閑話 ホットスクランブル(2)
短いです。
『・・・日本の領空を侵犯している。速やかに針路を変更し退去せよ。』もう警告は何度目だろうか。それでも騎竜の針路に変化は無い。
『DCよりJAKE、警告射撃を許可。並びに自衛の場合のみ武器使用を許可する。』
『JAKEよりDCへ、了解。警告射撃を実施する。』
この時日本が異世界転移後初の警告射撃を実施することになった。尖閣事変での苦い経験があり、一時はためらわれたものの、日本の空を守るため、パイロットにトリガーを引かせる。
ヴヴヴヴヴヴヴゥゥ
20ミリバルカン砲が火を噴く。そこから撃たれた弾は騎竜をかすめて空に消えて行く。
キャノピー越しに振り返ってみると流石に騎竜騎士も驚いている。
すると騎竜3騎が速度を落とし始めた。
『JAKE1よりDCへ、騎竜が3騎速度を落とした・・・騎竜の口に発光反応ッ、攻撃の可能性ありッ。』
唯一騎竜の前方を飛行していたJAKE1は高度なを上げ、回避する。
『DCよりJAKEへ、警告を行なったのち針路を変更しなければ撃墜せよ。領土侵犯が迫っている。』
“撃墜”と言う言葉が出た。
『JAKE1より、DC。もう一度言ってくれ。』
『警告を行なったのち針路に変更なければ撃墜だ。』
『了解。』
パイロットは腹を決める。
『ここは日本国の領空である。貴騎は領空を侵犯している。直ちに針路を変更せよ。変更しなければ撃墜する。』
騎竜騎士の動揺が伝わってくる。3騎の騎士は顔を見合わせると転針しその後領空を去った。