スペシャルアドバイザーの成果
「よっ」
「ん~!?」
「隙!」
【パワー】
レッドが素早くリストを操作する。
「!?」
攻撃をくらってフルーツマンが吹き飛ぶ。
【スピード】
(パワーを20秒も残せた)
レッドがフルーツマンに向かって急加速する。
「レッド・紅蓮斬」
「うっ!」
フルーツマンがよろける。
「たあ!」
レッドの刀先が迫る。
【ディフェンス】
(これなら~)
フルーツマンが防御を取る。
【パワー】
「紅蓮斬・零」
刀から斬撃が放たれる。
「……し、しのいだ~」
衝撃で辺りに土煙が舞う。
「トロピカルバズーカ!」
フルーツマンが協力な一撃を放つ。
「……惜しかったぜ」
「えー~!!」
【ディフェンス】
「紅蓮斬・乱舞」
二刀が華麗にフルーツマンを葬った。
「漢の勝ちだな、偵徒。土煙を利用するとは恐れ入ったぜ」
「利用したのは緋の方でしょう~。真正面から突っ込んでくるんだもん、ビックリだよ~!」
「位置を把握するならば突撃あるのみだからな。ディフェンスで攻撃をあえて受けて、スピードで正面突破しつつ、ディフェンスを保険で掛けてってな」
「流石は強いや~、考案者だけあるよ~!」
「そうかあ?」
レッドとフルーツマンはログアウトした。
※ ※ ※
「観ていた。やっぱり仮面英雄伝とは似て非なるものだ」
「だろだろ! ロープレも良いけどよ、格ゲーもやりたいって言ったかいがあったってもんだぜ」
七菜の反応に、緋が胸を張る。
「パワー、ディフェンス、スピードは任意に切り替えられるが、各30秒間しか状態変化が使えない。むやみに使えないのが難いね」
海乃が冷静に分析する。
「しかも必殺技を使うにも状態変化が必須で、各状態で必殺技が固定されてる。状態変化のタイミングが勝負の肝、か」
「相変わらずの分析力ですね」
「いや……私は行動力に乏しい。その点、矢吹はすぐに行動で示せる」
「そうですか!?」
七菜はピンときてない様だ。
「習うより慣れろ、だぜ」
「分かった、やらせてもらうさ」
緋と七菜はログインした。
※ ※ ※
「パワー……スピード……ディフェンス……、なるほどね、把握したさ」
クールがリストを見ながら言った。
「うっしゃ! だったら……いくぜ!」
【スピード】
試合開始と同時にレッドが急加速する。
(クール相手に節約はキツイ。一気に畳み掛ける!)
レッドが高くジャンプする。
【パワー】
「紅蓮斬・零」
レッドは斬撃を地面に放ち、土煙を舞い起こす。
【ディフェンス】
(さあて……どう来る?)
【スピード】
「流星乱舞」
(あれ? 出てこないな……)
レッドはクールが動いているのに気付いていない。
「隙!」
「がはっ」
「まだまだ!」
ピシュン! ピシュン! と、空を切る音とレッドのうめき声が響く。
(何だってんだ!?)
レッドのディフェンスが終わる。
【パワー】
「エンド・ナックル!」
「うわああああ!!」
レッドがクールの拳を受けて地面に落下する。
【ディフェンス】
「これで終わりさ」
【スピード】
「まだ15秒有る!」
レッドが温存していたスピードを発動する。
「うっ」
クールが攻撃を受けつつ距離を取る。
【パワー】
渾身の一撃を繰り出す。
「うぅぅぅ!」
クールはなんとか堪えたが、ディフェンスの効果が切れた。
(……スピードは残り2秒……これがラストチャンス)
レッドは、背中に有る鞘を腰に持ってきて刀を収める。
【スピード】
「はあ!」
クールが拳を振るう。
【スピード】
(抜刀!)
「……そんな!?」
クールの拳はレッドに届いていない。
「ふぅ……。後退からの抜刀……上手くいったぜ」
【パワー】
「まだ、終わってない」
クールが攻撃を繰り出す。
「ちぃっ!」
レッドは刀で攻撃を防いでいくが呆然一方であった。
「はあ!」
「ぐはっ!」
クールの拳が決まり、レッドが敗北した。
「僕の勝ちさ」
「負けちまったー! 焦っちまったぜえ」
「運も実力のうちさ」
「結果は結果だぜ、負けは負けだ。あー……でも悔しいから、オンラインで大暴れするぜ!」
レッドとクールはログアウトした。




