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空白を埋めるように

「お! 順調に進んでいるようなのだ」


「明日、体育館ここで破耶先輩達を送り出すんですね」


 破耶と七菜が体育館を眺めている。


「来た来た。二人共こっち、こっち!」


玲衣れいっぺ、遅くなってすまないのだ」


「いっていって! 本来なら卒業生は半ドンなんだし」


玲衣れいっぺ他人ひとのこと、言えないがな」


「「ははは!」」


 玲衣と破耶が笑っている。


「明日で見納めなんですよね。なんだか寂しいです」


「僕も。先輩達が傍で当たり前に居たから、いなくなるのは寂しい」


 愛生と七菜が口を揃える。


「なんだ。皆、揃ってたんだ」


「夏郷先輩!」


「やあ、七菜ちゃん。準備は進んでる?」


「見ての通り、バッチリです!」


「うん。後輩がしっかりしてるから、俺達は安心して巣立てるよ」


「そんな!? 僕らなんてまだまだですよ!」


 七菜が謙遜する。


「夏郷に褒められるとは……七菜が羨ましいのだ」


「あれ? もしかして俺、破耶を褒めてない?」


「少しばかり夏郷は、わたしを完璧超人か何かと勘違いしているのだ!」


「そんなつもりはなかったけど……。寂しい思いをさせてたんならゴメンよ」


「……別に、そこまでじゃない……のだ」


 破耶の顔が赤くなる。


「ありゃ~? 破耶ってば照れてるの? コノコノ!」


 玲衣が破耶を肘で突いて茶化す。


「先輩達が羨ましいです」


「七菜ちゃん。この際、ロクに連絡も寄越さない男なんか捨てて、別の男、探しなさいって!」


「玲衣さん、ちょっと言い過ぎでは!?」


愛生アッキー。いいの、いいの。どうせ居ないんだし」


「……あの~、居るんですけど……」


「ぎゃあ!?」


 後ろから声を掛けられ、玲衣が尻餅をつく。


「緋君!」


「久しぶり愛生ちゃん」


「もう! 驚かすな!」


「玲衣さんに居ることを主張しただけです」


 緋が玲衣に手を差し伸べる。


「あら、気が利く!」


 緋の手を掴んで、玲衣が起き上がった。


「お久し振りです。夏郷さん、破耶さん」


「うむ。無事に帰ってきて何よりなのだ」


「お帰り。どことなく雰囲気が変わった気がする」


「そうですかね? オレ、あんまり自覚ないけど」


 緋が辺りを見渡す。


「どうしたのだ?」


「……七菜はドコ……」


「何を言っているのだ。そこに居るのだ」


「え?」


 破耶が指すところを緋が見る。


「……七菜、なのか? ……」


 緋の視界に映る七菜は、肘まで髪が伸びている為、緋は七菜と認識できなかった。


「まったく。半年会わずで顔を忘れるのか……」


「七菜!!」


 七菜の言葉を遮るように、緋が強く抱き締めた。


「ちょっ!! ……バカか……こんな人目の付く所で……」


「連絡せずに悪かった。一度でもしたら、恋しくなって揺らいじまうから……。寂しくしてごめんな」


「ばか。お帰り、緋」


 七菜も緋を抱き締めた。


「熱いね~。この際、キスしちゃえっての!」


 玲衣が茶化す。


「「し、しません!!」」


 緋と七菜が顔を真っ赤にしながら声を揃えた。

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