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黒と白の剣

カイリは新しく手に入れた能力を確認することにした。

ログをもう一度見たカイリは、はぁとため息を吐く。


「LUK値…やっぱり上がらないんだな…。っていうかこれ、完全なハズレくじじゃないか!」


天運虚無の効果でLUK値の上昇が取り消されているのを見てカイリは憤慨するが、すぐにどこに怒りをぶつければいいのか分からなくなったので、振り上げていたこぶしを仕方なく下ろした。

訪れる静寂。

カイリのほかにはこの地下牢には誰もいないようだ。


「運が悪すぎるだろ…だれかいればこそ何かの進展があるだろうに…はぁ、そんなことより能力確認だ。能力確認」


気分転換もかねて、ステータス画面からカイリはスキル名に触れ詳細を表示させた。


パッシブスキル


アレン流魔術LV1…流派によって習得できる魔術が変わる。【最高神】アレンの魔術を習得できるぞ。

能力値補正…INT+1 RES+1 魔力+1 俺流の魔術方式で魔術を放てるようになるスキルだ。小手先の技から、街を吹っ飛ばす大技までなんでもござれだ。ま、レベルを上げなきゃ覚えられないんだけどな。byアレン


直感強化LV1…直感を強化。

能力値補正…なし 説明は不要だろう? byアレン


軽業LV1…軽業に関わる行動にプラス補正がかかる。

能力値補正…SPD+2 ジャンプ力とか、走る速度とかが上がるぞ。お前にしてはいい能力をもらったな。ちなみに俺も持ってるぞ。レベルは289,959,291だが。 byアレン


アクティブスキル


アッパーLV1…必要魔力 0

 アッパー気味に殴る技だ。多少の修正は効くが、ただ単に相手の顎を粉砕する勢いで殴るだけの技だ。

 残念。ハズレだぞ?このスキル。 byアレン


シュヴァルツ・ヴァイスLV1…必要魔力 0~999999999

 いや、ほらあれだよ。武器出す奴作ってみたんだよ。なかなかかっこよくて、性能も使った魔力の割には結構威力出るようになってるから使いやすいと思う。名前は厨二病なんじゃないか?自分でもよくわかんないテンションでつくったからなぁ。あ。長さは今のお前のスキルの組合わせ的にショートソードがいいと思ったからそれくらいにしといた。感謝しろよ?ちなみに、顕現したときに右手に持ってるのがシュヴァルツ。左手がヴァイスだ。 byアレン


「いや、全部自分で説明入れてんのかよ…アイツ…暇だなぁ…」


言いつつカイリはもう一度手に入れたスキル群を眺める。


「やっぱり一番気になるのはシュヴァルツ・ヴァイスだな。これがあれば戦えそうだし」


言いながら、カイリは【シュヴァルツ・ヴァイス】のスキルを発動させた。

もちろん、使う魔力は0。こんなところで消耗するわけにはいかない。


「こ、これか……これが、シュヴァルツ・ヴァイス…かっこいいなっ!」


両手に感じる重さは、軽くも重くもない。カイリが一番振りぬきやすいベストな重さだ。

二振りのショートソードが手の中で煌めいているのを見て、カイリは感嘆の吐息をもらした。

右手の一振り…シュヴァルツはまさに漆黒の剣だ。柄から装飾まで黒塗りだが、刀身だけは漆黒に光り輝き、妖しい雰囲気を醸し出していた。

そして…左手の一振り…ヴァイスは全く逆の色をしていた。柄から装飾まで純白。そして刀身は白く輝き、まさに聖剣のような雰囲気だ。


「すごいな…これは」


握り心地を確かめ、カイリは素振りをしてみる。

目の前に敵がいるイメージをすると、スキルの効果であろう、効率的な動きが頭の中に流れ込んできた。


「短双剣術…か」


一人呟き、カイリは素振りを始めた。

手かせはとっくに外しており、窓の外に放り投げてある。


「よっ…!はぁっ…!」


しなやかに、だが、力強い。

そんな剣舞が続く。


(地球に居た頃より動きが良いな。これがステータス上昇の恩恵か…!)


素振りを十分にし、体を動かしたカイリは思いつく。


「これでこの扉、ぶっ壊せるんじゃないか?」


物騒なことを言っているカイリだが、今は身の危険が迫っている。


「どれ…試してみるか…」


ハァ!と勢いよく斬りつけたカイリは、確かな手ごたえを感じる。


だが、扉はびくともしない。


「…くっそ…やっぱりダメ…か?いや、まだ手はある!!」


アクティブスキル【シュヴァルツ・ヴァイス】を解除したカイリ。

すぐさまショートソードが消え去った。

そしてもう一度シュヴァルツ・ヴァイスを発動させた。


今度は魔力を1だけ残し、顕現させる。

すると…


―バチバチバチッ!!


喧しい音と共にカイリの両手に…漆黒を放つ剣と、純白に光り輝く剣…どちらも先ほどとは比べ物にならないほどの存在感があるものが現れた。


(これなら…行ける!)


アレン流魔術の効果で、その威力は想像がついたカイリは魔力を込めた双剣で、扉を思いっきり斬りつけた。







――黒と白が、弾けた。

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