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柊の花と葉

「……痛っ!」


 緋が目を覚ます。


「あんにゃろー! ……おもいっきりにも程があるぜ……。くっ……!!」


 地面が赤く染まる。


「……血……?」


 緋は頭を触る。


「うげっ!? 尋常じゃない出血かよ!! コブも出来てるし……、てかヤベエ……」


 緋は、立っているのもやっとだった。


※ ※ ※


「ここは、スタジアムの外!?」


「どうやら上手くいったようなのだ」


「紅、どういうことかな?」


「海乃。すまないが、話は後のようなのだ」


 破耶の視線の先に、明らかに変わった雰囲気を漂わす集団がいた。


「なんか物騒な物を持ってるみたいだよ」


「奴等が……騒ぎを起こしたのか!」


 破耶は集団に近づく。


「お前たちは何者なのだ!」


「柊高等学校、反生徒会だ。柊高等学校への見せしめとして、作戦を実行した」


「……反生徒会!?」


「その顔は忘れん、紅破耶。生徒会のせいで、我々がどれだけ苦い思いをしたことか!」


「わたしは柊高を良くしようと努力している。お前達……反生徒会の意見も反映している」


「笑わせるな! 我々の要望は、ただひとつ。生徒会の消滅だ!」


 反生徒会が銃を向ける。


「どうして関係のない大勢の人達を巻き込んだのだ!」


「言った筈だ、生徒会の消滅だと」


「他校の生徒会も標的ターゲットなのか!?」


「数撃てば当たる。今回の様にな」


「……ふざけてるのだ!!」


「何故、外に居るのかは、この際どうでもよい。ここに居る者達は皆殺しだからな」


「当たったあああ!!」


「キャアアア!!」


 女性の悲鳴が響き渡る。


「なんてことを!!」


 海乃が激昂する。


「理想を掲げる奴に限って、いざというときは叫ぶことしかできない」


 悪戯に銃が撃たれていく。


「腐ってる!! ……人間として腐ってる!!」


 七菜が叫ぶ。


「言っていろ。もうすぐ……お前も、ああなる」


 反生徒会の隊長リーダーが指す場所には、人の山と血の海が出来ていた。


「ウグッ!!」


 美岬が嘔吐する。


「美岬ちゃん!?」


「……ねえ偵徒、ウチ等、死ぬの?」


「そんなわけないよ~!美岬ちゃん、しっかりして~!」


「無理。相手は人の皮を被った悪魔だから」


「美岬ちゃん!!」


 偵徒が美岬を抱き締めた。


「偵徒!?」


「……僕が美岬ちゃんを守る!!」


隊長リーダー。銃撃を免れた者達がスタジアム敷地外に出ます!」


「構わん、殺れ」


「はっ!」


 躊躇なく、攻撃がくわえられる。


「爆撃、完了しました!」


 ヘリでスタジアム敷地内を飛んでいた反生徒会のメンバーが、逃げる人達を容赦なく殺す。


「今の爆発……あの方角には逃げた人達が!! ……なんてことを!!」


 七菜が隊長リーダーに詰め寄る。


「今回の作戦には、他校の反生徒会も協力している。無論、OBやOGもな」


「……反生徒会(お前達)の罪は重いのだ!!」


「死ぬ覚悟ぐらい、持ち合わせている」


「あ……あ……あ!!!?」


「紅!!」


 海乃が近寄る。


「あ……はあ……!!」


 破耶の腹部を刃物は貫通していた。


「しっかりするんだ!! 紅!!」


 海乃が破耶の傷口を手で押さえる。


「まとめて殺してやる」


「……野球部……嘗めるな……」


 七菜が破耶と海乃を庇い、銃弾を受けた。


「矢吹!!」


「無駄だ。肺をやられたな、長くはない」


 隊長リーダーは銃を構える。


「このぉぉぉ!!」


 海乃が瞬時に銃を蹴飛ばす。


「どこを見ている?」


「……な!?」


 海乃が腹を撃たれた。


「はあはあ! なな……うみ……の!!」


 破耶が苦しみながらも声を掛ける。


「残るは、あと二人」


 隊長リーダーが美岬と偵徒に近づく。


(やめるのだ!)


 破耶が右手を伸ばすが、届くはずがない。


(なにが生徒会長だ。わたしは無力ではないか!)


「偵徒!!」


 偵徒が背中から銃弾を受ける。


「美岬……護る……」


「偵徒? ねえ偵徒!? ……目開けなさいってば!!」


「安心しろ、すぐに会わせてやる」


 隊長リーダーが銃口を美岬に向ける。


(……どうして、わたしは弱いのだ。強く、凛々しく、堂々と立っていなければならないのに!!)


 破耶が涙を流す。


(柊の花言葉……剛直。心がまっすぐに、間違った道に踏み出さず育つようにと願いがこもった校名に恥じぬようにと思っていたのに。生徒会長(見本)が、柊の葉のような鋭い刺の心を持つ人を生んでいたのだ!!)


 破耶の指輪が光だす。


「さらばだ」


「……」


 地面が血で染まる。


「誰だ、いきなり現れて」


「……柊高等学校二年、紅蓮緋。所属は生徒会……」


「生徒会か。ならば死ね」


 緋に銃弾が飛ぶ。


「……てめえの仲間にも言っとけ。鬼祓いが鬼になってどうすんだってな!!!!」


「がはあああ!!」


 隊長リーダーが、銃撃を受けても弱らない緋の右ストレートを顔面に受けて吹っ飛ぶ。


「立てよ、反生徒会サンドバッグ!!」


 緋が隊長リーダーを掴み立たせる。


「……オレの気が済むまで、死ぬなよ?」


「があああああああああああああああああああ!!」


 隊長リーダーの叫びが響き渡る。


隊長リーダー!!」


 反生徒会の者達が銃を向ける。


「巻き込むのか? 隊長コイツを」


 気を失っている隊長リーダーを緋が引きずっていく。


「撲るなり、刺すなり、撃つなり好きにしろよ。その代わり……」


 緋が辺りを見渡す。


「……友達ダチ恋人(七菜)の受けた傷だけ……死んでくれ!!」


 緋が血と涙を流しながら突撃した。

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