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『異』世界の警察 日本  作者: かり助
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10話 救出作戦(1) 信用

今回のは特に戦闘シーンもありません。作戦とかはど素人なのでおかしいところもあると思います。

サーミト王国南部の日本の石油の生命線の一つである通称『黒油島』にて現在450名の日本人がビーマイト帝国によって囚われている。すでに50名が殺害された。日本人の他にサーミト王国の労働者500名がいたものの全員殺害されたと思われる。



そう報告された伊佐元、その他閣僚らは頭を抱えた。予想外と言ったら予想外である。サーミト王国南部ということもありビーマイト帝国から離れている上に、れっきとしたサーミト王国の島であるため自衛隊の恒久的駐屯が難しかった。

油田を掘るに当たって自衛隊の駐屯も含めて公表したのだが、世論の反応はよくなかった。その為油田の防衛はサーミト王国に依頼となったのだが、予想以上に早くビーマイト帝国と開戦したため防衛施設の建設は手もつけていない状態で、予定地は空き地の状態だったという。さらに情報収集衛星はサーミト王国北の沖合、つまりビーマイト帝国との海戦が行われた海域を中心に監視していたこともあり事前に攻撃を察知できなかった。これは確実に政府の落ち度である。



「まさか、ここが占領されるとはな・・・。」


塚本防衛大臣が沈んだ声で言う。


「しかし実際に起こってしまったし、どうするか・・・。連絡は取れるんだろ。」


伊佐元が補佐官に尋ねる。


「はい、交渉用の連絡ルートともう一つ、敵には隠された衛星電話の合計2つあります。」


「2つあるか、なら良かった。救出作戦の時間とかを知らせることができる。で、救出作戦について教えてくれ。」


「はい、自衛隊が検討しているのが、まず水陸機動団と在日米軍のフォース・リーコンを1個小隊規模で潜入させます。手段としてはDPD、小型の潜水艇ですね。これで潜入させたのち人質が集められてる広場の敵を制圧、さらに敵の詰所、宿舎からやってくる敵を足止めします。その間に米軍の強襲揚陸艦から飛び立ったオスプレイで救出します。

救出と同時に島に上陸作戦を敢行、島を奪還します。」


「作戦は夜か?」


「いえ、早朝に行います。人質は暗視装置を持っていないので最低限の明るさは確保しつつ、戦闘時には暗視装置のアドバンテージを生かせるほどの明るさにする、とのことです。」


「なるほど、何としてでも全員を救出するぞ。絶対これ以上悲しむ人を増やさない。」


作戦決行は明後日、それまでに人質となっている人たちに連絡をとることになった。



黒油島


「食料配給の時間だ。さっさと集まれ。」


ビーマイト帝国軍兵士がいう。

班ごとに分かれ食料を受け取る。代表者が列になり兵士から食料を受け取る。30人の班に15人分の食料が渡される。はっきりいってかなり少ない。


「ん?お前らの班は最後だな。残念だったなこれだけしかないんだなぁ。」


兵士がニヤつきながら言う。運悪く最後の班になった橋田の班は30人いるが5人分しか受け取れなかった。しかし命の保証がされていない以上文句は言えない。代表の橋田は俯いて帰っていく。


「すまない。これだけしか・・・。」


「橋田さんは悪くないですよ。しっかしビーマイト、ムカつくさっさと滅んでしまえばいいのに。」


その場で一番若い男が言う。その後ろには見回りにきたビーマイトの兵士、確実に聞かれてる。

「すまない。そんなつもりはなかったんだ。申し訳ない。」


慌てて真っ先に橋田が謝り始める。するとその兵士は橋田の耳元に顔を近づけて、


「ちょっと、話がある。10分後、3番便所の前までこい。」


そう言うと彼は去っていった。10分後、恐怖のあまり食事に手をつけなかった橋田は3番便所まで歩いていく。一番遠いこともあり使うものはほとんどいない。

3番便所までつくと先ほどの兵士が一人待っていた。


「なっ、なんでしょう?」


掠れた声で橋田が聞く。


「頼む、ニホンに亡命させてくれ。」


真剣な眼差しで兵士が言う。

事情を聞くと彼の弟はサーミト王国にいるらしい。そこで見た珍しい日本の物について手紙で送ってくる。それが数ヶ月続くうちに彼は自分の今の生活と弟の生活を比べてみた。劣悪な環境で不味い飯を食いながら働いてる自分と、気温などが調節された快適な環境で、日本から入ってくる珍しい食べ物を食べて働いてる弟。それを考えると彼はビーマイトの現実に悲しみを覚えた。

それを聞いた橋田は悩んだ。彼を信用してもいいのか。敵のスパイではないのか、と。


「また今夜、ここで会いましょう。あっそうだ。少ないですけどこれ。」


兵士は持っていた布袋を橋田に渡すと彼は去っていった。布袋の中には一人分の食料が入っていた。橋田はもらった食料を班の皆で分け、自分の分をモソモソと食べながら考えた。彼について日本に連絡するかと。連絡したところで保護してくれる可能性は低い上に自分たちの救出作戦に支障がでる可能性がある。橋田は夜まで一人で考え続けた。



昼のように3番便所に行く。昼も行ったがやはり怖い。ついてみると昼の兵士が待っていた。


「亡命のことなんですけど。難しいと思います。なので自分たちがいた世界で一般的な降伏のやり方を教えるので、自衛隊とかが来たらそれをしてください。殺されず保護されるかもしれません。」


橋田が映画でみた降伏のやり方を教える。と行っても武器を捨てて両手をあげる、白旗をあげるぐらいのことだが。

一通り教え終わると昼間のように食料をもらい二人は別れた。













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