飛び降り自殺から始まる勇者生活
吐く息が白くなる様子を眺めながら、冬の訪れわを感じている冬の夕暮れ。
俺、鈴希ユウマはマンションの屋上から飛び降りていた。
理由は不登校になり高校の単位を全て落としたからである。
根っからの陰キャラだった俺は、中途半端なレベルの高校に進学するもクラスに馴染めず、社会への不満を延々と心にダムの如く流し込みながら自室に引き篭もっていた。
そんな生活を3ヶ月程過ごした頃、俺の単位は全て消失していた。
まあ行ってなかったんだから仕方ないだろうと納得は出来たが、その現実は余りにも過酷なものだった。
こうして留年or退学という死の二択を迫られた俺は、3つ目の選択肢である自殺を選んだのだった。
ああ、これで死ぬのか。最後くらいかっこよく決めたかったな……。
なんてことを飛び降りる寸前に思ったのを覚えている。
地面に強く叩きつけられグチャグチャになった体。不思議と痛さは感じず、心地良い暖かさが俺を包んでいた。
……足音?のようなものが聴こえる。これがお迎えってヤツ?ムード無いなあ。
「人の人生なんて呆気ないもんよね。私の地区だけで今月3人目よ?私の身にもなってよね」
と言いながら?-そいつ-は倒れた俺の顔を覗き込んできた。
女だ……しかもとびきりの美人!天界もなかなかやる。ムードある。
「まあ、今は上も手一杯であんたら-屍匣-はあたしらに任せられてるから別にいいんだけどね。よろしく、私の可愛い部下(予定)ちゃん!」
は?部下?何の話だ?そう思った瞬間、俺の記憶は闇に包まれた_______
俺のこの世界初の目覚めは暖かい布団に包まれ_______なんてロマンチックなものじゃなかった。
「あ、起きた?おはよう自殺くん」
-そいつ-は冷たい床に転がった俺の脇腹に思い切り蹴りを入れて無理やり俺を目覚めさせた。起きたんじゃない!起こされたんだ。
「いったた……うわっ!?なんだお前!?」
「お前じゃない!!!ユナって呼びなさい!上司よ?OK?」
「お、おーけー……ゆびはなして……」
俺が涙目での懇願により鼻をつまんでいた指を離したユナは、「3つ報告がある、耳をかっぽじって聞け」と前置きして話を始めた。
「一つ目。あんたが送られてきたこの場所は、簡単に説明すると15〜20歳の間で死んだ人間達により作られた死後の世界。通称-ユーフォリウム-よ」
「二つ目。あんたが送られてきた理由はただ一つ。この世界に巣食う怪物集団、-霧の皇族-を殲滅するため」
「三つ目。あなたの名前はコルサ。あいつらを倒すために選ばれた、勇者よ」
俺のコンテニュー後の人生は、一周目の比じゃないくらい過酷なものになりそうだ……