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緋/哀しみの必殺技

「破耶、いったいどうした?」


「すまない夏郷。呼び出してしまって」


「それは構わない。で、何があった?」


「……実はな……」


 破耶が夏郷に説明した。


「彼女が並行世界パラレルワールドから来て、俺に言いたいことがある?」


 夏郷は里花を見る。


「ようやく逢えた! 飯沼君! あのときは、どうもありがとう」


「……すまないが……俺は君を知らない。君が知っている俺は並行世界パラレルワールドの俺だろう?」


「それでもいい。飯沼君は飯沼君だから!」


「……俺と彼じゃ違う。違うんだ!」


「一緒よ! 好きなのは一緒! 飯沼君を好きな気持ちは等しいの!!」


 里花は夏郷に抱き付く。


「えっ……おい!?」


「飯沼君は誰にも渡さない」


 里花の腕に力が入る。


「気持ちは嬉しいけど、俺は破耶が好きなんだ。君とは付き合えない」


 夏郷は静かに里花を離した。


「……じゃあ……破耶を殺したら良いのね!?」


 里花が不敵な笑みを浮かべる。


「なに言ってるんだ!?」


「待ってて? すぐに殺すから」


 里花は破耶に突っ込んだ。


「あ……!?」


 破耶が倒れる。


「邪魔よ!!」


「ぶぐっ……ぅぅぅ……!!」


 里花が破耶に馬乗りになって顔を殴っていく。


「やめないか!!」


 夏郷が止めに入る。


「待ってて? ……もうすぐ飯沼君が好きな破耶は死ぬんだから!!」


「ぶはっ……」


 破耶が静かになる。


「まだ心臓が動いてるよ? ……しぶといなー」


「……やめてくれ!! ……もう……!!」


 里花の拳を夏郷の掌が受け止める。


「どうして邪魔するの?」


「当たり前だろ!? 彼女が傷付いてるのを黙ってみてる奴がいるか!!」


「彼女? ……そうだった……飯沼君は破耶と付き合ってるんだよね? うふふふふ!!」


「うぐっ!?」


 里花が体重をかけて、夏郷の掌ごと破耶の心臓を潰そうとする。


「骨は折れてもくっつくから平気だよ? 安心して良いんだよ?」


「……心臓は潰れたら……戻らない……!!」


「知ってるよ? うふふふふ!!」


 里花が今度は足で踏みつける。


「あああああ!!!!」


 夏郷の掌が血で染まる。


「見てられないわ!!」


「まずいな……こりゃあ」


 千景と新田が止めに入る。


※ ※ ※


「まさか、そっちと会うとはね」


「……」


「語る気はない、か」


 皇帝エンペラーが目の前にいるウイルスに近付く。


「フィナーレ・ムーン」


「……」


 ウイルスが皇帝エンペラーの剣を受け止める。


「やるねえ」


【エヴォリューション】


「フン!」


 皇帝エンペラーは剣を振りかざす。


「……伝染うつす……」


 ウイルスが皇帝エンペラーの剣を黒く染める。


「ちっ……なんてことだい!」


 皇帝エンペラーは剣を放った。


「……邪魔……」


 ウイルスが黒い霧を放つ。


「しまった!?」


 皇帝エンペラーを黒い霧が包む。


※ ※ ※


「うおおおお!!」


 レッドがクールに向かっていく。


「なに……してるんだ……早く……!!」


 ウイルスに感染しているクールがレッドに言う。


「まだ諦めたくない。オレは、クールを救うんだ!」


「このままでは……レッドが!?」


 クールから黒い霧が放出される。


「レッドとクールは……オレにとって、ただのデータじゃないんだ。オレと七菜を出逢わせてくれたんだ! だから、簡単には!」


 レッドがクールを抱き締める。


「このままじゃ……!?」


「攻撃が通じない以上、キイラが作ったアンチウイルスを使うしかない。けど、使いたくない……使ってしまったら、ウイルスに感染しているデータも破壊しちまう!!」


「そんなことには構わなくていい! 僕のことを想うなら、クールを破壊するんだ!」


 クールはレッドから離れる。


「……どうしたら!! クッソー!!」


【何してるのよ! 早く、アンチウイルスを使いなさい! じゃないと七菜自身も只じゃ済まなくなるわよ!】


 キイラが音声通信でレッドに伝える。


「分かってるけどよ」


【七菜を救いたいなら、クールを捨てなさい。クールは創れるけど、七菜は……紅蓮緋を愛している矢吹七菜は世界に一人なのよ!!】


「そう、だよな」


 レッドが握りこぶしを作る。


「よし、決めたぜ!」


 レッドは再びクールを抱き締める。


「緋!! 何を考えている!? このままじゃ本当に!?」


「クールだけに寂しい思いはさせないぜ」


 クールに、レッドがアンチウイルスを使う。


「まったく……君は」


 クールのデータが破壊された。


「さあて……次は野郎そのもんだぜ!」


 レッドは姿を消した。


※ ※ ※


「トロピカルバズーカ!」


「ベジタブルインパクト!」


「……邪魔だ……」


 ウイルスの前にフルーツマンとトマトちゃんが現れた。


「青山、神谷。どうして!?」


「どーしてもソイツが気になって追い掛けていたら、ここにたどり着いたんだ~」


「ソレがヤバいのは勘で分かるけど、対処法が分からないわね」


「……くっ! 困ったよ」


「到着だぜ」


「紅蓮!?」


「三人はログアウトしてくれ。あとはオレに任せてくれ!」


「緋! 一人じゃムリよ!」


「任せておけって。美岬は偵徒とモニターでの観戦、ヨロシク!」


「……信じてるわよ、緋」


「見守ってるよ~」


 トマトちゃんとフルーツマンはログアウトした。


「紅蓮、もしかして!?」


「エッヘッヘ……すまん」


 レッドがウイルスに突っ込む。


「強いよ、紅蓮」


 皇帝エンペラーはログアウトした。


オレだけじゃ……いかねえよ!」


 レッドがアンチウイルスを使った。


「……キサマ、ナニモノ!? ……」


「レッド、正義の味方だぜ」


 レッドとウイルスが消滅した。

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