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友達なんだよ

「…で…助けに行くのはいいが…なんで帝都の下水道のなかにあんなのがいるんだよ」

「あんなの…?ああ、ゴブリンかや?そんなに珍しいものでもなかろう?」

「いやいや、真上に帝都の家とかあるじゃねぇか…?なんでこんな人の気配がするところに魔物がうろついてるんだよっ?」

「主様…腕前は確かなようじゃが、知識がたりんな?知識が。よいかや?ゴブリンは正式には魔物…ではなく動物じゃ」

「いや、そういうことが言いたいんじゃなくてだな…」

「下水道になぜゴブリンがいるのか…?ということかや?」

「そう、そういうことだよ」

「んむ…そういうことならば…えー、本来ゴブリンは人を襲う生き物だと主様は思っている訳じゃな?」

「え?違うのか?」

「違うも何も…ほれ、ここにはエサはいくらでもあるじゃろ?ドブネズミやなにやらな。餌があればゴブリンなどいくらでも湧いてきんす…それに、十分な餌があるうちは捕らえるのが面倒な【人】には手を出さんじゃろう」

「…エサがいっぱいあるから、人を襲ってくる心配はない…っていうことか?」

「そういうことじゃ。じゃが、増えすぎると流石に害をなすかもしれぬということで、月に一度不定期に討伐隊が組織され、下水掃除をするんじゃがな」

「ゴブリンを殺すのを掃除っていうのか?」

「掃除じゃのう…量がいて大変なうえ、臭いと言う話でな、帝都での不人気な役割No1じゃ」


なんともない風に言うシオンにカイリは異常性しか感じられない。

現代で言う下水掃除なんて、もっと簡単なものだと思ったからだが…ここはファンタジーの世界なんだ、と思い直すことにして自分を納得させた。


「…で、下水の出口に五体ほど固まってるわけだが…どうするんだ?」

「主様と一緒にわっちも戦う。ほれ、安心じゃろう?幸い、攻撃魔法もわっちは使えるからのう」

「そうか…やっぱり戦うのか…捕まって…くっ、殺せっ…なんて言わないようにしないとな」

「なんの話じゃ?」


なんでもない、といいつつこれはフラグだったかも…とかカイリは思ってたりする。


「それじゃあ…後衛がシオンで…前衛が俺な。危なくなったら」

「逃げろ、などと抜かすつもりではないじゃろうな?主様?わっちは主様が死んだあとどうすることもできないんじゃ」


低い声で言うシオンにカイリは強い決意のようなものを感じたので、逃げろと言うつもりだった口を閉じた。

代わりに、言ってやる。


「何を言ってるんだ?危なくなったら、俺のそばに居ろ…ってな」

「主様…///」

「さぁ、やるぞ」


仕舞っていたシュヴァルツ・ヴァイスを再び顕現させたカイリ。


「主様…先ほどから気になってたんじゃが…その剣、どこから出しておるのかや?それに、そのデザイン…最高神アレン様が作った伝説上の武器に酷似しているんじゃが…」

「どこからって…ふつーにスキルを発動させてるだけだけど…?」

「なっ…!?」

「それにアレンって…やっぱり神様してるんだなぁ…アイツ」

「主様…頭でもやってしまったのかや…?」


言いながら、白と黒の刀身を眺めたシオンは絶句した。

小さく光り輝く蒼い紋章を、シオンは見たのだ。


最高神アレン。それが作ったとされる武器は全部で十一振り。

様々な効果を持ち、それは絶大な力を秘めているという。

そして、大きな特徴としてあげられるものが言い伝えとして二つある。

まず、無形であること…これは、ふさわしい所有者と認められたものでなければ下賜(かし)されないし、顕現させられないということ。伝承を研究する者たちにより、それはスキルではないか、と仮説を立てられていた。

そして、刀身の柄に近い部分に最高神の紋章が小さくあり、蒼く光り輝いていること。

今の技術でこんなに光り輝く【蒼】の魔力を纏った付呪をつけられる者は、いない。


この条件二つを、カイリの持っている剣は満たしていたのだ。


「…どこでその剣を手に入れたのかや」

「え?…うーんと…信じられないかもしれないけど、アレンってやつは俺の友達なんだよ。そいつから貰ったんだ」

「…」


またも絶句するシオンだが、もはや真偽を問い詰める必要もなし、と判断した。

カイリの眼が、あまりにもまっすぐで、嘘をついていなかったから。


「ん?いいか?そろそろ…いくぞっ」

「納得がいく説明ではないが…今はここを出ることが先決じゃな…」


腰につけていた短剣を引き抜くシオン。


「この短剣は魔術戦用に特化しておる、わっち特注の品よ…!衛兵には後れを取ってしまったが、ゴブリンごときであれば、最高神様の武器にも負けぬ働きができるじゃろう…!」


気丈に言うシオンを見て、カイリは安心する。

何はともあれ、強がれるというのはいいことだからだ。


「よし…シオンも準備良いみたいだな………いくぞッ!」


物影から飛び出し、一気にゴブリン達めがけてカイリは突進した。

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