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ある精死病復帰者の記憶 その5 プロジェクトα 挑めアルケブス、炸裂の大和職人の業

 アルケブス、それは火縄で黒色火薬に点火し、弾丸を打ち出す、約皇紀二一三五年(西暦一四七五年)から皇紀二二八〇年(西暦一六二〇年)まで使用されていた瑞穂星製ブラスター。正式総称はマスケット・マッチロック。アルケブスはスペインでの呼び方だ。

 皇紀二一三五年以前にも、西瑞穂大大陸の西北地域のボヘミアと呼ばれる場所で皇紀二〇七〇年(西暦一四一〇年)にその原型が使用されているのが確認されている。


そんなアルケプスが大和国、八島特別区に輸入されたのは皇紀二二〇三年(西暦一五四三年)。坊津にやってきたポルトガルの商人。彼はくたびれたアルケプスを新兵器だと言って港運営の役人に売り込み、担当官に買い取られた。これが始まりであった。

そのアルケプスはすぐさま安土の瑞穂星文化文明研究センターへ運ばれ、解析が行われた。その構造はすぐさま解析され、瑞穂星の兵器史の一つになるだけかと思われていた。

だが一五年後、事態は急速に発展していく事となる。センターに所属した、若き日の織田 信長がこれと遭遇する。

信長は、言った。『これだ』と。


それが瑞穂星兵器史における跳躍ともいえる発展と、苦難の始まりだった。


    *    *


「え……なにこれは」


素でそんな事を言っちゃう柏木サン。ドン引きである。

 映像は光へ向けてサラリーマン風の男性たちが歩き出し、タイトルがバーンと出て、イゼさんのフリュと思われる幻想的な歌声を背景に『大量生産は不可能と思われていた』だの『火力不足』だの『湧き出る環境問題』だの、果ては『突破の鍵は改良型石炭』だの出ていて困惑しちゃうのも頷ける内容であった。しかし『さらなる飛躍』『究極の<銃>を求めて』だのが出てるので大体察しが付いてしまい非常にワクワクしてしまう柏木サンなのであった……。


    *    *


 織田 信長。商業学を専攻し、その後は瑞穂星の戦争史・兵器史についても研究を行っていた。

 それというのも、幼い頃、父と共に訪れたイゼイラのシエタリア博物館で出合った武器たちに心を奪われたことが原因であった。

 幼い頃の信長は父に尋ねる『なぜ鉛玉を飛び出す武器から急に粒子ブラスターに変わったのか、もしトーラルがなかったらどう進化していったのか』と。父はわかる範囲で答えたが、納得がいかなかった信長は、博物館を出てこう言った。『僕が解明してやる』と。


 それから数十年が経過し、商業学と並行して戦争史・兵器史を学んだ。

『もし、イゼイラの兵器の開発が正常に行われていたとしたら、瑞穂星と同じ道をたどる筈だ』そういって熱心に軌道上から撮られた各地の紛争を見て、信長は言った。

 そんな日々を続けていたある日、倉庫の整理をしていた際に、信長はアルケブスを発見した。


 購入当時からそのままにされていたアルケブス。信長は確信する。

『これだ』『やっと瑞穂星がイゼイラに追いついた』

 その日から、信長はあらゆる理論を発展させていった。


 『このアルケブスを自作して量産させれば瑞穂星の未来ばかりか、イゼイラが辿る筈だった未来が分かる筈だ』


 この言葉をもとに、信長は研究チームを発足させ、自らがチーフとなり人材をかき集めた。集められた人材は多方面に及ぶ部門から炙れた人々で、商業学、兵器学、戦術学のみならず、地質学、金属学、加工学、力学、宗教学等、その幅は限りがなかった。

 企画名は『ハルマ技術発展模索プロジェクト』、通称『建御名方神タケミナカタ計画』。タケミナカタとは大和の鍛治の神の名前であった。

この計画は再発見から三年後の皇紀二二二一年(西暦一五六一年)二月に開始された。


 『まず、こいつを自力で量産する』


 信長は、メンバー全員のいる前でアルケブスを掲げて高らかに宣言した。

 その言葉に、メンバーだった八板金兵衛が、唸った。


『まってくれ。今までの金属加工は、こんな筒状の物を作った事がない。無理だ』


 当時も、大和はティエルマスカ連合でも随一ともいえる金属加工技術を持っていたが、それらはすべてインゴットタイプや刀や包丁などの日用品・芸術品加工に留まっていた。


「いやあもう無茶苦茶でしたよ。無理ですって言ったら<何が無理だ馬鹿野郎、そこをどうにかするのがお前の仕事だろ>とか怒鳴られましたわ」(八板金兵衛と思われる本人映像)


 八板 金兵衛 大和に代々住む、金属加工職人を父に持つ三男坊だった。親から金属加工技術を教え込まれる傍ら、金属そのものの勉強に打ち込む日々を送っていた。

そんな時に、金兵衛は信長に出会った。


 「ハイクァーン使っちゃダメでしょ?鉄鉱石掘り出す所からスタートだからかなりキツかったですよ。こっちは鉱物資源はサーチして最小限の掘りでどうにかなったけど、専用の加工道具もないでしょ?もうそこから自作でしたよ」


 こうして掘り出された鉄鉱石を溶かし、可能な限り不純物のない鉄を製作し、アルケブス製作に掛かった。この時は親に仕込まれた製鉄技術・加工技術が役に立った。今までにない形だったがどうにか分析した図面を元に製作した。

加工に必要な道具も、確認された映像画像を元に製作し、試行錯誤の末、計画始動から1年後の皇紀二二二二年(西暦一五六二年)7月にティエルクマスカで初の完全手作業によるブラスターのアルケブスが完成した。

(当時の映像がそっくり流れる。映像は、某エンジニアのアーマーに似たアーマーを着た研究員が火縄銃を不慣れな作業を行い、見事発砲に成功した光景が流れる)


 成功に歓喜する研究参加者達、だが信長は冷ややかに言った。『こいつを100丁程作って実戦を想定した射撃実験をやる』と。

歓喜が、消えた。そして堰を切ったように悲鳴のような嘆願が始まった。

『ここまで来るのに一年掛かったんだ。少しは休ませてくれ』要約するとそういう事だった。

 すると信長は『すまない。少し冗談だ』と笑いながらかぶりをふった。


    *    *


「じょ、冗談ってどういう事ですか……チーフ……」


 メンバーは狼狽しながら言う。


「そのままの意味だ。まぁすまんかった。だがこれでなぜ≪銭≫が瑞穂中でこんなにも出回っているかがわかった」


 信長は本当すまんかったね。と言いつつそんな事を言った。


「ぜ、銭が出回っている理由?」


 メンバーは何言ってるんだと言いたげであった。

 銭……もとい貨幣が出回っている理由、商業学を学んでいない者でもハイクァーンがないから程度は知っているし、学んだ者でも持ち運びが可能な希少価値の高い金属片ということぐらいは分かっていた。


「どうせお前ら、ハイクァーンがないからとか、持ち運びが可能な希少価値の高い金属片ぐれーにしか考えてねぇだろーが」


 信長はそんな彼らの心中を察するかのような言い回しをする。


「さっきお前らが口々にした事。休みがほしーだのとりあえず祝おうだのなんだの言ってたが、つまり瑞穂の人間たちはそれが欲しいから銭を稼ぐ……もとい働いておるのだ」


 信長は続ける。


「俺らティエルクマスカの連中は、みーんなハイクァーンで元素から飯やら酒やらを必要な分だけ出すから気が付かねぇが、瑞穂の連中は全部手作業じゃねぇか。畑や田んぼは動物とか使ってるし粉にするのも風車とか使ってるけどよ。基本手作業な訳じゃねぇか。だから疲れるよな? 大変だよな? だから『値段』が付くんだ」


 その言葉にメンバーの一部がハッとする。何かに気付いたらしい。


「俺ぁ、昔から不思議だったんだ。なぜ希少価値があるとはいえ、あんな食えない金属片と食い物と交換できるかが、だ。今回のこれで大分わかってきた。皆、協力してくれて本当にありがとう」


 信長が深く頭を下げる。

 結局、その後は火縄銃の生産はそのあと十丁程生産するにとどめ、あとは性能試験をひたすらやるに留めると宣言した。


 だがやはりそこは信長。それだけをやるのに様々な実験を行う。

 まず、製造組と、製造に必要な木や鉄鉱石などを手配して管理する事務組、輸送組などに分けて、チーム内で流通する貨幣に見立てたポイントを作り、頑張りに応じてそれらを配分する訳なのだが、事務組が多いと製造組・輸送組は不平を訴え、事務組は「ならちょっとやってみろ! かなりしんどいから!」と言って交代するという現代に通じる問題にぶつかったりと大変な収穫を得ていた。


 次に性能実験だが、これは現代の銃試験のようにきわめて実戦的な実験を行っている。

 一〇〇回以上に及ぶ射撃実験は当たり前、走りながらの射撃、山中での射撃、泥中に浸かっての射撃、真夏の直射日光下に長時間晒しての射撃等、破損や破裂などの事故が多発していた。

 運用面での模索も続けられ、一一丁だけとはいえどのように運用すれば効率的な運用となるかの模索が続けられ、また並行して『どのような火縄銃が求められ、どのような形となっていくか』の研究が行われていた。

 火縄銃の存在そのものについての考察も進められた。つまり『せいぜい射程が弓やボウガンと同等程度なのに使われ始めているのか』という存在自体への考察である。

 これについては信長は『弓とボウガンとの決定的な違い、それは音と煙だ。この音が鳴ったら戦列の誰かが死ぬかもしれない。という心理的な攻撃は俺達ティエルクマスカでもわかる話だよな? つまりそういう事だ、このアルケブスや大砲を改良し、大量生産した国が覇者となると俺は思う。まぁそこは商業とのすり合わせもあるだろうがな』と言い、また『要はアルケブスに必要なのは射程の延長と装填時間短縮、それと耐久力と信頼性だな。何百発撃ってもへこたれない強さと汚れても大丈夫な奴だ。デルン諸君わかったか』等とも供述している。デルン諸君わかったか。


 さて、そのような事が多々あり、皇紀二二三一年(西暦一五七一年)九月三十日、幾多の実験を経て、アルケブスは改良に改良を重ねられ、耐久力、信頼性は格段に上昇。弾薬は史実のような早合に似た紙製薬莢が開発されていた。

 銃剣機能や火打石式フリントロックにもできたが、これは信長の『とりあえず現状としてはこのまま』という方針によりなされていない。

 この改良型をハイクァーンで量産し、五百丁を八島に駐屯している軍へと渡し、使用してくれと頼んだ。というのも、八島の紀伊地方で瑞穂星における装備や武器で戦術実験を行う部隊が存在していたからである。その名も瑞穂戦術実証戦団。

 そう書くと中々カッコイイ気がするが、要は西洋の騎士や中国の兵士の恰好をしてド突きあう軍装コスプレ集団である。

 信長の弟である信行が軍に入っており、そのツテでどうにかしたらしい。


 既に紀伊の軍団、瑞穂戦術実証戦団には今までのデータや戦術を渡しており、戦団も独自に研究を行っている為混乱もなく運用される事となる。ここで出た問題点と今まで出ていた問題点との差を比べてさらなる改良を予定していたのであった。

 元から瑞穂星の軍装をしてド突き合っていたコスプレ戦団という事もあり、運用的にはボウガンと同じ運用方法に似ている為、スムーズに受け入れられた。

 信長としては研究チームの一族郎党かき集めた軍事訓練未経験者VS軍人ばっかりのコスプレ集団との模擬合戦サバゲーをしたかったが、既に農民VS騎士の戦いはフス戦争の際に証明されている以上、やる意味は薄かった。


 そんな訳で軍人目線から見た問題点・改善策と研究者目線から見た問題点・改善策をすり合わせた結果、着火方法をマッチロックではなく火打石にして、銃剣を取り付ける等が決定となり、それをもとにまた改良をしようとした矢先の皇紀二二三三年(西暦一五七三年)事件が起こった。


 大和の環境省の木下 藤吉環境大臣は八島における森林伐採の規定を強化する政策を打ち出したからであった。アルケブス製造には大量の木材を使用しての製鉄や加工を行っていた為、製造中止にまで追い込まれる事となる。信長本人も藤吉環境大臣に掛けあったり、コネやツテを駆使してどうにかしようとするも環境問題という大義名分を覆す程の力とはならなかった。

 とりあえず抗議はするけどハイクァーンもあるので確かに製造しなくても別によかったりもする。というかそもそも刀製造と並行して既にアルケブス製造もわずかながらだが民間でも月産二丁のペースで行われてはいた。


 だが、それでも信長はそれでは駄目なのだと頑なに抗議を行っていたようであったが……


    *    *


 抗議活動もむなしく、無慈悲に年月ばかりが流れ、万策尽きたと誰もが思った。

 だが、救いの道は高天星よりもたらされた。


 コークスの発見。

 それは大和国 国立高天工学大学のマサミチ・ラグ・ダテが石炭を蒸し焼きにする事で石炭よりも効率良く燃焼する事を発見したものであった。

 当時、冒険家としても知られていたマサムネ・ラグ・ダテの弟であった。大和人の父とザムル人の母との子である。


 『こいつで効率的な鉄造りができる』


 信長の目に、以前のような野心的な光が、蘇った。

 皇紀二二四六年(西暦一五八六年)の事であった。



    *    *

「コークスの発見……」


 チートものではお決まりな物の発見に、柏木サンはつい口に出してしまう。

 コークスは当時の信長としてもいずれ瑞穂星でも木炭に変わる資源として使用される事が予想された為、使ってよい事にされた。

 出される排気ガスなどは即座に施設の空調や設備で完全に分解される為、環境汚染は全くない。そもそもやってる事が二四世紀の技術で、プリンセス・物の怪なタタラ鍛冶みたいなモノなのだから、もうどこから突っ込んでいいのか分からない状態である。というかコークスで製鉄したら鋼鉄になるんじゃ……。

 しかしまぁ、やはりなんというか、野望の塊なんだなぁと思う柏木サン。


 その後、意気揚々と鉄を作り、火打石銃フリントロックを製造し、そこからまた改良と発展をつづけ、最終的には螺旋やボルトアクションを経て第一次世界大戦相当の機関銃や半自動小銃にまで開発がなされる事となった。これらはマッチロックやフリントロックで出てきた火薬の燃焼や鉛弾の銃内での破損への解決策としての答えであるようであった。

 残念ながら機関銃による防衛線突破は≪尋常ではない砲撃で沈黙させる≫や≪盾をくっつけた蒸気機関で動く重装甲車≫や≪塹壕を掘りまくって浸透する≫等の変則的な方法しか出なかったらしい……いやそもそも史実でも世界初の戦車は≪機関銃で防衛線はられた塹壕を突破するのに陸上戦艦を使う≫という形で実現したのだから、むしろ信長サン達はまじめに頑張っている方だと思うのであった。石油を高温で飛ばし、きれいになった液体を使う内燃機関はついにその発想は出てこなかった。

 火砲に関しても持ち運び可能を追求した結果迫撃砲のようなモノになったり、銃の変化により要塞化した陣地を崩す為の大型砲や、陣地防衛や野戦展開に適した野戦砲の開発等、中々意欲的に発展がなされた。

 ここまでやる必要性があったのか。という声が作中でも出てくるのだが、それでも信長の得意な言いくるめによって沈黙される。


『瑞穂の星の戦争はなぁ、射程を伸ばす事に腐心してきたんだ。相手が攻撃できない距離から攻撃して打ち倒せばそれだけこちらの損害もない訳だからなぁ。今はまぁ、この程度の予想(第一次世界大戦時の半自動小銃)しかできねぇが、いずれ自国に居ながら敵国を破壊するような兵器も作るんじゃねぇかな。要は楽して勝ちてえから楽するために開発してるからな。まぁ、敵も同じこと考えてるから結局楽にはならねぇけど(苦笑)』


 ……という、自国に居ながら敵国を破壊できる兵器をボンボン作って拮抗状態になった現代人からするとなんともまぁ耳の痛い名言を残している。

 また商業学的な名言としても。


『今はまだ宗教や王権やらがでかい顔しているが、いずれ商人どもがでかい顔をしだして宗教や王権を駆逐しだして自分達に都合のいい国家や政府を作って、そいつらが<自由>だの<平等>を説きだすだろう。これは仕方ねぇ。金がモノを言う時代になったら、王も宗教も国も政府もみーんな商人に頭が上がらなくなるんだからよ。上がらなくはならなくとも少なくとも金の有る無しで長生きできるかが決まってくる時代になると思う。そうなると今まで王や宗教の気分や利益だけで戦争をしていた世界が、商人の利益を求める戦争になり、国民もそれにのっかるようなクソみてぇな世界になるだろうよ。そうなったらティエルクマスカとしても厄介な事になる。

 絶対に、だ。考えてみろよ。損得勘定だけで動くような連中だから、たとえ自分達の頭上に大型艦艇ティエルクマスカがやってきても、金儲けしようと動くだろう。見物料とかそんなみみっちい話じゃねぇ。宇宙人おれたちを利用して邪魔者を排除しようとする奴、されたくない奴、おしつける奴……まぁそういうこった。

 ティエルマスカはどう動くかは分からねぇが、一極集中外交だからって油断しねぇ方がいい。おそらく連中はそれすら見抜いてそれを利用してくるだろう。肝心なのはそれをされたらどうするか、だ。

 もしこれを聞いて<面倒だ>だの<うぜぇ>だの思ったら、悪い事は言わないからもう今のうちに攻め滅ぼすなりなんなりした方があとくされがなくて良いだろう。でもな、それやっちゃったら俺達じゃないでしょ。瑞穂はいわばイゼイラがトーラルに出会わなかったらという世界の未来だ。攻め滅ぼすってそれらを全部否定するって訳だ。それでいいのか?良い訳ないだろう。まぁ極端な話、瑞穂星はティエルクマスカにとってもう一人の自分みたいなもんだ。騙したり、殺したり、自分の為だけに動くようなそんな負の面が強いもう一人の自分だ。どう向き合うかは後世に任せる。とりあえず俺達は考察したり研究したりしてるだけに留めとく。

 …ここまで好きに言わせてもらったが、これで瑞穂星が俺の思う感じに進歩しなかったらすげぇ笑えるなこれ……』


 という長文を残している。

 流石第六天魔王……人間の本質を見抜いているというかなんというか。まさか16世紀の段階でこちらの世界の問題まで見抜いてしまうなんて……しかも最後は後世に丸投げするとはさすが第六天魔王、汚い。

 いや、この信長サンは学者なので仕方ないと言えば仕方ない。ちなみにこの頃の大関白という内閣総理大臣には木下藤吉さんがなったが、任期満了の後やめて元軍人の松平家康さんがなったらしい。なんでもティエルマスカの方で戦争が起こったらしく、官民ではなく軍人の方がよいという理由らしいが、察しの通り、木下藤吉は豊臣秀吉であり、松平はサンバや暴れん坊ではなく徳川である、いや確かに徳川に暴れん坊はいるのだがそういう意味ではない。

 ちなみにこの松平家康さん、お父さんがあの義元さんと小中学校同じだったらしく、ちょくちょく会っていてその関係で義元さんの子供である氏真さんと仲が良く、なんと結婚してしまったらしい。

 ……そう、この家康さん、性別がフリュなのだ……なんでもあの世界の大和にはフリュでもデルンの名前を付けるという謎の習慣があるらしい……


「うーん、これはこれでかなり楽しみだな……」


 柏木サンは不思議設定でも負けずに読み進めてくれるようである。


  〜 つづく 〜


今回はちょっと暴走気味でした。

次回も1570~90年あたりをやるか、それとももう話を進めるか、悩みどころです。

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