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変わる世界

 クレナイの指示で、クールがレッドを乗せてバイクを走らせる。


「……破耶先輩、大丈夫だろうか」


「クール。ゲーム内ではコードネームで呼ばないと」


「そうだった」


「まあいいや。オレが気になるのは、クレナイの事と、クールの声がいつの間にか地声に変わってることだ」


「もう気付いていたのか」


「変えたのには理由でもあんのか?」


「チームワークのためだ。声が違ったら、いざというとき困るだろうし」


「そっか」


 レッドは答えを聞くと、データシステムを開く。


【シチュエーション】


「クレナイはログイン状態で、レイドモンスター・リューゲンと交戦中……だとよ」


「リューゲンって言ったら、バージョン2.0に低確率で出るとアナウンスされていた奴か!」


「レイドモンスターの推奨レベルは80!? ……敵うわけねえ……クレナイでも無理だ!」


「君は、レベルは飾りと言っていただろ?」


「仲間が対象となってれば話は別だぜ」


【アイテム】


 レッドが増幅剤を使う。


「どうするつもりさ」


「クレナイを助ける。今のオレは、レベル30相当だぜエエエ!」


「無茶だ……レベル80以上の奴に敵うわけない」


「勝つつもりなんかない。逃げる時間を作る!」


【アイテム】


 クールも増幅剤を使った。


「お前は残ってもいいんだぜ?」


「僕だって破耶先輩を助けたい! それに!」


「それに……何だよ」


「何でもないさ、早く行こう」


 二人はバイクに乗って走り出した。


※ ※ ※


「くっ!?」


「ギィィィヤアアア!!」


 リューゲンの風の咆哮を受けながらも、なんとかクレナイは耐えていた。


「増幅剤を使って……奴のレベルを上回っているハズなのだが……」


「ギィィィヤアアア!!」


 リューゲンの咆哮がフィールド全体を変化させていく。


「がはっ!」


 崩れさる岩場にクレナイは吹き飛ばされた。


(増幅剤の効果が切れた……)


 リューゲンが翼を羽ばたかせて鎌鼬かまいたちを起こす。


「あああああ!!」


【アイテム】


 クレナイの体力が0になり、カウントに入った。


(わたしは……体力を戻すアイテムを持ってない)


【10……9……8……7……6……5】


(一日ログイン出来ないのは構わぬが、スタート地点フィールドからの開始は辛いのだ)


【4……3……2……1……0】


 クレナイがログアウトされた。


「ギィィィヤアアア!!」


【タッグ】


「「紅蓮斬・ダッシュ!!」」


 レッドとクールが刀を握り合い、バイクに乗ったままリューゲンに突撃した。


「ギアアアア!!」


 リューゲンが体勢を崩す。


「よくも先輩を!」


オレの怒りを受けやがれエエエ!」


 バイクを縦横無尽に走らせ、リューゲンの身体に刀を突き刺していく。


「ギ……アア……」


 リューゲンを倒した。


「はあ……はあ……」


 クールが倒れこむ。


「七菜の新たな一面が見れたぜ」


 レッドも倒れこんだ。


「緋の発想には驚いた」


オレの作戦に乗ってくれたほうが驚きだ」


「まだログイン中だぞ? 緋」


「……お互い様だ、七菜」


【ログアウト】


 二人はログアウトした。


※ ※ ※


「待っていたのだ」


 破耶が二人を出迎えた。


「助けられなくて悪いです」


 緋が謝る。


「二人であのリューゲンを倒したんだ。わたしの事は気にするな」


「わかりました」


 七菜が礼を言った。


「そーいえば……緋よ、語尾の~ッスはめたのか?」


「今日の占いで、いつもと違う自分で過ごそうって書いてあったから試してみたけど、結局無意味だったから止めた」


「いつもの自分でいることが、一番大事なのだ」


 突如マシンの電源が一斉に落ちる。


「なんだなんだ!?」


 店員がマシンを確認する。


「駄目だな。ウンともしない」


「こっちのは新しく入れたばかりなのに」


「五台中、五台とも全滅かあ」


 店員がメーカーに問い合わせている。


「もしかして」


 七菜が近所のゲームセンターを見て歩いて戻ってきた。


「他の所もマシンの電源が落ちて混乱してる」


「なんだって!?」


「どういうことなのだ!?」


 破耶のケータイが鳴る。


「わたしのケータイだ」


 破耶が電話に出た。


「……心配要らないぞ? わたしは無事なのだ。……そうなのか、分かった。うむ、声が聞けて良かったのだ!」


「どうしたんです?」


 七菜が訊く。


「わたしの彼氏が心配して電話をよこしたのだ。それと、この騒ぎのときにログインしていた人達がログアウトしていないらしい」


「非常事態の時や、緊急時のときには強制的にログアウトされるはず」


「なんだよそれ!? ゲームから戻れないってよ!?」


「分からない。何しろ運営側も原因は解っていないみたいなのだ」


 店員の呼び掛けで客は全員、外に出された。


「ハッキング……とか」


 緋が言った。


「目的が分からない。せいぜい盗めるのは、プレイヤーネームとコードネーム位。個人を特定するには不十分」


 七菜も言った。


(何なのだ……この胸騒ぎは!?)


 破耶に不安が過った。

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