仮面英雄伝 闘
「遂に、この日がキター!!」
「五月蝿いぞ、緋。静かにしないか」
緋と七菜は、いつものゲーセンに来ていた。
「お、来ていたか!」
「破耶さん! 間に合いましたね」
「なーに。大した用ではなかったからな」
「もうすぐで始まります、破耶先輩」
ゲーセンの一角に幕が掛かっている。
「今日まで情報が無かったから楽しみだ」
「サプライズはあるかな?」
「早く幕よ開け!」
ゲーセンの中は人々の熱気で溢れている。
「えー。皆さん、大変お待たせしました! 遂にご覧いただけます、最新作です!」
店員の合図で幕が外された。
「……これが!?」
緋が息をのむ。
「部屋、なのか!?」
七菜が言う。
「何が起きるのだ?」
破耶が胸を躍らせる。
「それではご説明させていただきます!」
店員がマニュアルを見る。
「まず、この中は20m×20mの空間が在ります。そこは自由に動き回れます」
「ログイン方法は従来のヘルメットを被る方式から、サングラス型の認証機での方法になります」
「事前に中でシステムを呼び出し、ログイン準備を出来るようになりました」
「また、VSSによって、戦闘シミュレーションが出来るようになりました」
「今回から、チーム人数が六人まで可能となり、新たにチーム名を付けてもらうことができます」
「更にチームメンバー同士なら、全国何処のマシンからも無料で連絡することが出来ます」
「前作のデータを引き継ぐ事が可能です。アイテムは一種類につき99個まで引き継ぎ可能です」
店員がマニュアルを読み続ける。
「前作のモンスターは引き続き登場します」
「新たに、ミッションが追加されています。ミッションは新設された依頼場から承けることが出来ます」
「……と他にも色々ありますが詳しくは今から配りますマニュアルをご覧ください」
店員は一礼すると、マニュアルを配り始めた。
「説明書か。漢は苦手なんだよな……。どっちかっていったら習うより慣れろ派だからよ」
「しっかり読んでおいて損はない。ルールは把握しておかなければ」
「わたしも同感だ。けど、緋の気持ちも解らなくはないのだ」
三人は熱心にマニュアルを読んでいく。
「……今回はログインせずともアイテムの管理やシミュレーションが出来るようになったのが、進化したところだな」
「この空間に入れば無料で別のマシンに居るチームメンバーと情報がとれるようになったのも凄いことさ」
「チームが六人までに増えたのも重要だぜ。チーム名も決めれるしな」
「それでは、これより抽選によって二十人ずつハッチに入ってもらいます」
店員の指示によって人が決まっていく。
「外れた……チキショー!」
「まあ次があるさ」
「すまないな。お先に行かせてもらうのだ」
破耶がハッチに入っていった。
「こうなったら……観させてもらうぜ!」
「破耶先輩、頑張って!」
緋と七菜がモニターを観る。
※ ※ ※
「凄いのだ!」
破耶の視線の先に、クレナイの姿があった。
「無事にコンバート出来ている。アイテムも移っているのだ」
破耶は、床から出現しているバーチャルパネルをタッチしていく。
【シミュレーション】
クレナイが動き回る。
「これなら色んな対策がとれるのだ」
【ダイブモード】
破耶の目の前にマップが現れる。
「これで好きな場所にログイン出来るのだな」
破耶は依頼場を選択する。
「やはりミッションは気になるのだ」
破耶はサングラスを掛ける。
【ダイブ、オン】
破耶の身体を光の壁が囲う。
「……」
「……」
「これが……新しい世界」
クレナイの視界に依頼場が聳え立っていた。




