ミッドナイト・ドリーマー解説・あとがき
みなさんこんばんは。今回中編小説『ミッドナイト・ドリーマー』を執筆した遠藤静と申します。面白かった、つまらなかったはさておき当作品には多くの仕掛けであったり、登場人物の思想、現実への訴えが多く含まれある意味実験的な中編になっています。ですので今回こちらのあとがきにはそちらについて一部解説していきます。
では当作品の主題ですがタイトルにもあるようにドリーマー、つまり夢見る人が関係してくるのですがみなさん当作品の夢といったらまず何を思い浮かべていただけるでしょうか? 柏木恭平の一番の夢が三河優子と付き合うことであったり、過去に映画監督になりたかった、などが過った方がいるかもしれません。ただ両者ともに主題とするにはあまりにも脆く拙すぎます。ですがしっかりとこちらにも込めた意味がございます。
まず前者の三河優子と付き合うことについてですが、こちらは過去形となり現在は変化していることを示唆させています。では本当の夢はなんなのか、答えはやはり子供を授かり幸せな家庭を築くことですね。二番目に手に入れたかった人という曖昧な部分にそちらを込めました。しかしながら夢に破れ恭平は朱莉と不倫という過ちを犯してしまうわけです。これは夢を追うという行為に対するアンチテーゼであり、夢の代替品がすぐに手に入ってしまう現代日本を揶揄しました。ただラストの場面で後者の夢であった映画監督を目指していた恭平が買ったビデオカメラが役に立っている姿を描写し、決して過去に捨てた夢が無駄になるわけではないことを前者の訴えとは別に描写させていただきました。
他にも最後の構図は優子、朱莉どちらかを選んだ結果の図としてどちらの未来として取れる様書き、読者の方々に想像する余地を多少設けさせていただきました。更に私事なのですが、近ごろ東京喰種にはまりまして、強引にタロットカードの表現をいれたり、いれなかったり。
今回は本当にやりたいことを詰め込んだ挑戦作として作成しています。ただ各人物にそれぞれのフィロソフィーが存在し、その全てが私自身の物でもあるのです。技法や語彙に関してはまだ拙い部分が目立ちますが、もしよろしければ少しでも作品に仕掛けた種や思想を見つけてみてください。