそんなことどうでもいいじゃないか」と思うかもしれないが、いきなり出てきた新興国として各国に認識されている日本は、貿易の交渉にしろ、さらには大使館の設置にも信用が必要なのだ。
ビーマイト帝国と何らかのパイプ、欲をいえば正常な国交を持つことは『国としての信用を得る』という意味を持つ。この世界ではそれが常識なのだ。(最も、『異世界からやってきました』なんて国が信用を得られるか?と言うと謎だが)
信用がない時点でサーミト王国と国交を結べたことは、まさに奇跡とも言えることであり、ビーマイト帝国に門前払いされた日本は今のところはサーミト王国を頼りに細々と国交を結んでいくことになる。
実はサーミト王国は数年前にビーマイト帝国と国交を断絶されている。
国交樹立前の外交交渉でその事実を知ったが、食料確保が最重要だった上、5大国についての情報が殆ど無かったこともあって、そんな事を気にする余裕を持ち合わせていなかった。
なぜサーミト王国がビーマイト帝国に国交を断絶されたかというとただただ単純な『領土問題』だ。
サーミト王国は北部の鉄鉱山がある島々の帰属を巡り100年以上前からビーマイト帝国と睨みあっている状態である。ビーマイト王国は鉄の精錬の技術による鉄の輸出で力をつけてきた国で、軍事的に本格的に力をつけ始めたのはここ十数年のことで12年前に東世界の大国になった。そのため20年ほど前からサーミト王国連合とビーマイト帝国のパワーバランスが崩れ始め、現在では『会戦間近か?』と言われるほど非常に緊張状態が高まっていた。
日本はそれに片足を突っ込んだような形になった為、ビーマイト帝国で門前払いという結果になったのである。
ビーマイト帝国 外務局
「さっきやってきたニホンとかいう国って何ですか?」
新人の係員が書類をさばきながら先輩に尋ねる。
「ん?ああ、なんかよくわからん新興国だ。あんなの相手にすんなよ。サーミトの仲間らしいし、あんなのがやってくるとは常識知らずもほどがあるよな。」
先輩はため息交じりにそう答える。5大国のうち1つになってから、ごますりや鉄の貿易関連で外務局は仕事が一気に増えたのである。
「わかりました先輩。自分もこれから気をつけます。」
「よし。じゃあ次の仕事仕事。ん?これは1年後に計画されているサーミト王国の・・・・」
ビーマイト帝国ではある計画が始まっていた・・・
ビーマイト帝国に断られた日本はサーミト王国を頼りに東世界極東地域と国交を結んで行った。極東地域ではサーミト王国から流れてくる日本の新技術の噂が広まり、比較的日本に対する理解は早かった。
「よぉーし、そのまま降ろせ。傷をつけないよう気をつけろよ。」
「あいよ。しっかし何ですかねこの変な荷車。」
「これは新しく国交を結んだニホンって国から輸入した『ジテンシャ』って乗り物だ。何でもサーミト王国では今ブームらしいぞ。」
「へぇ〜、俺も乗ってみようかなぁ。」
余談だがサーミト王国連合はその日本にも理解される価値観、倫理観から近辺の国には好評な国であり信頼も厚い。しかし未熟な航海技術とまともな産業が農業しかないせいで、世界、いや東世界の中のごく一部にしか影響力はない。
日本は生産した工業製品を売ることで得た外貨と信頼で資源を輸入、この異世界でも日本の経済成長を支えた『加工貿易』を進めていった。
日本の次なる目標はこの世界ではまだ採掘のされていない資源の安定した採掘である。現在石油はサーミト王国連合内に確認された油田から採掘しており、今後も採掘量を増やすとしてパイプラインの建設計画も持ち上がっていた。鉄鉱石に関しては転移後日本近海で見つかった無人島から採掘が行われ最低限の量まで持ち直した。
しかしレアメタルなど現代の産業に欠かせない資源は未だに確保できず、リサイクルなどの都市鉱山などで細々と維持している現状である。しかしこれからの日本のこの世界での生存にはこれらの資源の一刻も早い確保が重要であるため、国交を結んだ国々と採掘権を巡って(この世界の国が掘ったところで何かできる訳ではないが、一応国家としての意地である。)交渉を続けている。
「総理、ひとまず極東地域の国々と国交が結べ、一部では資源の採掘権も得て、日本の産業は何とかなりそうですね。」
「そうだな。日本のお家芸の加工貿易も軌道に乗り始めたし。そういえば鉄鋼の生産量が回復したんだろう。」
伊佐元は嬉しそうである。
「そうですね。最近鉄鋼の輸出も始まったそうです。ここでもメイドインジャパンを売り出しますか。」
秘書も日本経済の再生を感じた為か明るい声で言う。日本は異世界で始まったばかりだ。
数ヶ月後
日本の産業は転移後の死から立ち直りつつあった。異世界に転移した直後日本経済は死んだと言われた。産業も死に、食料も手に入らず、本当の意味で国民も死ぬところだった。
しかし今は日本は死んでいない。いや、日本は復活しつつあった。とあるテレビ番組でコメンテーターが言った「日本は不死鳥なんですかね」は国民を奮い立たせ、政府関係者もその言葉に勇気付けられた。(『〜は不死鳥』はその年の流行語大賞の1つに選ばれることになる)
日本が復活したのはサーミト王国との国交に始まる。その後極東地域の国と国交を結んだ日本は各国に工業製品、例えば自転車、一部の医薬品、書籍、ペットボトル(封ができて軽いこのペットボトルをみたサーミト王国大使が輸出を求めた)そしてさらに鉄鋼を輸出することで日本経済は復活したのである。
しかしこれを良くは思わない国がいた。ビーマイト帝国である。今まで鉄を東世界で売って力をつけてきたが、特に極東地域では質の高い日本製の鉄(値段はやや高いがコスパの問題である)になり始め、ビーマイト帝国の鉄の売り上げは明らかに右肩さがりであった。
ビーマイト帝国 国議院
「我が国の鉄の売り上げが右肩さがりだ。皆どう思う?」
皇帝ビュランの問いに国の重鎮らは考え始める。
「はい、原因は極東の新興国ニホンにあると思います。彼らは極東地域で安くてわが国より質の悪い鉄(本当は真逆なのだが)を売りさばき我が国の貿易を妨害しているのが問題です。」
産業局局長のピットが答える。
「なるほどニホンか。確かサーミト王国と国交を結び、極東地域で貿易を行なっている国だな・・・。よしサーミト王国と日本に密偵を放て、何としてでもそのニホンの情報を手に入れるのだ。」
ビュランは力強くそう述べる。議場の皆がブルッと震えた。
「はっ、ビーマイトの為に。」
重鎮らはそう叫ぶと議場を後にした。
一方日本側はビーマイトと正反対に明るいニュースに沸いていた。昨日は通信衛星と、前世界でも悲願であった準天頂衛星、つまりGPS衛星の打ち上げに成功したのである。まだ1機でGPSは使えないが、言ってみれば異世界での宇宙開発第一歩ということで国内は大いに盛り上がった。打ち上げには各国大使らが招かれていて・・・。
「なんじゃあの大きなオレンジ色の柱は?」「あれが空に飛んでいくのか・・・。」「空・・・ウチュウとか言っていなかったか?」
『・・5、4、3、2、1、発射』
グァアアアアアー
眩しい光と轟音と共に記念すべき、この世界でのロケット第1号が発射された。
「「うわああああああ」」
そのあまりの光景に叫ぶ大使たち。日本の技術力を見せつけられた大使たちはその後・・・
「あれを我が国に売ってはくれないか?」の大合唱。しかしその後、値段を聞くと一瞬で静かになったという。
「ハハハ、大使たち驚いてくれたか。」
豪快に笑うのは伊佐元総理だった。
「いやーあの驚きようはすごかったですね。まあロケットの打ち上げは我々が見ても唸るものですからそりゃあ驚くでしょう。」
岸根外務大臣も頷きながらいう。
「そういえばボーキサイトが見つかったんだって?」
伊佐元が身を乗り出して経済産業大臣の田中に聞く。
「そうですよ。各国に送り出した調査隊様様ですね。おかげで最近高騰していたアルミの価格も落ち着いてくれそうですね。」
アルミホイルが1個2000円近くまで値段が上がり(これはオイルショックの時のトイレットペーパーのような原因もあるのだが)アルミを使った製品全体の値段は高止まり、生活に深刻な影響が出ていたから今回の話はありがたいことである。
そうしてお忍びで来ていた居酒屋で閣僚会議は続く・・・
翌日
「総理、緊急事態です。北方領土近海でビーマイト帝国の軍艦らしき船舶と海保が睨み合ってます。」
補佐官が執務室に駆け込んでくる。
「チッ、ビーマイトの野郎何しやがるんだ。」
異世界転移後、ロシア本国からの補給がなくなった北方領土は日本に併合された。国内でビーマイト帝国に最も近い北方領土は旧ロシア軍、海上保安庁共同で領海警備が行われていた。
「ビーマイトは木造の軍艦1隻だが、大砲も多数搭載しているようで巡視船だけでは荷が重いかと。」
「よしわかった。若干癪だがロシア連邦保安庁に協力を要請だ。そして海上自衛隊も向かわせるんだ。名目は・・・調査目的だと言うことで頼む。」
伊佐元は補佐官にそういうと国家安全保障会議を招集した。余談だがロシアの沿岸警備局の船は対空ミサイルや魚雷も積んでいるものもある。
北方領土近海
「うわ。ビーマイトの野郎、軍艦連れて何しに来たんだよ。」「おい、大砲積んでるぞ。こっちに近づけさせんな。」「ちゃんと撮影しとけよ。」
荒れる海の上、海上保安官たちの目線の先にはビーマイト帝国海軍の軍艦が数隻佇んでいる。どちらも相手の能力を推し量っている状態だ。
その後ロシア連邦保安庁が応援として到着し、数的不利を悟ったのかビーマイトの軍艦は帰って言ったという。
数日後
「あの島々(北方領土)は古来よりビーマイト帝国に帰属するものであり直ちにニホン政府は返還しろ」
ビーマイト帝国から驚きの声明が発表された。それを伝えるニュースがテレビで流れるとあまりの無茶苦茶な理由に、国民は呆れ返ったと言う。
閣僚会議
「まさか・・ププッ。ビーマイト帝国の皆さんは何を言ってるんですかね。」「古来よりっていつからだよ。」「全く無茶苦茶な国だ。だがこれは安全保障に関わる問題だ。もう一度使節をビーマイトに送るように手配した方がいいだろうな。」
「その通りですね。外務省からも抗議します。しっかし、日本はつくづく領土問題に縁がありますね・・・。」
岸根がため息をつきながらそう言った。
ビーマイト帝国 外務局
「先輩、またニホンとかいう国の使節が来ています。」
「全く懲りないやつだ。俺が相手してやる。」
二人が控え室から出て行くと、日本の使節が待っている部屋に入っていった。
「お久しぶりですね。ニホンの使節のみなさん。先日は我が国の領海に侵入と、さらには占領しているようじゃありませんか。いくら新興国とはいえ野蛮にもほどがありますよ。」
ビーマイト帝国側としては『北方領土は自分のもの』あくまでも強気だ。
「それはそれは事実誤認もほどがありますね。あの北方領土は古来より日本国の領土、領海を侵したのは貴国の方じゃありませんか?」
日本側もここで負けてはいけない。強気に出る。
「いいですかニホンの皆さん。我が国は大国です。それを差し置いてあくまでも自国の領土だと言い張るのですか?」
「ビーマイト帝国に警告しますよ。また今回のように我が国の領海、領空、領土を侵すようであれば日本国は断固として対応します。貴国が大国だろうとそれは変わりません。」
日本国側の使節はそういうと部屋を出ていった。
日本 首相官邸
「ビーマイトに行った使節からです。『ビーマイト側は一切引かず』と、また領土問題になりましたね。」
「そうだなぁ。サーミト王国連合もビーマイトと領土問題があるそうじゃないか。岸根くんの言う通り、日本はつくづく領土問題に縁があるなぁ。」
伊佐元が呟く。この世界ではこんなことは、即武力衝突になってもおかしくないと言うことを日本はなんとなく知っていた。
「海自にしなの型航空機搭載護衛艦をすぐ動かせるようにしとくよう伝えて置いてくれ。そういえば2番艦はどうなっているんだ?」
「ええっとですね・・・。もうすぐ公試の段階ですね。艦載機の方は調達の最中に転移したため、在日米軍に頼みブラックボックスを解除してコピーを始めた段階ですので、艦載機の方はすぐに配備というわけにはいきません。なので戦力化は早くて1年後、それも戦時体制でですが。」
「そうか、できる限り急ぐよう頼む。在日米軍にもビーマイト帝国の件に関しては情報交換を行ってくれ。」
「わかりました。」
「あとビーマイト帝国との領土問題を抱えている国が極東地域にどれぐらいあるかも情報収集を頼む。」
「了解しました。」
日本は対ビーマイトを念頭に置いた行動を開始することになる。
サーミト王国 首都ベルテラ
街中は非常に賑わっていた。日本との貿易によって入ってくる今まで見たこともない便利なもの。それが国も生活も豊かにしていた。
街中では輸入された自転車が走り回り、自販機が立ち、サーミト王国史上最も繁栄していると言っても過言ではない。
よく見ればサーミト王国の人々の服装は今までの黒や茶色の地味な服装から、ファッション性の上がった化学繊維の服を着るようになっていた。そんな街の中、逆に目立つ茶色いマントを着た男。そうビーマイト帝国の密偵だった。
「嘘だろ、サーミト王国がこんなに発展してるとは、これもニホンの影響かもしれない。」
密偵は紫色の石のようなもの『遠隔通信魔石』通称『通信魔石』を使ってビーマイト帝国の本部と連絡をとってる。
『ザッザザ・・そうかもな、あまり信じられんが。それでニホンの鉄のサンプルは手に入ったか?』
「ああ、素人目にはさっぱりわからんから持って帰るよ。」
『ザッ・・わかった。本部に帰るまでが諜報だぞ。』
「わかってるって。」
そういうと密偵は『通信魔石』を懐にしまい街を後にした。
ビーマイト帝国 諜報本部
「先ほどサーミト王国に潜入していた密偵と連絡が取れました。」
通信係が報告してくる。
「そうか、ニホンに向かった諜報員はどうなった?」
「はい、サーミト王国からの定期運行船がないため、我が国の艦隊の演習の際についでにニホンに上陸させる手はずでしたが、思ったより監視能力が高く、ニホンの海軍が出てきた為上陸を断念しました。」
「ニホンの海軍?どんな船だ。」
「報告によれば船の色は白、大きさは・・・150m近く???」
上司に報告している通信係もあまりの大きさに困惑している。
「何を言ってるんだ君は。新興国のニホンがそんなもの持ってるわけがないだろ。また海軍連中は適当に報告を書きやがって。」
上司は不快そうにそう言うと自分の席に戻って行った。
ビーマイト海軍が報告したこの船は海上保安庁の巡視船で海軍ではないのだが、この世界では海軍というものはあっても海上の警察組織という考え方(と言うか警察自体)はないので海軍の軍艦と思われても仕方がない。
その頃日本は極東地域の国々と次々国交を結び、その数は9カ国になっていた。それを挙げて行くと・・・
サーミト王国連合、チェラミ公国、スラチライド連邦、ガバード国、ハーティー帝国、スロペティカ帝国、ハバストン国、テナール帝国、ケッペラスト公国
の9カ国である。そのうち最も大きな国が初めて国交を結んだサーミト王国連合である。
この国々はこの世界としては価値観、倫理観が進んでいて日本に近いものであった。しかしこの国々のうちサーミト王国以外は奴隷制度が認められており、日本としてはこれから改善してほしいところであった。
「総理、予定通り今日中に各国代表は到着します。」
いつも通りの報告が入る。日本と国交を持つ10カ国の国際会議が開かれることになり、日本で開かれることになっていた。
「うむ、この世界初の国際会議だな。さて、これを受けてビーマイトはどう動くか・・・。」
その頃 東京湾
「初めて見るがニホンの都市はすごいな・・・。」
客船の甲板上で初来日のチェラミ公国 クラートン公は初めて見る日本の都市に驚きを隠せない。
「私は見たことがあるんだが、やはりすごいな。」
サーミト王国のミヌーテル王はクラートン公の隣で東京の夕日を眺めている。
「何?ミヌーテルはニホンに来たことがあるのか?」
クラートン公はお忍びでミヌーテルはもう日本に来ていたのかと思い、先を越された、と少し焦る。
「いやいや、『シャシン』で見たことがあるだけだよ。」
「『シャシン』?ああ、あの絵のことか。」
各国大使を乗せた客船は海上自衛隊の護衛艦の護衛がつきながら、東京湾に入港していく。明日東世界に影響を与えることになるであろう国際会議、『極東会議』が開かれることになる。
次回はこの国際会議と陰謀について書こうと思っています。しかし状況描写って難しいですね、これから頑張ります。
まだまだ下手くそな作品ですが暖かい目でよろしくお願いします。